【目次】

白山ってどこにあるの?「場所」「最寄り駅」「治安」

「場所」はどこ?大手町までの距離は?

白山通り沿いにはスーパーマーケット「オリンピック 白山店」や「クイーンズ伊勢丹 小石川店」などがあって買い物に便利。
白山通り沿いにはスーパーマーケット「オリンピック 白山店」や「クイーンズ伊勢丹 小石川店」などがあり、日常生活の買い物に困ることはない。

東京都文京区白山は、文京区の中央部に位置していて1丁目から5丁目まであります。エリア中央を南北に通っているのが「白山通り」。中高層ビルが並ぶ、台地に挟まれた大通りで、小道に入ると一戸建て住宅やマンションが建ち並ぶ高級住宅街が広がっています。白山通りを南下していくと、皇居の東側、「内堀通り」に出ます。白山から大手町までは車で15分程度です。

写真中央の緑が「小石川植物園」。広大な自然が広がるエリアだ。
写真中央の緑が「小石川植物園」。ビル街の中にある広大な緑地は、遠くからでもパッと目を引く。

白山で有名な場所といえば、西側にある東京大学の教育実習施設「小石川植物園」。また、東側には「白山神社」ほか、神社仏閣が点在し、寺町風情もあります。

白山の「最寄り駅」

都営地下鉄三田線「白山駅」は東洋大学が近く、学生も多い駅だ。
都営地下鉄三田線「白山駅」は東洋大学 白山キャンパスが近く、学生の利用も多い。

白山エリアの最寄り駅は、都営地下鉄三田線「白山駅」ほか、同じく三田線の「千石駅」、東京メトロ南北線「本駒込駅」と「東大前駅」の4駅。三田線と南北線は東京23区を南北に通る電車で、白山駅から「大手町駅」までは10分程度、本駒込駅から「四ツ谷駅」も約10分と、都心の主要エリアにダイレクトに短時間でアクセスできます。 2030年ごろに、東京メトロ南北線が延伸して品川駅と接続される構想もあり、利便性はさらにアップするでしょう。また、住むエリアが南西部なら、東京メトロ丸の内線の「茗荷谷駅」も最寄り駅として利用できます。茗荷谷駅から「池袋駅」は5分程度です。

白山の「治安」

「小石川植物園」のお隣にある高台エリアは高さ制限のある第一種低層住居専用地域で高い建物がない。かつて「白山御殿町」と呼ばれていたエリアだ。
かつて「白山御殿町」と呼ばれていた「小石川植物園」周辺の高台エリア。建物の高さ制限のある第一種低層住居専用地域で高い建物がなく見晴らしがいい。

警視庁が発表した「区市町村別犯罪別認知件数」によると令和4年の白山の年間犯罪総数は50件。白山エリアの中でも高台にあって住宅地の広がる4丁目は6件と僅少です。ちなみに、文京区は教育施設がたくさんあり、東京23区内の中でも最も治安がよいといわれています。その中でも白山エリアは、安心して暮らせる住環境が整っているといえるでしょう。

白山の「地図」

白山の「歴史」と「由来」

なぜ高級住宅街に?白山の「歴史」

「江戸切絵図 駒込絵図」尾張屋清七(嘉永2年〜文久2年)国立国会図書館デジタルコレクション
「江戸切絵図 駒込絵図」尾張屋清七(嘉永2年〜文久2年)国立国会図書館デジタルコレクション

上の画像、「江戸切絵図 駒込絵図」の下にある広い敷地に「御薬園」という文字が見えます。ここが現在の小石川植物園(白山3丁目)です。 「御薬園」は、江戸幕府が設置した無料の医療施設も備えた薬園で、その前は「白山御殿」と呼ばれていた3代将軍家光の四男・徳松(後の5代将軍綱吉)の屋敷地でした。綱吉の死後、御殿が廃されて「小石川御薬園」と呼ばれる薬園になったのですが、もともとは「白山御殿」があったことから、この周辺は昭和42(1967)年ごろまで「白山御殿町」と呼ばれていました。ちなみに、現在の「小石川植物園」内には日本庭園があり、白山御殿の庭園跡といわれています。

東京大学本郷キャンパス「赤門」は徳川第11代将軍家斉の第21女溶姫が加賀藩第13代藩主前田斉泰に輿入れした際に建てられたものだ。
東京大学本郷キャンパス「赤門」は第11代将軍家斉の娘・溶姫が加賀藩第13代藩主前田斉泰に輿入れした際に建てられた。

白山御殿以外にも、江戸時代の文京区内には水戸藩や加賀藩の上屋敷、そして福山藩中屋敷など、多くの武家屋敷がありました。。水戸藩の上屋敷にあった庭園は現在も「小石川後楽園」(文京区後楽1丁目)として、加賀藩の上屋敷に建てられた門は現在の「東京大学本郷キャンパス」(文京区本郷7丁目)の御守殿門(赤門)として、当時の面影を今に伝えています。福山藩阿部家があったのは現在の文京区西片です。西片には「誠之(せいし)小学校」という公立小学校があります。「誠之」とは、福山藩の中屋敷内にあった藩校の校名だったそう。そして、こういった大名屋敷跡地が高級住宅街へと姿を変えていきました。

「江戸高名会亭尽 白山傾城か窪」(国立国会図書館)江戸の有名料亭を描いた30枚のうちの1枚。この絵の左側の料理屋「万きん」の名物は厚焼き玉子だったとか。
「江戸高名会亭尽 白山傾城か窪」(国立国会図書館デジタルコレクション)江戸の有名料亭を描いた30枚のうちの1枚。この絵の左側の料理屋「万きん」の名物は厚焼き玉子だったとか。

現在の東洋大学(白山5丁目)周辺は江戸時代に「鶏声ヶ窪(けいせいがくぼ)」と呼ばれていました。これは「下総古河藩の上屋敷内の地中から鶏の鳴き声がするので、訝しがりつつそのあたりを掘ってみると、金銀の鶏が埋まっていた」という故事によるもの。「傾城ヶ窪」とも書きます。そして、東洋大学前を通る「旧白山通り」は、近くの駒込追分で「日光街道」と分かれる五街道のひとつ「中山道」でした。中山道は上の錦絵のように商業活動も活発に行われる街道で、その賑わいは、白山駅商店街に受け継がれているといえそうです。

「旧白山通り」の「白山駅」周辺はスーパーマーケットやドラッグストアなどがそろっていて便利だ。 p.p1 {margin: 0.0px 0.0px 0.0px 0.0px; font: 12.0px 'Hiragino Sans'}
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「旧白山通り」の「白山駅」周辺はスーパーマーケットやドラッグストアなどが揃っている。

白山の「由来」

白山神社は小石川の鎮守。江戸における白山信仰の中心地となった。
白山神社は小石川の鎮守。江戸における白山信仰の中心地となった。

「白山」の地名は白山5丁目にある「白山神社」に由来しています。白山神社の歴史は古く、天暦2(948)年に現在の石川県にある「白山比咩神社」から勧請を受けて創建されました。もともとは本郷1丁目にあり、2代秀忠のときに巣鴨原(現在の小石川植物園内)に移され、そののち5代綱吉になる前の館林候時代の屋敷造営のため、現在の場所に移されました。

この辺りには寺社が集中しています。その理由は、明暦3(1657)年に起こった「明暦の大火」。防火対策の一環として江戸城近くにあった寺社を移転する対策が取られて、この場所に集まってきたそう。本駒込3丁目にある「吉祥寺」もこの火事で移転してきたお寺です。「吉祥寺」は江戸時代には曹洞宗の僧侶の養成機関「栴檀林(せんだんりん)」があったそうで、多くの学僧がここで修行をしていました。

吉祥寺の山門。戦火を逃れ、江戸時代の面影を今に伝えている。
吉祥寺の山門。江戸時代の面影を今に伝えている。

住みやすさは?白山の「魅力」

■1:学校の選択肢が多く、ファミリー層に大人気です

白山5丁目にある「東洋大学」の創立者は哲学者の井上円了。「東洋大学」は箱根駅伝でも有名な大学だ。
白山5丁目にある「東洋大学」の創立者は哲学者の井上円了。「東洋大学」は箱根駅伝でも有名な大学だ。

文京区は東京23区内でもとりわけ学校が多いことで有名です。文京区には、「東京大学」や「お茶の水女子大学」、「東京医科歯科大学」、「筑波大学」をはじめとする国立大学のほか、「日本医科大学」や「順天堂大学」、「日本女子大学」、「拓殖大学」といった有名私立大学も揃っています。また、近辺には「お茶の水女子大学附属小学校」、「筑波大学附属小学校」、「東京学芸大学附属竹早小学校」と国立の小学校が3つもあります。そのほかの名門中学校も文京区から好アクセス。こういった環境があるからか、教育熱心なファミリー層が集まり、周辺には幼児教室から学習塾、そのほかの子供の習いごとなどもバリエーション豊かに揃っていることも魅力です。

■2:季節ごとの日本文化、行事を味わうことができます

「文京あじさいまつり」は昭和60年から行われている行事。白山神社の紫陽花は6月ごろが見頃だ。
「文京あじさいまつり」は昭和60年から行われている行事。白山神社の紫陽花は6月頃が見ごろだ。

「白山神社」では、梅雨の時期になると紫陽花が見ごろを迎えます。境内から白山公園にかけて約3000株の紫陽花が咲き誇る時期には「文京あじさいまつり」が開催されます。また、白山エリア南西側には「播磨坂」(小石川4丁目〜5丁目)という坂道があります。この坂の名は江戸時代の松平播磨守の上屋敷にちなんで付いたそうですが、桜並木が見事な緑道で、春になると「文京さくらまつり」というイベントが開催されています。エリア東側にある「根津神社」(根津1丁目)の「文京つつじまつり」も全国的に有名です。そのほか、古くからある神社仏閣では例祭や縁日なども盛んに行われていて、四季折々の日本文化を身近に感じられます。

■3:風情のある大きな公園が近くにあります

小石川植物園内にはニュートンのリンゴの木があります。
小石川植物園内にはニュートンのリンゴの木があります。

上でも紹介した小石川植物園の正式名称は「東京大学大学院理学系研究科附属植物園」といい、植物学の研究・教育を目的とした東京大学の附属施設です。約4,000種の樹木が栽培されているほか、植物標本約80万点、植物学関連図書約2万点があり、一般にも公開されています。2023年に放送されたNHK連続テレビ小説「らんまん」で神木隆之介さんが演じた主人公のモデルとなった植物学者、牧野富太郎氏もここで研究されていました。

「六義園」は名勝の中でも価値の高い特別名勝として指定されている。
「六義園」は名勝の中でも価値の高い「特別名勝」として指定されている。

また白山エリアのすぐ近くには「六義園」(本駒込6丁目)があります。この日本庭園はもともと5代綱吉の側近、柳沢吉保の下屋敷内に造営された大名庭園で、春には庭園内の桜が、秋には紅葉がとても美しいことで有名です。

■4:たくさんの文人たちに愛された場所でした

西片エリア住宅地。西片エリアは小説家・樋口一葉が暮らしていた場所だ。
西片エリア住宅地。ここは小説家・樋口一葉も暮らしていた。

文京区白山周辺の落ち着いた雰囲気が気に入って、明治期には多くの文人が暮らしていました。近隣には、イギリスから帰国後の夏目漱石が3年間住んだという「夏目漱石旧居跡(猫の家)」(向丘2丁目)や、明治期から大正期に森鴎外が暮らした「観潮楼」があった場所に建つ「文京区立森鴎外記念館」(千駄木1丁目)など、この地にゆかりのある文人の生活を体感できる場所があります。

■5:娯楽施設の整う後楽園がすぐ近くにあります

文京シビックセンター
「後楽園駅」近くにある「パークコート文京小石川 ザ タワー」は人気の40階建ての高級マンション。この辺りの物件も高額で人気が高い。

「東京ドーム」や温泉施設「ラクーア」、アミューズメントパークなどが揃う「東京ドームシティ」(文京区後楽1丁目)は徒歩圏内にあります。「ラクーア」の1階にはスイーツやパン、お惣菜などがテイクアウトできるお店が揃う「DELI&DISH」があって便利。また、すぐ近くには大小ホールや区役所、高齢者や子育て中の方のための区民施設などが入った「文京シビックセンター」があるのも魅力的です。

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文京区白山は、周囲は歴史のある神社仏閣が点在する一方で、東京大学や東洋大学など、学校の多い文教エリアとして、独特の街並みを形成していました。東京都心に近く、三田線と南北線が利用できるのも魅力。アクセスのよさ、緑の豊かさ、買い物環境など、すべてにバランスの程よいこのエリアに住んだら、とても心穏やかで落ち着いた暮らしができそうです。

参考:文京区ホームページ
   「絵でみて歩く文京のまち」(文京ふるさと歴史館)
   「ぶんきょう道中史跡探訪」(文京ふるさと歴史館)
   国立国会図書館
この記事の執筆者
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PHOTO :
AC,柳堀栄子
WRITING :
柳堀栄子