「俯瞰」はやや難しい言葉でしょうか。「興に乗ってくるとディテールにばかり目が行きがちだけれど、冷静に俯瞰することも大切だ」「俯瞰したら構造自体に無理があることがよくわかった」など、ビジネスシーンでもよく使われる言葉ですが、誤用も多く見られます。今回はこの「俯瞰」について、しっかり確認していきましょう。

【目次】

「俯瞰で見る」は間違いなので気をつけて!
「俯瞰で見る」は間違いなので気をつけて!

【「俯瞰」とは?「読み方」や「意味」を確認!】

■読み方

「俯瞰」は「ふかん」と読みます。読むことはできても書くことが難しい漢字ですね。

■意味

「高い所から見下ろし眺めること」を「俯瞰」といい、「展望台から街並みを俯瞰する」のように使います。また、「(比喩的に)広い視野で物事を見たり考えたりすること。また、ある事柄や状況に対して客観視すること」も表し、ビジネスシーンではこちらの意味でよく使われます。そもそも「俯」という漢字は「俯(うつむ)く)」「俯(うつぶ)せ)」という意味をもち、「瞰」には「見下ろす」や「眺める」という意味があるのです。


【「俯瞰で見る」はトップクラスの誤用例!】

「俯瞰」自体は聞き慣れた言葉ですが、それだけに間違った使い方も多くなってしまいがち。例えば、「俯瞰して見る」や「俯瞰で見る」は誤用です。なぜなら、「俯瞰」という漢字には「見る」ことを表す「瞰」が使われているから。二重表現になってしまいます。正しい用法は「俯瞰する」や「俯瞰的に捉(とら)える」「俯瞰で考える」などです。


【ビジネスで「俯瞰する」とはどういうこと?】

ビジネスシーンで「俯瞰する」「俯瞰的に捉える」とは、どういうことなのでしょう。この場合は実際にビルの屋上など高いところから見下ろすことではなく、あくまでも「広い視野で物事を捉える」ことを表します。例えば、イベント運営のタイムスケジュールで、個々の所要時間などについては各担当者がじっくり検討しているものの、全体の時間の中での流れやバランスについては誰も確認していなかった…なんてことはよくあること。ここで全体を把握することを「俯瞰する」といい、プロジェクトが大きくなるほど「俯瞰」は重要になっていきます。

ビジネスシーンでの「俯瞰する」とは、実際には下記のようなニュアンスだといえるでしょう。

■プロジェクト全体を見渡すこと

■一歩引いたような視点で眺めること

■長期的な視点で考えること


【「ビジネスでの正しい使い方」を「例文」でチェック!】

■1:「トラブルにあった時こそ、俯瞰して原因を探ることが大切だ」

■2:「状況を正しく理解するには、細部と俯瞰、双方からの確認が欠かせない」

■3:「広い視野をもち、既成概念や慣例、習慣にとらわれない、俯瞰能力がチームリーダーには不可欠です」

■4:「自分自身のことになると、俯瞰するのは難しいものだ」

■5:「上司は俯瞰してジャッジできる人が望ましい」


【「類語」「言い換え」「対義語」も!】

まずは比喩的に使う「俯瞰」の「類語」や「言い換え表現」をご紹介しましょう。

■達観(たっかん)

広く大きな見通しをもっていること。遠い将来の情勢を見通すこと。「時勢を達観する」

■通観(つうかん)/通覧(つうらん)/概観(がいかん)/総覧(そうらん)

ひと通り目を通すこと。全体を見渡すこと。「世界情勢を通観する」「文化史を総覧する」

■大観(たいかん)/大局(たいきょく)

広く全体を見渡し、全体のありさまや成り行きを理解すること。「戦国時代を大観する」「大局的見地に立つ」

比喩的に使う「俯瞰」の対義語にはこんな言葉があります。

■偏狭(へんきょう)/狭量(きょうりょう)

自分だけの狭い考えにとらわれること。度量の小さいこと。「偏狭な考え方」「狭量な性格」

■近視眼的(きんしがんてき)

視野が狭いこと。「近視眼的な考え」


【ビジネス活用の「俯瞰」の「英語表現」は?】

高いところから見下ろす「俯瞰」は[overlook]や[look down at]などが使えます。比喩的に「広い視野で全体を見下ろす」というビジネス活用なら、[lookout][zoom out][bird's-eye view ​]で通じるでしょう。

・The ability to see things from a bird's-eye view is essential for a team leader.(ものごとを俯瞰して見る力はチームリーダーに欠かせない)

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仕事の現場では、「仔細な視点」と「俯瞰する能力」、どちらも欠かせません。ベテランビジネスパーソンになるほど、俯瞰力が問われるというもの。仕事だけでなく、時には自分自身を俯瞰することも大切ですね。

この記事の執筆者
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