「お客様が来る」「クライアントが来る」「打ち合わせに来る」など、ビジネスシーンで「来る」ことを表現する機会は多いもの。さまざまなシーンにふさわしい「来る」の敬語表現をしっかり身に付けましょう。
【目次】
【「来る」の読み方、実は「きたる」?基礎知識】
■読み方
「来る」は「くる」あるいは「きたる」と読みます。
■「来る(くる)」の意味
小学館『デジタル大辞泉』によると「来る(くる)」は、「1.空間的に離れているところから自分のほうに向かって動く」「2.時間的に近づく。ある季節・時期・時間になる」「3.そのことが原因・契機になってある事態が生じる。由来する」「4.事態が進んである状態に至る」など、複数の意味をもつ動詞です。4は「ピンとくる」や「じ~んとくる」など、何かによってある反応や感覚、感情が起こることを表します。いずれにしても、すでに完了していることについて言います。
■「来る(きたる)」の意味
一方の「来る(きたる)」は、「近いうちに来る」「この次の」といった意味なので、まだ完了していません。「来る(きたる)三連休は~」といったように、近い将来のことを言います。告知の鉄板ワードですね。ただし、「来る」という表記は「くる」とも「きたる」とも読めてしまい、どちらの意味でも通じる場合があります。確実に「きたる」と読ませるためには「来たる」と、送り仮名は「たる」としたほうが良いでしょう。
【「来る」の敬語表現】
敬語は相手を敬って言う表現方法ですが、相手を立てるのか、自分を下げるのかなどによって使う言葉が変わります。相手の動作としての「来る(くる)」の敬語活用をおさらいしましょう。
■「来る」の尊敬語
・来られる ・見える ・いらっしゃる ・おいでになる ・お越しになる ・お見えになる
・ご足労いただく ・お運びいただく
目上の相手に使用する尊敬語はバリエーションが豊富ですね。このほか、特別なお客さまに対しては「ご来駕(らいが)」や「ご来臨(らいりん)」なども使用します。
■「来る」の謙譲語
・参る ・伺う ・参上する
■「来る」の丁寧語
・来ます
丁寧語も敬語のひとつですが、尊敬の意味は含まれていません。したがって目上の相手には不向き。取引先や上司には尊敬語か謙譲語を用いましょう。
【「来る」の敬語達人になれる「例文」10選】
■1:「明日は先方の本部長も来られると連絡がありました」
■2:「お客さまがお見えになりました」
■3:「いらっしゃるのは何名様ですか?」
■4:「おいでいただく際にはご連絡くださいませ」
■5:「いつごろお越しになる予定ですか?」
■6:「近いうちに再びお見えいただけますよう、心よりお待ち申し上げます」
■7:「本日はご足労いただき、誠にありがとうございました」
■8:「遠方よりお運びいただき、恐縮に存じます」
■9:「お目にかかれるのを楽しみに参りました」
■10:「明日もこちらへお伺いしたいのですが、よろしいでしょうか?」
【「来る」の敬語表現「使用上の注意」】
よく使う言葉こそ、使い方を再確認しておくべきですね。ここで敬語表現としての「来る」の使用上の注意点をおさらいします。
■目上の人が来ることを言う場合は尊敬語(いらっしゃる、おいでになる、お越しになる、など)を使う。
■自分が来たことを示す場合は謙譲語や丁寧語(参る、伺う、来ます、など)を使う。
■丁寧語(来ます)は同等あるいは目下の相手に使う。
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使う機会の多い「来る」の敬語表現はしっかり覚えておきたいもの。今日もワンステップ、“大人の語彙力”がアップしましたね!
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『今日から役に立つ! 使える「語彙力」2726』(西東社)/『敬語ネイティブになろう!!』(くろしお出版)/ :