みなさんは、普段どのような「趣味」や「習いごと」を定期的に行っていますか?

ラグジュアリーメディア「Precious.jp」が行った30代〜50代の女性へのユーザーアンケートでは、多かった趣味として次のものがランクインしていました。

大人の女性が「趣味」として定期的に行っていることは?

「趣味」として定期的に行っていること

第1位 映画鑑賞 43%

第2位 展覧会めぐり(美術館、絵画、写真展) 42%

第3位 劇場(ミュージカル、コンサート等) 38%

第4位 国内旅行 35%

第5位 ヨガ(ピラティス)/音楽鑑賞 34%(同率)

※Precious.jpユーザーアンケート 2017年9月22日~9月30日「趣味に関するアンケート」より

芸術や美術鑑賞、観劇などのほか、旅行やヨガなどの「アクティブな趣味」、観劇や展覧会などの「アートな趣味」が多い傾向にあるようです。どの趣味も楽しいものばかりですが、果たしてこのような「趣味」は、脳のボケの防止につながるのでしょうか。

ボケの兆候は「不安定な状態の女性ホルモン」や「抑うつ傾向」から?

脳自体が円滑に働きにくくなる要因が見つかると注意

そこでアンチエイジングに詳しい北青山Dクリニックの院長・阿保義久先生に、将来のボケを防ぐための趣味について、脳科学的な側面からアドバイスをいただきました。

「女性が脳の機能を維持していくには、ただ単に普段から頭を働かせていればよい、というものではありません。人間の脳が、年齢を経ても、若いころと比べて機能が衰えないようにするためには、脳細胞自体を健康に保つこともさることながら、脳が円滑に働けるようにサポートする、さまざまな機能を維持していくことが最も重要となります。

近年、私のクリニックを“物忘れ”を主訴として受診される、40代から50代の方々が増えています。こうした女性の方々を診察させていただくと、ほとんどの方がMRI上で脳自体の萎縮もなく、極めて健康に見えます。

しかしながら、さらに詳しく検査をしてみると、女性ホルモンの状態が不安定になっていたり、抑うつ傾向(うつ病の初期段階)が見られたりと、脳細胞自体が衰えているというよりは、脳自体が円滑に働きにくくなるような要因が見つかります。こうした状態がその後も持続すると、いつの間にか脳自体が“うまく脳を働かせる方法”を忘れてしまいます。これがいわゆる将来の“ボケ”といわれる状態だけでなく、“脳の老化”や“うつ病”にもつながっていきます」

脳をうまく働かせ続けるために必要な3つのこと

では、女性の趣味という側面から、ボケや脳の老化、うつ病などを予防していくにはどうしたらいいのでしょうか。阿保先生は脳科学的な側面から考えると、次の3つの要素が必要だといいます。

■1:脳活動の中でも、特に「情動系(感情に関する機能系統)」に作用する

趣味の例:旅行、映画鑑賞、観劇、大好きな人との共通の趣味など

「ひと言でいうと“非日常を体験する”ことが最も重要です。趣味でいえば、行ったことのないところに旅行をしたり、感情に訴えかけるような映画や劇を観たり、ということがよいと思います。また、もしかしたら、大好きな人や友人たちと共通の趣味を持っていれば、なんでもよいのかもしれません」

■2:脳下垂体から分泌される「ホルモン系」に働きかける

趣味の例:ジョギング、水泳、ゴルフ、加圧トレーニングなど

脳下垂体から分泌される「ホルモン系」に働きかける

「脳下垂体から分泌されるホルモン系の中で、脳の活動を最も活性化し、しかも健康感や爽快感などをもたらす作用をもつのが『成長ホルモン』です。成長ホルモンは、従来、思春期を過ぎたら必要ないものと思われていましたが、実際には30歳以降、高齢者においても、重要な働きがあることがわかってきています。現在では“若返りのホルモン”としても注目されています。成長ホルモンを円滑に分泌させるために最も重要となるのが、運動と睡眠のリズムになります。

運動は、ジョギングや水泳、ゴルフなど、ゆっくりと定期的にできるものがおすすめです。また、最近はジムでのトレーニングの中でも、加圧トレーニングがこの成長ホルモンの円滑な分泌を促すことがわかっています。ただし、脚の加圧は女性に多い疾患である『下肢静脈瘤』の方は、好ましくありません。

できれば、自然の中で外界の風や日差しを浴びて、たくさんの感覚刺激を受けながら、自発的に体を動かすような運動を適度に行えるように取り組むのがおすすめです」

■3:自律神経系に安定をもたらす作用がある

趣味の例:ヨガ(ピラティス)、音楽鑑賞、美術鑑賞、陶芸、釣り、温泉など

自律神経系に安定をもたらす作用を有する

「脳神経の活動を穏やかにし、自律神経系の働きを整えるような効果のある趣味です。具体的には、ヨガ(ピラティス)や音楽鑑賞、美術鑑賞などになるでしょうか。無心になってできるような陶芸や自然の中での釣り、温泉に入ってゆっくりするなどということも、よいかもしれません。

自律神経系の不具合は、神経のメインテナンスがなされていないと、ある日突然に不具合を起こします。このため、週に1度でも、または、忙しい方では月に1度でも、ゆっくりと時間をとって、心と体を休ませるようなことをするとよいのではないでしょうか」

3つの要素を満たすために複数の趣味をもつ

趣味は、以上の3つの要素を意識して選ぶのがよさそうです。阿保先生は、次のようにアドバイスします。

「もちろん、ひとつの趣味でこれら1~3のすべてを満たすようなものはなかなか見つかりにくいと思いますので、複数の趣味をもつことも必要な条件のひとつとなります。定期的に心(感情、どちらかというと喜怒哀楽の喜と楽)と体を積極的に適度に動かし、しばらくしたらしっかりと休む、そうしたリズムを生みだしてくれるような趣味を、組み合わせていくことが大切であるように思います」

一度、ご自身の趣味を振り返り、必要な要素を満たしているものはぜひ継続し、不足している要素が見つかれば、趣味に追加してみるというのもよさそうです。ぜひ楽しく、末永く続けられる趣味を見つけましょう。

阿保義久さん
北青山Dクリニック院長
(あぼ よしひさ)東京大学医学部卒業。2000年に北青山Dクリニックを設立し、外科医としてのスキルを生かして日帰り手術を行うほか、病気を作らない予防医療、治癒が可能な段階で早期発見するための人間ドック、尊厳を守るがん治療としての遺伝子治療、生活の質を高めるためのアンチエイジング療法まで、質の高い医療サービスの提供に励んでいる。
北青山Dクリニック
この記事の執筆者
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WRITING :
石原亜香利