一生に一度は見てみたい、極北の夜に舞うオーロラ。ちょうどオーロラベルト内に位置する、フィンランドのイナリ湖畔のウィルダネス・ホテル・ネッリムには、まさにオーロラを眺めるためのユニークなお部屋があります。
1950年代に建てられた古い学校を改装し、2004年にプチホテルとしてオープン。広い敷地に3つの建物と、キャビンやサウナ小屋が点在しています。レストランやサウナの入ったメイン棟はかつての学生食堂や学生寮、メイン棟の向かいの2F建ては教員のアパートメント、3つめの建物はジムや教室として使われていたものです。
キャビンやスイート、アパートメントなど、客室はすべてデザインが異なります。中にはサウナルーム付きなど、サウナ王国フィンランドならではの醍醐味を味わえるタイプも。どれもウッドのぬくもりが伝わる部屋で、外はマイナス15度、ときにマイナス30度を超えることがあっても、完璧な暖房設備によって快適に過ごせます。
ガラスの天井の向こうに広がる星空を眺める極地の夜
なかでも一度は滞在してみたいのは、ドーム状の天井がクリアな素材できている「オーロラ・バブル」。敷地の中でもメイン棟から離れた森の中に、ぽつんぽつんと丸みをおびたコテージが点在しています。各戸はベッドルームと腐葉土を使ったトイレしか、ありません。ミニバーもないけれど、室内にはシャンパンのミニボトルとチョコレート、ミネラルウォーターが用意されています。スーツケースを置く場所がないので、この部屋に滞在するには通常の客室も合わせて手配をすることになります。
オーロラ・バブルにひとりで滞在してみました
まるで宇宙船のようなドーム型の天井の真下に、ダブルベッドが置かれている配置です。部屋の灯りを消して寝転んでみると、針葉樹の合間に星を見上げ、森の気配がすっと立ち上ってきます。ヒーターの運転音と「シーン」という重みのある静寂の音、そして時折、ハスキー犬牧場から遠吠えが聞こえてきます(最初、オオカミかと焦りました)。夜の森に包まれていると、不思議と妖精の存在が信じられてきて、神話の世界に迷い込んだよう。ちなみに、私は見られなかったのですが、ラッキーな人はオーロラ・バブル内でオーロラを眺めることができるとか。自然や地球とひとつになった感覚が味わえるでしょうね。
かつて学食だったレストランはビュッフェスタイル。トナカイ肉やイナリ湖で獲れた魚、きのこ、ベリー類など、地元の食材を生かした料理が並びます。21時まではコーヒーと紅茶を自由に飲むことができ、無料Wi-Fiがここでしか利用できないことから、レストランは滞在中、何かと人が集まるたまり場になります。
極寒の地ならではのアクティビティーの豊富さも魅力です。スノーモービルや犬ぞり、スノーシューを履いての夜のハイキング、アイスフィッシング、そしてお目当てのオーロラ鑑賞。滞在中は極地仕様の防寒具のレンタルがあるので、バナナで釘が打てる寒さの中でも元気に遊べます。
日本からのツアーの場合、サーリセルカやロヴァニエミに滞在して、ネッリムやイナリなどイナリ湖畔でのオーロラ鑑賞を日帰りで行うのが一般的ですが、オーロラベルト内にいる方がチャンスも多いもの。できれば、ネッリムにあるこちらのホテルに滞在したいところです。ちなみに、ホテル敷地内でオーロラ、見ました!
問い合わせ先
- ウィルダネス・ホテル・ネッリム(Wilderness Hotel Nellim)
- 料金/ウィルダネスルーム・ダブル 1700ユーロ~(人/泊、冬季通常期間価格)
- TEL:358-400-809-949
住所/Nellimintie 4230, 99860 Nellim, FINLAND
画像提供/Visit Finland(フィンランド政府観光局)
- TEXT :
- 古関千恵子さん ビーチライター
公式サイト:古関千恵子ホームぺージ
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- WRITING :
- 古関千恵子
- EDIT :
- 安念美和子