「ひとりごちる」の漢字表記は「独り言ちる」です。こう書くと、意味も自然に「ひとりごとを言うこと」とわかりますね! 今回は「ひとりごちる」の意味や使い方、言い換え表現について解説します。

【目次】

昭和期にできた言葉と言われています。
「昭和期に使われ始めた言葉」だといわれています。

【「ひとりごちる」を正しく理解するための「基礎知識」】

■「意味」は?

「ひとりごちる」は「ひとりごとを言う」という意味の言葉です。「ひとりごと」とは「聞く相手がいないのに、ひとりでものを言うこと」です。

■「漢字」で書くと?

『デジタル大辞泉』によれば、「ひとりごちる」は、元々「独(ひと)り言(ごと)」という名詞が「独り言(ご)つ」という動詞になり、さらに「独り言ちる」と変化してできた、比較的新しい言葉です。そのため、「ひとりごちる」は「ひとりごつの誤用」とする辞書もあるようです。ただ、語源が「独り言」だったことを理解していれば、意味は簡単に推測できますね。

■「古語」?それとも「方言」?

「ひとりごちる」は「ひとりごつ」が口語化して昭和期に使われ始めた言葉だとされています。つまり「古語」とまではいかず、「方言」でもありません。ちなみに「ひとりごつ」そのものは古語の動詞で、古くは『枕草子』に登場しますし、明治期の小説などにも使われています。


【使い方がわかる「例文」3選】

前述の通り、「ひとりごちる」は昭和期に、しかも主に文章の中で使われ始めた言葉です。語源となった「ひとりごつ」の多くは「ひとりごちた」のように「過去・完了・存続」を意味する助動詞の「た」と合わせて用いられます。例文の1は小説家・堀辰雄の『3つの挿話』からの抜粋です。

■1:「『ああ、逃がしちゃった』と…すこし上ずった声でひとりごちた」

■2:「駅からの帰り道、思わず“う〜寒い”とひとりごちた」

■3:「彼女は“あぁ疲れた…”とひとりごちて帰って行った」


【「類語」「言い換え」表現】

■呟(つぶや)く

「呟く」とは「小さい声でひとりごとを言う」ことを意味します。「ツイートする」ことも「呟く」と言いますね。

■ぼやく

「ぼやく」は、「ぶつぶつとひとりごとのように言う」という意味の言葉です。主に不満や小言を言う際に使われます。

■独話する

■独語する

「独語」も「独語」も「独り言」の類語で文章語です。

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Twitterにはハッシュタグ「#ひとりごちる」という投稿が存在しますが、Twitterという言葉自体、もともとは「鳥のさえずり」という意味をもち、日本語では「つぶやき」と訳されました。そして「つぶやき」とは「小さい声で言うひとりごと」のこと。つまりTwitterこそが「ひとりごちるツール」とも言えるのです。おもしろいですね!

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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) :