旅情も高まる秋。露天風呂で紅葉を愛でながら温泉に浸かったり、季節の食材に舌鼓を打ったり…。この時期ならではの旅時間で心身をリフレッシュさせたい人は多いのではないでしょうか。そこで、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんに、秋に行くべき温泉宿をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、秋田県仙北市にある「角館山荘 侘桜」です。
公式サイト
里山に包まれた貸切露天風呂で至福の湯浴みを叶える
江戸時代に栄えた城下町で、“みちのくの小京都”と称される秋田県・角館(かくのだて)。武家屋敷が連なる街並みは、秋には紅葉が色づき、よりいっそう風情ある佇まいとなります。
その角館の中心地から車で15分ほどの山間にある「角館山荘 侘桜(わびざくら)」は、築200年の茅葺古民家を移築した湯宿。建物は周辺の里山風景に溶け込み、昔話の世界にタイムスリップしたかのようですが、館内は洗練された和モダンな雰囲気で、いい意味でのギャップに驚かされます。
「侘桜は全客室が源泉かけ流しの半露天風呂付き。誰にも気兼ねすることなく、自由気ままに温泉三昧できる環境です。窓を全開すると露天風呂のようになり、視線の先には広がる色鮮やかな里山が眼福。涼やかな秋風や鳥のさえずり、木々のざわめきを感じながら湯浴みすると、体の芯から癒されるのを実感できます」(植竹さん)
「客室の半露天風呂のほかに貸切露天風呂もあり、こちらは屋根もない完全野天の開放的な空間です。建物内から里山を遠目に眺めるのではなく、里山に入り込んで温泉に浸かっているかのような自然との一体感を得られます。
泉質は、pH9.6のアルカリ性単純温泉。とろりとした浴感の湯は鮮度もよく、乳化作用による美肌効果を期待できます。しばらく湯に浸かって体が温まったら、すぐそばのデッキテラスでのんびり寛げるのも非日常的な贅沢時間で、秋の風情を十二分に満喫できました」(植竹さん)
「敷地内に縁結び神社があるのも、『侘桜』のユニークな点。恋愛や結婚に限らず、仕事での良縁をつかみたい人にもご利益がありそうです。また、館内の施設としては、母屋の建築美も必見。今では手に入りにくい稀少な栗の木で造られた建物は情緒たっぷりで、囲炉裏を囲んだラウンジやバーカウンターで優雅なひとときを過ごすことができます」(植竹さん)
「さらに、『侘桜』の宿泊客は、県指定史跡の武家屋敷・青柳家の入館料が無料になるサービスも。ここも紅葉の名所なので、旅の思い出づくりにぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか」(植竹さん)
ミシュラン2つ星シェフがプロデュースした創作会席にも感動
「侘桜」の料理は、ミシュラン2つ星を獲得したの南麻布「分とく山」の総料理長・野﨑洋光氏が企画演出。野﨑氏の弟子でその極意を継承するシェフが、月替わりでメニューを考案し、珠玉の創作会席コースを提供します。
「自然に恵まれた秋田の食材を上品にアレンジした料理は、見た目も味も繊細そのもの。それでいてボリュームもかなりあるので、お腹をペコペコに空かしてダイニングに臨むのをおすすめします。
私が訪問した際には、秋田牛のステーキのあとに、鮪のすき煮が登場し、シメの釜飯にも鯛がふんだんに使われているなど、主役級の豪華食材が目白押し。山間の宿だけれど、刺身の盛り合わせも新鮮で、土地に縛られず全国のおいしいものを選りすぐり、食事でも最大限におもてなししようとする姿勢がうかがえました」(植竹さん)
以上、「角館山荘 侘桜」をご紹介しました。里山の紅葉を間近に感じながら貸切露天風呂や客室の半露天風呂で日頃の疲れを癒したい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
問い合わせ先
- 角館山荘 侘桜
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住所/秋田県仙北市西木町門屋字笹山2-8
客室数/全10室
料金/1名 ¥52,000~(税込) - TEL:0187-47-3511
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- WRITING :
- 中田綾美
- EDIT :
- 谷 花生(Precious.jp)