【目次】

「読み方」「意味」は?「英語」で言うと?「周知の事実」の基礎知識】

■読み方

「しゅうちのじじつ」と読みます。

■意味

「周知」とは「広く知ること。世間一般に広く知れ渡っていること。また、広く知らせること」といった意味。したがって「周知の事実」とは、「世間的に広く知れ渡った実際の事柄」ということになります。多くの人が知っている当たり前のこと、というわけですね。

■使い方

「周知の事実」での「周知」は、「すでに知れ渡っていること」という意味で使用します。例えば、「ウイルスの感染予防として、うがい手洗いが有効であることは周知の事実だ」というように使います。一方で、「周知」は「広く知らせること」でもあるので、「ご周知ください」は「広く知らせてください」という意味に。  

■英語で「周知の事実」は?

[英語表現]                       [ニュアンス・意味]
common knowledge    「誰でも知っている常識・周知の事実」。最も一般的。
a well-known fact     「よく知られている事実」。ややフォーマル。
accepted fact        「社会的に受け入れられた事実」。認識されていること。
everybody knows it    「みんな知っているよね」と話し言葉的な表現


【「周知の事実」の使い方がよくわかる「例文」10選

It’s common knowledge that our competitors are planning to launch a new product next quarter.
 (競合が来期に新製品を投入するのは周知の事実です)

The CEO’s commitment to sustainability is a well-known fact inside and outside the company.
 (CEOが持続可能性に力を入れているのは、社内外でよく知られた事実です)

It's common knowledge that delays in communication often lead to project failure.
 (連絡の遅れがプロジェクトの失敗につながるのは周知の事実です)

His expertise in data analytics is common knowledge within the department.
 (彼がデータ分析に長けているのは、部署内では周知の事実です)

It is a well-known fact that employee satisfaction boosts productivity.
 (従業員満足度が生産性を高めるのは、よく知られた事実です)

It’s common knowledge that our client expects weekly updates.
 (クライアントが毎週の進捗報告を求めているのは、周知の事実です)

The fact that the software has recurring bugs is now common knowledge among users.
 (そのソフトに再発バグがあることは、ユーザーの間で周知の事実です)

It’s a well-known fact that our Tokyo branch consistently exceeds its targets.
 (東京支店が常に目標を上回っているのは、よく知られた事実です)

It's common knowledge in the industry that digital transformation is no longer optional.
 (デジタル変革が必須であるのは、業界では周知の事実です)

It's a well-known fact that poor onboarding leads to high turnover.
 (導入研修の質が低いと離職率が上がるのは、よく知られた事実です)


【「周知の事実」の「類語」「言い換え」表現】

■類似フレーズ

●フォーマルな表現●

・公然の事実、社会的に認知されている事実

・既知の事実

・一般常識

・万人の知るところ、誰もが知っていること

・公知のこと

・一般常識として知られている事柄、既に共有されている事実 

●カジュアルな表現●

・言うまでもないこと、当たり前のこと

・常識的な話

・当然の認識

■言い換え表現

「周知の事実」は、相手もその事実を知っていることを前提で使うべきフレーズです。相手がそれを知らなかった場合には恥をかかせたり、嫌味に捉えられる可能性もああります。

目上の人や取引先などに使用する場合は、「ご存知かと思いますが」「念のためお知らせしますが」というような湾曲な言い回しをしたほうがいいかもしれません。


【「周知」と似ているけれど違う単語もチェック!】

■承知(しょうち)

承知には「事情などを知ること。また、知っていること。わかっていること」という「周知」と同じ意味のほか、「依頼や要求などを聞き入れること。承諾」という意味も。「承知しております」は前者、「承知しました」なら後者の意味に。また「相手の事情などを理解して許すこと」という意味もあり「二度目は承知しない」というように使います。

■衆知(しゅうち)

衆知は「周知」同様の意味だけでなく、「多くの人の知恵。衆人の知恵」という意味も。「周知」と発音も同じなので紛らわしいのですが、「衆知を集める」や「衆知を生かす」というように使います。


【ビジネスシーンで使える「周知」を活用しよう】

今回は「周知の事実」というフレーズを見てきましたが、最後に「周知」という単語のビジネス活用についてもご紹介しましょう。「知らせる」や「告知」より、ぐっと語彙力の高いフレーズなのでぜひ使ってみてください。

・「ご周知くださいますようお願いいたします」

・「進捗状況はチーム全員の周知徹底が鉄則だ」

・「災害時の避難経路について社内で周知を図る」

新しいガイドラインを周知するため、全体ミーティングを開催する」

周知内容に誤りがあった場合は、速やかに修正し再送してください」

「以下の点について関係部署へ周知済みです」

周知漏れによって生じた問題について報告いたします」

***

目上の人に「周知の事実ですよ」などと言っては失礼に当たることもあるので、「ご存知かと思いますが」などに言い換えるのが得策! 相手によって言い換えや類語を使ってこそ“大人の語彙力”ですね。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『決定版 すぐに使える! 教養の「語彙力」3240』(西東社)/『印象が飛躍的にアップする 大人の「言い方」練習帳』(総合法令出版) :