温泉は、慌ただしい日常でたまった疲れやストレスを解放するのに最適。清々しい空気のなかで、木々の緑を眺めたり川のせせらぎに耳を傾けたりしながらゆったりと温泉で羽を伸ばせば、五感から自然の恵みを享受し、心ゆくまでリフレッシュできることでしょう。

そこで、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんに、緑や水音に癒される温泉宿をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、山口県・長門湯本温泉にある「大谷山荘」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の3000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

緑に包まれた露天風呂で心を解き放つひとときを実感

大谷山荘のロビーラウンジからの眺め。
大谷山荘のロビーラウンジからの眺め。

本州の最西端にあり、山口県でも古い歴史を誇る長門湯本温泉。温泉街の中央に音信川が流れ、街全体が深い緑に包まれた湯治場にて、ひときわラグジュアリーな雰囲気を漂わせるのが、今回ご紹介する「大谷山荘」です。

山の緑と青空が広がる屋上テラス。
山の緑と青空が広がる屋上テラス。

「皇室をはじめ国内外の数々のVIPをおもてなししてきた大谷山荘では、ロビーラウンジやテラス、食事処など館内の至る所で視界いっぱいに広がる里山風景に癒されますが、温泉からの眺めも息を呑む美しさ。大浴場は1階と2階に2か所あり、男女入れ替え制で両方の風情を楽しむことができます」(植竹さん)

1階「せせらぎの湯」の露天風呂。
1階「せせらぎの湯」の露天風呂。

「1階の『せせらぎの湯』は、2つの露天風呂から眺める鮮やかな緑が眼福。耳をすませば川のせせらぎも聞こえてきて、心身が浄化されるかのような感覚を味わうことができます」(植竹さん)

2階「こもれびの湯」の半露天。
2階「こもれびの湯」の半露天。

「2階の『こもれびの湯』は、半露天からの眺めがまるで絵画のよう。ゆったりとした内湯からも大きな窓越しにダイナミックな山々が広がり、自然の織りなす風景に魅せられながらの湯浴みは格別です」(植竹さん)

「こもれびの湯」の内湯。
「こもれびの湯」の内湯。

「さらに、大谷山荘では、一部の客室は源泉かけ流しの露天風呂付き。大浴場より浴槽はこぢんまりとしていますが、そのぶん湯の鮮度がよく、誰にも邪魔されずにいつでも気ままに温泉三昧できるのは、贅沢の極みです。pH値が9.67もある高アルカリの湯はとろとろとした浴感で実に心地よく、乳化作用でつるつるすべすべの美肌にぐっと近づいたのを実感できました!」(植竹さん)

客室「大谷山荘スイート」の露天風呂。
客室「大谷山荘スイート」の露天風呂。
客室「曙プレミアム」からの眺め。
客室「曙プレミアム」からの眺め。

肉も海鮮も絶品!贅を尽くした会席料理に舌鼓

美しい海に面し豊かな山も抱く山口県長門市は、日本でも屈指の食材の宝庫。旬の素材の味を生かした会席料理にも定評があります。

季節会席コースの一例。
季節会席コースの一例。

「とろけるような和牛や鮑も非の打ちどころのないおいしさだったのですが、山口といえばやはりフグ。フグ刺しはあっさりしているようで、噛めば噛むほど旨味が広がる深い味わいで、フグの唐揚げは素材のよさもさることながら下味も絶妙。家庭では絶対に再現できない贅を尽くした会席コースは満足度大です」(植竹さん)

フグフルコースの一例。(例年10月~3月)
フグフルコースの一例。(例年10月~3月)

「朝食は和洋のビュッフェ・スタイル。私は普段の朝食はどちらかというと和食派なのですが、今回の旅に限っては洋食推しです。というのも、大谷山荘はベーカリー工房を運営しており、生地の仕込みから焼成に至るまで一貫して製造するほどパンにこだわりがあるのです。

前日の夕方に売店で売り切れになっているのを見かけて気になっていたのですが、その人気のパンが朝食では食べ放題。また、卵料理をシェフが目の前の焼いてくれるサービスもあり、朝から優雅な食体験を堪能することができました」(植竹さん)

都心のラグジュアリーホテルのような洗練された朝食。
都心のラグジュアリーホテルのような洗練された朝食。
自家製の焼きたてパンが人気。
自家製の焼きたてパンが人気。

以上、長門湯本温泉「大谷山荘」をご紹介しました。9~10月にかけてはみずみずしい深緑、そして11月に入ればそろそろ紅葉のシーズンです。自然に包まれた風情ある温泉で寛ぎ、山口の旬の食材を満喫したい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

問い合わせ先

  • 大谷山荘
  • 住所/山口県長門市深川湯本2208
    客室数/全98室
    料金/1名 ¥25,600~(税込)
  • TEL:0837-25-3300

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生