「ご承諾」は相手の意見や希望、要求などを聞いて、受け入れることを意味する敬語表現です。「ご」は行為者を立てる接頭語ですから、「ご承諾」という言葉を使うのは、あくまで「承諾される側」であることがポイントです! 今回は「ご承諾」の使い方がよくわかる例文を紹介すると共に、「ご了承」や「ご快諾」との違いを解説します。

【目次】

「承諾する側」を立てる敬語表現です。
「承諾する側」を立てる敬語表現です。

【「ご承諾」を理解するための「基礎知識」】

■読み方

「承諾」は「しょうだく」と読みます。古くは「じょうだく」と読まれたそうです。

■意味

「承諾」とは一般的に「相手の意見や希望、要求などを聞いて、受け入れること」の意味で使われます。法律の分野では「申し込みに応じて契約を成立させる意思表示」となり、「一定の事実の承認、または同意の意」に用いられることもあります。

「ご承諾」の「ご」はその行為者を立てる接頭語。つまり「ご承諾」は「承諾する側」を敬った言葉です。従って、「ご承諾」を使えるのは「承諾される側」依頼やお礼の文章で使われることが多いですが、少々わかりにくいかもしれませんね。ぜひ、例文をチェックしてみてください。

■英語で言うと?

「承諾」に相当する英語は[consent]や[agree]です。

・He got  his father's consent for his trip abroad.(海外旅行について父親の承諾を得た)

・His boss consentedagreedto his proposal.(上司は彼の申し出を承諾した)

・I gave up trying to win his consent .(彼に承諾させることは諦めた)


【ビジネスシーンでの「ご承諾」の「使い方」がわかる「例文」7選】

■1:「ご承諾いただけますでしょうか」

■2:「ご承諾いただけますと幸いです」

■3:「ご承諾いただけますようお願い申しあげます」

■4:「ご承諾の程、何卒お願い申し上げます」

■5:「ご承諾くださり、ありがとうございました」

■6:「○○部長にはご承諾をいただいております」

1〜4は、承諾の依頼として。5と6は承諾後に使われます。

■7:NG「ご承諾させていただきます」

謙譲表現のつもりで「ご承諾」を用いるのはNGです。自分が「相手の願いや要求などを聞いて、その通りにする」のであれば、「承知いたしました」「承りました」を使いましょう。


【「ご了承」「ご快諾」との違いは?】

「ご了承」、「ご快諾」の「ご」も、「ご承諾」と同様、行為者に敬意を払う接頭語です。言葉の構成は3つとも同じです。

■ご了承

デジタル大辞泉』(小学館)によると「了承(りょうしょう)」の意味は「事情を汲んで納得すること。承知すること。承諾」です。「承諾」と同じような意味でも使われますが、『類語例解辞典』(小学館)には類語として「了解」や「承知」が挙げられます。これらに共通する意味は、「相手の要求や行為を理解して、認めたり許したりすること」です。一方、「承諾」には「相手の事情をくんで」といったニュアンスはありません。ここが「了承」との違いです。

■ご快諾

「快諾」は「依頼や申し入れを快く承諾すること」。「快」の字には「気持ちがいい。喜ぶ」のほかに「したいようにする」という意味があります。従って「快諾」には、「気持ちよく引き受ける」というポジティブなニュアンスが含まれます。先方がこちらに気を遣って承諾してくれた案件に対して、「ご快諾ありがとうございます!」などと返答し、相手を困惑させないように注意したいところです。


【「承諾」の「類語」「言い換え」表現】

「相手の願いや要求などを聞いて、その通りにする」という意味をもった、「承諾」の類語をご紹介します。

■類語

・ご承認 ・ご受諾 

「承認」は、主として公的な内容を公の機関や個人が公的な立場で認める場合に用いられます。また、「国会の承認を得る」のように、正当であると認めることも指します。「受諾」は、要求や勧告など、ある種の圧力を伴って求められたことについて用いられます。

■口頭で使いやすい言い換え表現

・受け入れてくださり  ・お受けくださり

・お認めくださり 

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「ご承諾」の意味や使い方はご理解いただけましたでしょうか? 「ご了承」や「ご承認」など類語も多く、日常的には同じように使われるシーンもありますが、正確な意味を把握することで、誤解やミスを防げますよ。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館) /『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) /『新選漢和辞典Web版』(小学館) :