ブルガリのジュエリー クリエイティブ ディレクターを務めるルチア・シルヴェストリ氏。

18歳でブルガリに入社し、華やかなジュエリーの世界へと足を踏み入れた彼女は、ブルガリファミリーからその才能を認められ、ジュエリーを制作するプロセス全体に関わることに。その後、それまでブルガリファミリーしか手がけてこなかった宝石のバイイングを担当するディレクター(Director of Gem Acquisitions)に就任。

2013年にはジュエリー部門全体のクリエイティブ ディレクター(Jewelley Creative Director)に就任し、唯一無二の美しいハイジュエリーピースを発表しています。

今回、Precious.jp編集部はローマのブルガリ本社を訪れ、特別にルチア氏のオフィスへと入ることが許されました。ジェムテーブルには美しく輝く宝石が並び、壁にはこれまでのコレクションの数々を撮影した資料がズラリ。この「特別な場所」でインタビューに応じてくださいました。

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ブルガリ・ジュエリー・クリエイティブ ディレクターのルチア・シルヴェストリ氏

ブルガリファミリーから学んだこと

「創業者一族の3兄弟がメンターであり、彼らは私のことを娘のように想ってくれています。彼らから学ぶことはとても多いですし、かわいがってもらえることも非常にラッキーですね。教わってきたことのなかでも印象に残っているのは、“石を買うときに、どういうふうに使うかを想像できないものは買わない”ということ。その教えはとても大切にしています。

バイヤーとしての仕事をスタートして、2013年にクリエイティブ ディレクターに就任してからも、その教えを心の中に秘めています。使い道がわからなかったら買わないということを徹底していますね。

そして、“色”を大切にしています。ブルガリは美しいカラーリングを特徴とするブランドなので、まず、色を感じてどういう色の組み合わせをしたら素敵かどうかを考えています」

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ルチア氏のテーブルには宝石とデザインが並ぶ

宝石業界で認められるために

「40年前に宝石のバイヤーになったときは、男社会で石の交渉をするのがとても難しかった。女性がほとんどおらず、男性ばかりだったので苦労しました。それでも根気強く交渉し、理解を深め合っていくことで信頼関係を築いていくことができました。そうして、“交渉力”や“コミュニケーション力”というものを身につけることができましたね」

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ルチア・シルヴェストリ氏

「石を買うときは、裸のままのものではなくある程度カットされたものが多いんです。それをブルガリスタイルにリカットしてブルガリ流の石にしていきます。

これがハイジュエリーを作るときのファーストステップですが、デザイン画に石を当て、それぞれに合わせてカットしていき、エレガンスや洗練を吹き込んでいきます。

そういったクリエイションにおいては、チームのイメージ共有が大切です。アイディアを共有しながらチームを築き上げていき、ジュエリー制作を進めるのですが、ここでのコミュニケーションにも身につけたことが活きているかもしれません。

また、今はバイヤーとクリエイティブの両面を兼務していて、そういうことができるのはブルガリの中でも私だけ。ハイジュエリーのデザインを考える最初のプロセスから、職人たちと相談しながら作り上げていき、すべてに携わっていることをとても誇りに思っていますね」

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ローマ・コンドッティ通り10番地のブルガリ本店
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店内ではヘリテージ コレクションの展示も

これからチャレンジしてみたいことは?

「チャレンジというのは、どこにでもありますからね。私にとってのチャレンジは、日々の事柄です。新しい石を見つけて自然からインスピレーションを受けて、素敵なジュエリーに仕上げるということ。

私は洋服のコーディネートをするとき、先にジュエリーを選びます。ジュエリーは私の人生を変えてくた大切なものですから。

レッドカーペットのような特別な場所だけで着用するのではなく、日常でもジュエリーを積極的に身につけるチャレンジをしてほしい。私にもみなさんにも、新しいチャレンジはこれからもたくさんあると思うので」

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Yas