【目次】

【「おいとまする 」の意味は?【基礎知識】】

訪問先からの帰り際、立ち去る際に使われる「おいとまする」という言葉。正確な意味をご存知ですか? そもそも、「いとま」ってなんでしょう。徹底解説します!

「意味」

「いとま」とは、「休む間」や「別れ」を意味する言葉です。「おいとまする」を直訳すれば「あなたの前を去っていく」という意味で、簡単に言えば「帰る」を柔らかく丁寧に表現した言葉です。ビジネスシーンでは、取引先の事務所や顧客のもとなど、訪問先から立ち去る際に、「帰ります」「帰社します」という意味合いで「おいとまします」が使われます。

■方言なの?「語源」 

「おいとまする」は方言ではありません。「いとま」という名詞に接頭語の「お」をつけ、動詞化させたフレーズです。

「いとま」には「休む間」や「別れ」という意味のほか、「仕事と仕事の間の何もしないとき」や「物事から解放されて精神的にものびのびと自由にふるまえるとき」「暇(ひま)」や、「喪の忌に服すること、忌引(きび)き」「離縁、離婚」などの意味もあります。

■「漢字」で書くと?

「いとま」を漢字にすると「暇」。漢字のほうが意味が伝わりやすいですね! 「おいとま」は「御暇」となりますが、一般的にはひらがな表記のほうが多いようです。


【「使い方」がわかる「例文」】

■1:「今日はこのあたりでおいとまします」

■2:「そろそろおいとまいたしますので、どうぞお構いなく」

■3:「3時にはおいとまさせていただきますので…」

「おいとま」はそれ自体で丁寧な表現ではありますが、目上の方に対して使うのであれば、「おいとまいたします」「おいとまさせていただきます」のように、謙譲表現にして使うと、いっそう礼儀正しい印象になります。

■4:「長い間お世話になりましたが、おいとまいただけますでしょうか」

こちらは退職や辞職、辞任を申し出る際の表現です。少々古風な言い方という印象がありますね。現代では、口頭で聞いても、いささか伝わりにくいかもしれません。


【「類語」「言い換え」表現】

「類語」や「言い換え」表現なども覚えておきましょう。

■帰る

「そろそろ帰ることにいたしましょう」

■失礼する

「本日はここで失礼いたします」

■退社する

「もう退社してもよろしいでしょうか」

■辞去する

「部長のお宅を辞去する際に頂戴しました」

■引き揚げる

「作業が終わり次第引き揚げる予定です」

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「おいとまする」は「帰る」を柔らかく丁寧に表現した言葉で、ビジネスシーンでは、訪問先から立ち去る際などに使われます。ただし、「いとま」には、「職を離れる」「離縁する」といった意味もあるため、残業中に上司に「帰る」という意味で「そろそろおいとましたい」と言ったとき、「退職したいのか?」と思われることも状況やタイミングによってありえます。また、配偶者に対して「いとまをいただきます」と言えば、「離婚して実家に戻る」という意味で長く使われてきました。そんな知識も頭に入れておいてくださいね。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『美しい「大和言葉」の言いまわし』(三笠書房) :