お酒を飲むと気分がよくなり明るく笑う人のことを「笑い上戸」と言います。お酒を飲まなくても、よく笑う人も「笑い上戸」と呼ばれますね。では、この「上戸」ってどんな言葉なのでしょう? 「笑い上戸」以外に使い道はある? 知っているようで全然わかってないかもしれない「笑い上戸」について、しっかり確認していきましょう。 

【目次】

「笑い上戸」とはいうけれど「笑い下戸」とは言わない?
「笑い上戸」とは言うけれど「笑い下戸」とは言わない?

「笑い上戸」とは?「意味」や「由来」など基礎知識】

■読み方

「笑い上戸」は「わらいじょうご」と読みます。聞くことはあっても書く機会はほとんどないでしょうかもしれませんね。「上戸」という漢字を使うって知っていましたか?

■意味

笑い上戸には、ふたつの意味があります。

(1)酒に酔うとよく笑う癖のあること。また、その癖のある人。

(2)日常的に、ちょっとしたことでもよく笑う人。

お酒が入っていてもいなくても、明るく笑う人は気持ちがいいものですね。けれど、時と場合によっては大声で笑ったり喋ったりするのはマナー違反の場合も。周囲への気遣いができなくなるほど酔うのは、大人としてNG行為です。

■なぜ上戸? 

そもそも「上戸(じょうご)」という単語には「お酒を多く飲む人、酒好き、酒飲み」という意味があります。そう、「下戸(げこ)」と言ったら「お酒を飲めない人」のことですね。

お酒が飲める飲めないを「上戸」「下戸」で表すのには理由があります。

古代の法典である大宝律令(たいほうりつりょう)では、労働の義務をもつ男性が6~8人いる家を上戸(じょうこ)、4~5人の家を中戸(ちゅうこ)、3人以下だと下戸(げこ)といいました。また、裕福な家庭を上戸、貧しい家を下戸とも。江戸時代になると、婚礼の際にふるまう酒の量が決まっていて、上戸の家は8瓶、下戸の家は2瓶だったとか。ここから、上戸の家では多くの酒が飲まれ、下戸の家には酒が乏しいことから、酒飲みを「上戸」、飲めない人を「下戸」というようになったと言われれています。また、中国が起源という説も。「戸」は酒量のことで、酒飲みを表す「上頓(じょうとん)」と、酒量が多いことを表す「戸大(こだい)」から一文字ずつとって酒飲みを「上戸」、その反対の意味を「下戸」としたのだとか。


【「笑い上戸」の「使い方」がわかる「例文」5選

まずは、お酒を飲んで明るくなる人の「笑い上戸」の使い方を挙げてみます。

■1:「いつもクールなあの人が、お酒の席では別人のように笑い上戸だったよ」

■2:「笑い上戸も行き過ぎると、恥ずかしいことがあるからほどほどにしてほしい」

■3:「泣き上戸は困るけど、笑い上戸は可愛げがある」

お酒に関係なく、よく笑う癖のある「笑い上戸」はどう使うでしょう。

■4:「箸が転んでもおかしい年ごろ…という年齢でもないから、彼女は笑い上戸なんだろう」

■5:「いつもむすっとしているより、笑い上戸なくらい明るい人が好みです」


【「笑い上戸」を別の言い方では?「類語」「言い換え」表現】

■げら

よく笑うことを「ゲラゲラ笑う」といいますね。ここから「笑い上戸」を「げら」と呼ぶのですが、実はこれ、山形、兵庫、奈良、徳島、香川などに多い方言です。また、「おげら」や「げらすけ」「げらさく」などと使う地域も。

■笑いのツボが浅い

「笑いのツボ」とは笑うポイントのこと。「些細なことでも笑ってしまう=笑い上戸」ということですね。ちなみに、なかなか笑わない人のことは「笑い下戸」ではなく「笑い下手(べた)」と言います。


【「笑い上戸」に相当する英語】

■a merry drinker(酔うと笑うほうの「笑い上戸」)

■a person who laughs easily(よく笑う人の意味の「笑い上戸」)

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現代の「上戸」は、「笑い上戸」のほかに「泣き上戸」や「怒り上戸」というように、お酒に酔うとよく出る癖を表す言葉です。「上戸」と「下戸」は難しい漢字ではありませんが、書けたらちょっと自慢…かも!

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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『語源まるわかり事典~「言葉」のなぜ?どうして?がわかる本~』メイツ出版/『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) :