「国民の休日」と「国民の祝日」の違いをご存じですか? 「え、同じでしょ?」と思った方がほとんどではないでしょうか。確かに「祝日」は「休日」ですが、たとえ「休日」でも「祝日」ではない日もあるんですよ。なんだかややこしいですね! ということで、今回は「国民の休日」を深掘り! その定義や「国民の祝日」との違い、そして、2024年の「国民の休日」一覧も掲載します。

【目次】

国民の休日とは?数年に一度、不定期に現れる休日です。
国民の休日とは、数年に一度、不定期に現れる休日のことなのです。

【「国民の休日」とは?正しく理解するための「基礎知識」】

■「国民の祝日」とは?3つのパターン

結論から言うと、「国民の休日」と「国民の祝日」は別物です。日本では「国民の祝日に関する法律」(1948年法律第178号。以下「祝日法」と言う)により、年間16日の「国民の祝日」が設けられ、これを「休日とする」と定められています(祝日法第3条第1項)。これは「祝日」です。そして、詳細については後述しますが、「国民の祝日」には3つのパターンが存在します。

ひとつめが、1月1日の「元日」、2月11日の「建国記念の日」のように、日にちが固定されているもの。そして、ふたつめが、「成人の日」や「海の日」のように「○月の第○月曜日」と定められ、毎年連休になるように定められているもの。さらに、「春分の日」と「秋分の日」。これは、法律に具体的な月日が定められてない祝日で、日付は、その年の太陽が春分点を通過する「春分日」と、太陽が秋分点を通過する「秋分日」です

■「国民の休日」って何?

では、「国民の休日」とはなんでしょう。それを知るヒントは、「祝日法第3条第3項」に隠れていました。

【祝日法第3条】
第1項:「国民の祝日」は、休日とする。
第2項:「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。
第3項:その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(「国民の祝日」でない日に限る。)は、休日とする。

上記の第2項は、いわゆる“振替休日”の規定です。

そして問題は、第3項。ここに「ふたつの祝日に挟まれた平日は休日とする」ことが規定されています。これが「国民の休日」。なのですが、祝日法には「国民の休日」という文言の記載はありません。実は「国民の休日」は、「ふたつの祝日に挟まれた平日が『休日』になったときの俗称」なのです。

■「国民の休日」の「ルール」

さて、「国民の休日」が「ふたつの祝日に挟まれた平日」であることがわかりました。そしてここで大きく影響してくるのが、先にご紹介した2と3のパターンなのです。

皆さんは「シルバーウィーク」という言葉を聞いたことがありますよね? シルバーウィークとっは、秋の大型連休のことですが、このシルバーウイークって、話題になる年とならない年があることに、気付いていましたか?9月の「国民の祝日」である「敬老の日」は、「9月の第3月曜日」と定められています。そしてそのあとに来る「秋分の日」は、年によって日にちが変わります。9月15〜21日の間で移動する「敬老の日」に対し、「秋分の日」は、9月22か23日のどちらかです。ここが飛び石になると、「ふたつの祝日に挟まれた平日は休日とする」という第3項が効果を発揮し、3連休に。つまり、「国民の休日」は、数年に一度、条件が揃った際に、不定期に現れる休日なのです。

ちなみに2015年の9月は、「敬老の日」が21日(月)、「秋分の日」が23日(水)だったため3連休となり、前後の土日休みを加えた大型連休「シルバーウイーク」として話題になりました。

■決まるのは「いつ」?

上で説明した通り、「春分の日」と「秋分の日」は、法律に具体的な月日は定められていません。これについては、国立天文台が毎年2月に公表する暦要項において、翌年の「春分の日」と「秋分の日」の日付が記載され、日にちが確定します。従って、その年の「国民の休日」が現れるか否かが決まるのは、前年の2月、ということになります。

ちなみに、2024年の「敬老の日」は9月16日、「秋分の日」は22日のため、残念ながら「国民の休日」はありません。とはいえ、土日と「敬老の日」、「秋分の日」をそれぞれ絡めた3連休は2回! そして、次にシルバーウィーク(5連休)となるのは、2026年です。

■いつから始まった?

「祝日法」の公布・施行は1948年ですが、以降、10回以上改定され、そのたびに休日が増えています。「振替休日」が制定されたのは、1973年。そして1985年の改正・施行により第3項が加えられ、ふたつの祝日に挟まれた平日が休日となる、「国民の休日」が誕生しました。翌年の1986年からは、「憲法記念日」と「こどもの日」に挟まれた5月4日が、毎年「国民の休日」となっていましたが、2005年の改正(2007年施行)により、5月4日は「みどりの日」に。そして「国民の休日」は「敬老の日」と「秋分の日」の組み合わせによる不定期な休日、1日だけとなったのです。


【「国民の祝日」との違い】

前述の通り、「国民の祝日」は「祝日法」という法律で定められており、その第1条では、その意義を次のように規定しています。

「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞつて祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを『国民の祝日』と名づける。」

つまり「国民の祝日」とは、美しい風習を育てつつ、よりよい社会、より豊かな生活を築きあげるために「国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日」。現在、定められた「国民の祝日」は以下の通り、16日です。

元日       1月1日… 年の始めを祝う。
成人の日     1月の第2月曜日… 大人になったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝い励ます。
建国記念の日    政令で定める日… 建国を偲び、国を愛する心を養う。
天皇誕生日    2月23日… 天皇の誕生日を祝う。
春分の日     春分日… 自然を称え、生物を慈しむ。
昭和の日     4月29日… 激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。
憲法記念日    5月3日… 日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。
みどりの日    5月4日… 自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。
こどもの日    5月5日 … 子どもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。
海の日          7月の第3月曜日… 海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。
山の日          8月11日… 山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する。
敬老の日       9月の第3月曜日… 多年にわたり社会に尽くしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う。
秋分の日       秋分日 … 祖先を敬い、亡くなった人々を偲ぶ。
スポーツの日    10月の第2月曜日… スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う。
文化の日    11月3日… 自由と平和を愛し、文化を進める。
勤労感謝の日    11月23日… 勤労をたっとび、生産を祝い、国民互いに感謝しあう。


【2024年の祝日と振替休日一覧】

残念ながら2024年はシルバーウィークのような大型連休はありませんが、以下、祝日と振替休日を記載しておきます。※太字になっているのは土日が休日の場合の、3連続以上の休日です。

■1月

1月1日(月):元日
1月8日 (月):成人の日

■2月

2月11日(日):建国記念の日
2月12日(月):祝日法第3条第2項による振替休日
2月23日(金):天皇誕生日

■3月

3月20日(水):春分の日

■4月

4月29日(月):昭和の日

■5月

5月3日(金):憲法記念日
5月4日(土):みどりの日 
5月5日(日):こどもの日
5月6日(月):祝日法第3条第2項による振替休日

■7月

7月15日(月):海の日

■8月

8月11日(日):山の日
8月12日(月):祝日法第3条第2項による振替休日

■9月

9月16日(月):敬老の日:
9月22日(日)​:秋分の日:
9月23日(月)祝日法第3条第2項による振替休日

■10月

10月14日(月):スポーツの日

■11月

11月3日(日):文化の日 
11月4日(月)祝日法第3条第2項による振替休日

11月23日(土):勤労感謝の日

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日本は世界のなかでも、祝日の多い国だと言われています。2024年は、シルバーウィークこそありませんが、振替休日が5日も! 「振替休日」が1日しかなく、しかも1月2日が振替日だった2023年と比べたら、随分休みが多い印象です。早めの計画で、有意義な休日をお過ごしください!

この記事の執筆者
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参考資料:内閣府「国民の祝日」について(https://www8.cao.go.jp/chosei/shukujitsu/gaiyou.html)、政府広報オンライン「知ってそうで知らない「国民の祝日」とその趣旨や経緯」(https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202112/3.html) :