「オネシャス」もしくは「オナシャス」という言葉を知っていますか?「オネシャス」は「お願いします!」を意味するネットスラングです。たとえ自分は使わなくとも、後輩や部下からこう言われたら、さらっと返したいですよね。今回は「オネシャス」について、その意味や由来、使い方を解説します。

【目次】

"なんと…下ネタ由来の言葉です。

【「オネシャス」ってどんな「意味」?押さえておきたい「基礎知識」】

■意味

「オネシャス」は、「お願いします」を意味する言葉です。7文字を5文字に略すの? など、あまり深く考える必要はありません(笑)。表記はカタカナでもひらがなでも大丈夫です。

■「いつから」使われるようになった?「由来」は?

SNSや若者世代の日常会話でたびたび登場する「オネシャス」は、元々ネット上で使われていた、いわゆる「ネットスラング」ですが…実はあるアダルトビデオが大本のネタなのだとか。ビデオの中で呂律(ろれつ)の回らない登場人物が発した「お願いします」が「オナシャス」と聞こえたことをおもしろがった視聴者が、ネットでネタにしたことを発端に、この言葉が広がっていったそうです。その作品の発売は2001年といいますから、「オナシャス」の歴史は想像以上に古いのですね! そしてネット上で拡散される過程で「オナシャス」が「オネシャス」へと変化していったようです。「オネシャス」が『現代用語の基礎知識』に初めて掲載されたのは2019年なので、当時使用していた人のなかにも、元ネタや由来を知らずに使っていた人は多かったのではないでしょうか。

■「オナシャス」との違い

前述の通り、「オナシャス」は、「お願いします」の聞き間違えを元ネタとした言葉です。「オネシャス」の語源とも言える言葉ですから、当然、意味や使い方はまったく同じです。ちなみに『現代用語の基礎知識』には「オネシャス」の記載はありますが、「オナシャス」は載っていません。

■「半沢直樹」との関連は?

「オネシャス」という言葉をさらにメジャーにしたのが、2020年の7月から9月に放送されたTVドラマ「半沢直樹」(TBS系列)です。覚えている方もいるのでは? 

問題のシーンは第8話。香川照之さん扮する大和田暁が、堺雅人さん扮する半沢直樹に頼みごとをするシーンがありました。このとき、どうしても半沢に頭を下げたくない大和田は、「お願いします」とは言わず、「オネシャス」と言ったのです。対する半沢は憤然とした表情で「オネシャス? 2文字足りない」と言い放ち、大和田に「お願いします!! これでいいだろっ!!!」と訂正させるのです。

本来であれば、次長である半沢より立場が上の大和田取締役に、あえて「オネシャス」ではなく「お願いします」と言わせることで、ふたりの立場が逆転したことを象徴させる、名シーンでした。


【「類語」「言い換え」表現】

■オナシャス

■オネガシャス

■お願い!

■よろしく!

大人のビジネスパーソンとしては、上のふたつは使わないほうがよさそうです。


【「オネシャス」の使い方がわかる「例文」4選】

会話や文章で「オネシャス」を使うときは、お願いしたい案件や希望のあとに「オネシャス!」と沿えるのが基本形です。

■1:「コンビニ行くけど、ついでに何か買ってくる?」
   「アイス、オネシャス!」

■2:(SNSで)「おもしろかったら登録&RT(リツイート)オネシャス」

■3:「明日もよろしくオネシャス!」

■4:「…ということで、ここだけの話でオネシャス!」

「オネシャス」の前に沿える言葉としては「よろしく」「マジ」「よしなに」「よかったら」など、さまざまです。


【ビジネスシーンで相手に使われたときの「返し方」は?】

まずは大前提として、ネットスラングである「オネシャス」は、敬語を使わない者同士、しかもかなりカジュアルな場面限定で使われる言葉です。従って、日々「大人の語彙力」を磨く私たちは、ビジネスシーンでは使わないのが鉄則。大人としての判断でもありますが、そもそもネットスラングを口にする行為自体、エレガントではないと思いませんか? とはいえ、ビジネスシーンであっても、流行語を使ってみたい上司や親しい後輩から、「オネシャス!」と言われることもあるでしょう。そんなときはどんな「返し」をすればよいのでしょうか?

結論から言えば、「オネシャス」に決まった「返し」はありません。

上司に対しては笑顔で「了解です!」、後輩には「オケー」などなど、少しくだけた返事をすればいいのでは。対面で「オネシャス」を「お願いします」の代わりに使う人は、あなたと自分の関係性が近いものであると認識しているはず。空気を読んで、朗らかに「普通に聞き流す」のが大人の対応と言えるのではないでしょうか。

***

「あざーす」という言葉はご存じですか? 「オネシャス」同様、「ありがとうございます」が省略された言葉です。ほかにも「バ先(バイト先)」など、若者言葉は増殖の一途をたどっています。自分が使う使わないはともかくとして、日本語の変化(進化?)は本当におもしろいですね! どんなときもゆったりと、おおらかに、変化を楽しめる心境でありたいものです。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『現代用語の基礎知識』(自由国民社) :