後輩や部下に「それは周知の事実ですよ~」などと言われたら、ちょっと馬鹿にされたような気がしませんか? 「周知の事実」とは「広く知れ渡っていること」を意味するフレーズなので、「そんなことも知らないの?」というニュアンスを感じてしまうからかもしれませんね。ということは、使い方や相手を間違えると失礼に当たる可能性があるということ。目上の人にも感じよく伝えるために、言い換え表現なども見ていきましょう。
【目次】
- 「読み方」「意味」は?「周知の事実」の基礎知識
- 「周知の事実」の使い方がよくわかる「例文」3選
- 「周知の事実」の「類語」「言い換え」表現
- 「周知」と似ているけれど違う単語もチェック!
- ビジネスシーンで使える「周知」を活用しよう
【「読み方」「意味」は?「周知の事実」の基礎知識】
■読み方
「しゅうちのじじつ」と読みます。
■意味
「周知」とは「広く知ること。世間一般に広く知れ渡っていること。また、広く知らせること」といった意味。したがって「周知の事実」とは、「世間的に広く知れ渡った実際の事柄」ということになります。多くの人が知っている当たり前のこと、というわけですね。
■使い方
「周知の事実」での「周知」は、「すでに知れ渡っていること」という意味で使用します。例えば、「新型コロナウイルスの感染予防として、密を避けるのが有効であることは周知の事実だ」というように使います。一方で、「周知」は「広く知らせること」でもあるので、「ご周知ください」は「広く知らせてください」という意味に。
■英語で「周知の事実」は?
・everybody knows it ・a well-known fact ・accepted fact ・common knowledge
などで表わせます。
【「周知の事実」の使い方がよくわかる「例文」3選】
■1:「あの部長が、いつも部下の努力を自分だけの手柄のように公表するのは周知の事実だ」
■2:「悪しき生活習慣がさまざまな健康被害をもたらすことは周知の事実だ」
■3:「この番組がブレイク芸人を生んでいるのは周知の事実だ」
【「周知の事実」の「類語」「言い換え」表現】
■類似フレーズ
・公然の事実 ・既知の事実 ・一般常識 ・万人の知るところ ・公知のこと
■言い換え表現
「周知の事実」は、相手もその事実を知っていることを前提で使うべきフレーズです。相手がそれを知らなかった場合には恥をかかせたり、嫌味に捉えられる可能性もああります。目上の人や取引先などに使用する場合は、「ご存知かと思いますが」「念のためお知らせしますが」というような湾曲な言い回しをしたほうがいいかもしれません。
【「周知」と似ているけれど違う単語もチェック!】
■承知(しょうち)
承知には「事情などを知ること。また、知っていること。わかっていること」という「周知」と同じ意味のほか、「依頼や要求などを聞き入れること。承諾」という意味も。「承知しております」は前者、「承知しました」なら後者の意味に。また「相手の事情などを理解して許すこと」という意味もあり「二度目は承知しない」というように使います。
■衆知(しゅうち)
衆知は「周知」同様の意味も表しますが、「多くの人の知恵。衆人の知恵」という意味も。「周知」と発音も同じなので紛らわしいのですが、「衆知を集める」や「衆知を生かす」というように使います。
【ビジネスシーンで使える「周知」を活用しよう】
今回は「周知の事実」というフレーズを見てきましたが、最後に「周知」という単語のビジネス活用についてもご紹介しましょう。「知らせる」や「告知」より、ぐっと語彙力の高いフレーズなのでぜひ使ってみてください。
・「ご周知くださいますようお願いいたします」
・「進捗状況はチーム全員の周知徹底が鉄則だ」
・「災害時の避難経路について社内で周知を図る」
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目上の人に「周知の事実ですよ」などと言っては失礼に当たることもあるので、「ご存知かと思いますが」などに言い換えるのが得策! 相手によって言い換えや類語を使ってこそ“大人の語彙力”ですね。
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『決定版 すぐに使える! 教養の「語彙力」3240』(西東社)/『印象が飛躍的にアップする 大人の「言い方」練習帳』(総合法令出版) :