優れた才能のもち主や努力家、勉学に長けている人を指す「秀才」や「天才」、その違いをご存知ですか?「天才は生まれもったもの、秀才は自分の努力によるもの?」という解釈は正しいのでしょうか? 改めてチェックしてみると勘違いして使っている言葉は意外と多いもの。「秀才」という言葉を正しく理解するための解説をお届けします。
【目次】
- 「秀才」とは?「読み方」「意味」 「由来」
- 「秀才」と「天才」との明確な違い
- 「秀才」と言われる人の「特徴がわかる例文」4選
- 「秀才」の「類語」「言い換え」表現
- 「秀才」の「対義語」は?
- 英語で「秀才」を説明しよう!
【「秀才」とは?「読み方」「意味」 「由来」】
■読み方
秀才は「しゅうさい」と読みます。
■意味
「優れた才能」という意味で、そのもち主のこともいいます。そういう人を指すだけでなく、その才能自体も表す言葉なのですね。
■由来
中国では隋時代(581~618年)から清代までの約1900年もの間、「科挙(かきょ)」という高等官資格試験が行われていました。科挙のなかの主要科目である秀才科の受験資格のもち主や試験合格者を「秀才」と言ったことに発します。
令制下の日本にも同じような制度があり、重要な国策に関する問題を扱う「方略策」の試験及第者を称して「秀才」と言いました。また「文章得業生(もんじょうとくごうしょう)」という特別に優れた者の異称としても「秀才」が用いられ、さらにこれが転じて「人並みはずれた才能やそのもち主」を指すようになったのです。
【「秀才」と「天才」との明確な違い】
非常に優れた人を「秀才」というのはわかりましたが、似たような言葉である「天才」とはどう違うのでしょう?
■努力によって「秀才」になれる?
多岐にわたる分野に優れ、理論的に物事を考えるのも「秀才」の特徴。誰もがその能力を身に付けられるわけではありませんが、「秀才」は個々の努力なしでは培われないのです。努力をして得た優れた能力やその人を指す“後天的な才”と言えるでしょう。
■生まれもったものが「天才」
一方の「天才」は、生まれながらに備わった、平均をはるかに超える傑出した才能のことで、学術的に限らず、芸術や芸能、スポーツなど幅広く使われます。また、そのような才能をもち、比類ない創造性を発揮する人を指します。オールマイティというより特定の分野に優れていることが多く、感覚的でもあります。「秀才」とは異なり“先天的な才”と言えます。能力の序列を表す言葉としては、最高峰が「天才」、それに次ぐ才能が「秀才」。「天才」がさらに努力を重ねたら最強ということですね。
【「秀才」と言われる人の「特徴がわかる例文」4選】
具体的にどんな人が「秀才」と呼ばれるのか、その特徴を例文で見てみましょう。
■1:「彼は中学時代から秀才と言われていたそうだよ。理解力の高さや応用力にずば抜けているのも納得だ」
一芸に秀でている人も「天才」といわれますが、「秀才」は広い範囲に優れています。学業の成績もまんべんなく優秀ですが、それは効率的な勉強のやり方や、知識を得て応用する方法が身に付いているからでしょう。
■2:「部下とはいえ、デスクワーク中は話しかけられない独特の雰囲気をもっている」
集中力の高さも「秀才」の特徴です。強い探求心ももち合わせているので、興味をもったときの集中力がずば抜けているのです。
■3:「彼の頭の回転に追いついていくのが精一杯で、考える余裕がない」
「秀才」は頭の回転が速いもの。ミーティングではしばしば他者を置き去りに…なんてことがあるかもしれません。
■4:「彼は秀才の誉れが高い」
「天才」は羨ましがられますが、「秀才」は尊敬されるのです。
【「秀才」の「類語」「言い換え」表現】
■類語
・英才(えいさい):優れた才能・才知。また、そのもち主。「英才教育」や「英才を育てる」などと使います。
・俊才(しゅんさい):並みはずれて優れた才能。また、そのもち主。「門下の俊才」などといいます。
■これも類語?
・奇才(きさい):世にまれな、優れた才能。また、その才能のもち主。
・鬼才(きさい):人間とは思えないほどの鋭い才能。また、そのもち主。
・天賦の才(てんぷのさい):天から賦与されたもの。生まれつきの資質。
これらは「秀才」より「天才」に近いニュアンスの言葉です。
【「秀才」の「対義語」は?】
・凡才(ぼんさい):平凡で、特に優れたところのない才能。また、その人。
・鈍才(どんさい):頭のはたらきが鈍いこと。愚鈍な才能。また、その人。
・無才(むさい):才能の乏しいこと。役に立たないこと。また、その人。
「非才(ひさい)」や「不才(ふさい)」も対義になりますが、これは自分の才能をへりくだって言う際にも使われます。
【英語で「秀才」を説明しよう!】
[brilliant person]や[talented person]が「秀才」にあたります。
・the brightest student in a class(クラスで一番の秀才)
・You are a talented person!(あなたは優秀な人ですね!)
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「天才」は生まれつきで、「秀才」は努力で得られる。「天才」は感覚的で「秀才」は理論的。「天才」はある分野に突出していて「秀才」はオールラウンダー…という違いがわかったでしょうか。似たニュアンスをもつ言葉はしっかり把握して、正しく使うのが“大人の語彙力”ですね。
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『角川類似新語辞典』(KADOKAWA)/『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) :