今や女性のライフスタイルに不可欠な腕時計。日々を彩る装飾具以外の面でも注目が集まる昨今、好奇心は高まる一方。そこで、雑誌『Precious』9月号では、特集「今さら聞けない『ラグジュアリーウォッチの美学』」を展開。静的な芸術として独自の時計観をもつ、ウォッチジャーナリストで大学教授の並木浩一先生にその魅力をうかがいました!
なぜ人々は美しい時計に魅了されるのか? 専門家の視点から、わかりやすくひもときます!
今回は、「時計製造における「匠の技」とは?」についてお届けします。
Q:時計製造における「匠の技」とは?
機械式時計の価値を高めるべく注がれた「匠の技」。時計界では、メティエダールと呼ばれる多彩な装飾技法が代表的です。エナメルの細密画やクロワゾネと呼ばれる七宝、ケースやダイヤルへの彫金、ギョウシェ彫などもこれにあたるでしょう。
時計製作を行うジュエラーのなかには、宝飾の技術を応用するものも少なくありません。例えば、金細工の伝統を持つ「ショパール」は、ゴールドに対する取り組みが顕著です。一方、「ピアジェ」のなかでも有名な極薄ムーブメントは、装飾のために時計の容積を最小限にすべく開発されたという逸話もあります。
工業素材のセラミックを宝飾素材に昇華したのは「シャネル」の『J12』。艶やかに輝くセラミックは温度伝達速度が遅いことから肌なじみがよく、擦り傷がつきにくいため時計のケースとして理想の存在。ただ焼成する際に個体差が出やすい素材ゆえ加工には高度な技術が必要とされるなかで、「シャネル」が実現します。これも別の意味で、匠の技で時計の魅力を高めたものといえるはず。(並木さん)
マドモアゼルやロケット、星座を描くダイヤルで「コズミック=宇宙」を表現。艶やかに磨き上げた外装やリュウズのセラミックカボションに、この素材を宝石に見立てる遊び心がのぞく。
※文中の表記は、SS=ステンレススティールを表します。
※掲載商品の価格は、税込みです。
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- PHOTO :
- 池田 敦(CASK)
- STYLIST :
- 関口真実
- WRITING :
- 髙村将司
- EDIT&WRITING :
- 安部 毅、岡村佳代、安村 徹(Precious)