普段はほとんど気にしていなくても、大切なイベントの日が「大安」だとわかると、なんとなくほっとするものです。年末年始は特に、そんな気分になりやすいもの。カレンダーや手帳に書かれた「大安」や「仏滅」「赤口」といったお日柄は、中国で生まれた暦を使った占いのひとつ、「六曜」に基づいたもの。今回はその中のひとつ、「赤口」を解説します。

【目次】

一般的にお祝い事には不向きとされます。…。
一般的にお祝い事には不向きとされます。

【「意味」は?知っておきたい「赤口」の「基礎知識」】 

「読み方」 は?

「赤口」の読み方は「しゃっこう」「しゃっく」です。「せっこう」と誤読している人も多いようです。

■「赤口」は実は「凶日」!

「大安」「仏滅」としてよく知られている「六曜」は、中国で誕生した暦注(その日の運勢など)の一種。日本には鎌倉・鎌倉時代に伝わったとされています。その名の通り「先勝」「友引」「先負」「仏滅」「大安」「赤口」と種類のお日柄があり、基本的に並び順もこの通りで決まっています。日本では「大安」や「仏滅」などのお日柄に合わせて、冠婚葬祭を行う風習があります。そして、「赤口」は「赤舌日 (しゃくぜつにち)」 とも呼ばれ、陰陽道 (おんみょうどう) では赤舌神(極悪・憤怒の神)が衆生を悩まし万事に凶とされ、新しく事を始めるべきでない日、いわゆる凶日にあたります。火や血を連想させる「赤」が災いを暗示するため、「火の元や刃物に注意すべき日」ともいわれています。

■縁起のいい「時間」はあるの?

「凶日」である「赤口」ですが、午(うま)の刻(11時から午後1時ごろ)だけは「吉」とされています。婚姻届の提出など、どうしてもこの日を避けられない場合は、正午前後を狙うといいかもしれません。

■「赤口」と「仏滅」、どちらが悪い?  

「六曜」のなかでもっともお日柄が悪いのは、「仏も滅する大凶日」とされる「仏滅」です。そして「赤口」は「仏滅」に次ぐ凶日です。

■「先勝」とどちらがいい?

「先んずれば勝つ」という意味の「先勝」は、「午前が吉」とされる日です。「六曜」における「午前」は「午後2時まで」。午後2時を過ぎると「吉が凶に一転」し、凶の時間帯は午後6時ごろまで続くとされています。とはいえ、「先勝」は「大安」、「友引」に続く「吉日」です。一方、「赤口」の「吉」は11時から午後1時までの2時間だけ。つまり、お日柄のよさは、「大安」>「友引」>「先勝」>「先負」>「赤口」>「仏滅」となります。


【「赤口」の日に避けたほうがよいイベントは?】

 凶や死のイメージが付きまとう「赤口」の日は、全般的にお祝い事は避けられることが多いようです。

■入籍・結婚式などの慶事

実は結婚に関連するイベントでもっとも敬遠されるのが「赤口」です。当事者ふたりが気にしなければ構わないとも言えますが、結婚式の場合、招待客の方々に配慮するのなら、別の日を選んだほうが無難かもしれません。また、入籍であれば、「吉」とされる正午前後に提出するなど、おふたりの判断で。

■お参り

「仏滅」など、仏教を連想させる漢字が使われている「六曜」ですが、実は仏教や神道などの宗教とはまったく関係がありません。従って、お参りはまったく問題なし。七五三や厄払いなどもOKです。それでも気になる人は、正午ごろに行くとよいでしょう。

■引っ越し

「赤口」の「赤」の字が火災を連想させることから、引っ越しの日取りとしてはよくありません。どうしても都合がつかないのであれば、大安の日に、先に数点でも新居に荷物を運んでおくといいですよ。

■納車

事故を連想させる「赤」から、好ましくないともいわれていますが、実際には納車に関してはあまり気にする人はいないようです。

■弔事

「赤口」はお祝い事に関して「凶」とされていますが、葬儀など弔事は特に問題ありません。

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「先勝」を含む「六曜」は、中国で誕生した暦占いの一種です。あなた自身は気にしなくても、考え方は人それぞれ。特に大勢が集まる祝い事の日取りに関しては、「親や親族がお日柄を気にするから」という理由で「赤口」を避ける傾向にあるようです。最優先すべきは当事者の都合ですが、来てくださる方々にひと言添える配慮が必要なシーンもあるかもしれません。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) :