近年、ラジオの人気が再燃中!
スマートフォンのアプリでも聴くことができるようになり、若い世代へもその裾野を広げています。
そんなラジオを題材にした名作について、代官山『蔦屋書店』の文学コンシェルジュ・間室道子さんに伺いました。
冬至に向けて夜の時間が長くなると、ラジオが話題になります。テレビの登場、ネットの台頭で、「地味」、「時代遅れ?」と見られがちですが、災害時に頼りになるのはダントツでラジオ。
ここ数年、大地震や土砂崩れが相次ぐ我が国。停電でテレビがだめ、スマホもだめ、新聞も届かないという状況で、「ラジオが唯一、世の中と自分をつないでくれた」という方、多いです。
日常でも、若者たち、特に20代男性に、ラジオは再人気とか。理由は芸人さんたち。
「コンプライアンス!」のひと言で局から規制されたり、冗談が曲解されてネットが炎上するのにうんざりしたのか、ワイドショーにゲスト出演する芸人さんは遠慮がち。
「突っ込むのはおばちゃんコメンテーターやタレント作家なのよね」と、ある大物がぼやいていました。
その点ラジオは「あの童顔芸人が下ネタ!」、「あの温厚芸人が毒舌!」とよい意味での無法地帯、生き生きした本領発揮の場所であり続けています。
音楽でも「テレビやネットに夢中!」というものは浮かばないけど、ラジオがテーマの曲ならたくさん思いつく。ラジオは「あなただけに語りかけている」というムードがあるからなのでしょう。
本でも、ラジオの名作が多いのです。
吉田篤弘さんの『台所のラジオ』は、遠くて近い、近くて遠い、昔の味の思い出や愛しい相手の心の中。そんな登場人物のそばではいつもラジオが鳴っていた、という12の物語。
道尾秀介さんの『透明カメレオン』は、外見はちんちくりんで声だけが異常によい男性DJが謎の女の事件に巻き込まれるミステリー。
『ナショナル・ストーリー・プロジェクトI・II』は、世界的作家がラジオ番組のために全米から募った実話集。奇妙さ、ありえなさに感動です。
さあ今夜はラジオのスイッチを。
- TEXT :
- 間室道子さん 代官山 蔦屋書店コンシェルジュ
- クレジット :
- 撮影/田村昌裕(FREAKS) 文/間室道子