「厭う」ってなんと読む?「きらう」ではありません!

明日・2月18日『嫌煙運動の日』です。これは、1978(昭和53)年のこの日、東京都の四谷で「嫌煙権確立をめざす人々の会」が設立したことにちなんでいます。当時はまだ「嫌煙権」という言葉も耳なじみのない時代でしたが、多くのマスコミがこの集会を報道したこともあり、日本での本格的な嫌煙運動スタートの契機となりました。ということで、本日はまず「嫌」という字に関連する日本語クイズをお送りします。

【問題1】「いやみ」の正しい漢字表記って?

「人に不快な感じを与える言い方、身なり、態度」「ことさら気取ったさま」などの意味をもつ、「いやみ」という言葉の漢字表記として正しいものを、以下の選択肢の中から選んでください。

1:嫌味

2:厭味

3:嫌み

4:厭み

「いやみ」の漢字表記として正しいのはどれ?
「いやみ」の漢字表記として正しいのはどれ?

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は↓に‼
正解は↓に‼

正解は… 1~4のすべて です。

どの表記で書いても正解です。
どの表記で書いても正解です。

「いやみ」という言葉、会話や文章でしばしば使いますが、漢字表記となると人やケースで異なり、どれが正解なのか意外とわからないまま…という方、多かったのでは?

「いやみ」は「嫌味/厭味/嫌み/厭み」どの表記でも正解です。

まず、「いやみ」の「いや」の漢字表記は、「嫌(いや)」「厭(いや)」どちらでもOK。「嫌(いや)」は「気持ちよく思わない。きらう」という意味、「厭(いや)」は「不愉快」「これ以上したくない」という意味で、どちらも「不快」「対象をきらう」気持ちを意味するので、現在、厳密な使い分けはありません。「いやみ」の「み」については、「形容詞を名詞にする役割を持つ接尾辞」から来ているので、本来はひらがな表記の言葉ですが(昨今の若者言葉で「わかりみ」「やばみ」などに使用する「み」は、この機能を持つ接尾辞でしょう)。「いやみ」という言葉が長く使用されるなかで「嫌味」「厭味」と「み」を「味」とあてて書く慣習ができ、現在は辞書にも掲載されています。

…ということで、「いやみ」は4通りの漢字表記を正解とする言葉なのです。

さて、2問目は「厭(いや)」の字の入った日本語のクイズです。

【問題2】「厭う」ってなんと読む?

「厭う」という日本語の正しい読み方をお答えください。

ヒント:「きらって避ける」「かばう。大事にする」などの意味をもつ言葉です。

<使用例>

「近頃は寒暖差が激しいので、お体、お厭いくださいませ」

「○○う」。
「○○う」。
 

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は↓に‼
正解は↓に‼

正解は… 厭う(いとう)です。

正解できましたか?

「労働を厭う(ろうどうをいとう)」と言えば、「働くことを嫌がって避ける」という意味になりますが、例文のように「身体を厭う(からだをいとう)」というと「身体をいたわり大事にする」という、一見、正反対の意味を持つように思えます。しかし、「厭う(いとう)」には「避ける」「(悪いものから)かばう」という意味があるので、「身体を厭う」は、「無理無体なことなど、健康を害するようなことをさけ、ご自身をかばってください」というニュアンスです。「自分の身体をきらう」という事ではありません。「厭う(いとう)」は、使いこなすと、知的で思いやりのある美しい日本語表現になりますので、気になる方は、使い方をまとめたこちらの記事もご一読ください。

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本日は、2月18日『嫌煙運動の日』にちなんで、

・「いやみ」の正確な漢字表記→嫌味/厭味/嫌み/厭み

と、

・厭う(いとう)

の読み方、言葉の背景などをおさらいいたしました。

この記事の執筆者
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Precious.jp編集部 
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参考資料:『デジタル大辞泉』『精選版日本国語大辞典』(株式会社小学館)/『漢字ペディア』(公益財団法人日本漢字能力検定協会)/一般社団法人日本記念日協会ウェブサイト
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小出 真朱