「予見と予防でQOL(クオリティ・オブ・ライフ)が向上」「予見医学」「将来を予見した設計」――こんなフレーズを聞いたことはありませんか? 医療ドラマなどで知っている、という人もいるかもしれませんね。今回取り上げるのは「予見」です。ビジネス現場での使い方や、「予測」「予想」「予知」などの似た言葉との違いなどを解説します。
【目次】
【「予見」とは?「読み方」や「意味」など基礎知識】
■読み方
「予見」は「よけん」と読みます。
■意味
何かが起こる前にあらかじめ知ること、そのことを見通すことをいいます。医療現場や保険事業などでは大変重要な概念でもあります。
■「予見可能性」って!?
「予見」と共に覚えておきたいのが「予測可能性」です。これは、危険な事態や被害が発生する可能性があることを事前に認識できたかどうかということ。病気や事故、災害、トラブルなどを「予見」できるか否かは、リスク回避やリスク管理に関わるからです。裁判などでは、重大な結果を「予見」できたにもかかわらず、危険を回避するための対応や配慮を怠った場合、そn過失(落ち度)が問われます。
【「予見」や「予見可能性」の正しい使い方がわかる「例文」7選】
■1:「副作用によって深刻な影響が生じることを予見し、薬の服用を中断した」
■2:「これは我が社の実績やデータに基づく予見です」
■3:「このような日が来ることを、誰が予見できただろう」
■4:「今回のようなトラブルを事前に予見できなかったのは大きな問題だ」
■5:「予見による対策が十分だと思っても、自然災害に万全ということはない」
■6:「企業は従業員に対して安全配慮義務と予見可能性を重視すべきである」
■7:「予見可能性があるのにそれを回避することを怠り、損害を生じさせた場合には過失になりかねない」
【「予測」や「予知」など関連用語もチェック!】
「予見」「予測」「予知」など、似たような意味の言葉が多くありますが、どう使い分ければいいのでしょうか。
「予」という字は「予め」と書いて「あらかじめ」と読み、「前もって」という意味と、「おおよそ」という意味をもちます。「予見」や「予測」「予知」「予感」などは「前もって」、「予定」や「予算」は「おおよその」ということですね。使い慣れた単語も、それぞれどのような意味か再確認してみましょう。
■予測(よそく)
「明日の気温を予測する」など、「予測」は日常的に使われる言葉です。前もって推し量ること、あらかじめ推測することを言いますが、過去のデータや実績、経験値などに基づいて測ったことに対して用いる場合が多いでしょう。「予見」より具体的な裏付けがある、とも言えそうですね。
■予想(よそう)
あらかじめ想像すること、前もって見当をつけること。また、その想像や見当。「予想以上の出来栄え」
■予知(よち)
通常の手段では予測も推測も不可能な未来の事象を正しく知ること。「地震を予知する」などと使います。「予測」はデータに基づき、「予知」は超心理学の用語なので、「予見」は「予測」に近いと言えるでしょうか。
■予定(よてい)
行事や行動を前もって定めること。また、その事柄。「会議の予定を入れる」「旅行は来月に予定している」
■予算(よさん)
ある計画のために、あらかじめ必要な費用を見積もること。「予算の範囲内でやりくりする」「思いのほか予算がついたので見通しが明るい」
【英語で「予見」を表すとこうなります】
「予見」にあたる英単語は、名詞が[foresight]、動詞が[foresee]です。
・She had the foresight to invest in that growth company.(彼女はその成長企業に投資するという予見をしていた=先見の明があった)
・He did not foresee any problems.(彼はなんの問題も予見しなかった)
・He foresaw his friend's failure.(彼は友人の失敗を予見していた)
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「予定」や「予約」、「予告」「予備」「予算」など、「予」を用いた言葉には慣れているはずですが、「予見」と「予測」、「予知」の違いなど、なかなか難しいですね。読み・書き・会話のなかで多くの言葉を使って、“大人の語彙力”を鍛えましょう!
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『角川類似新語辞典』(KADOKAWA)/『プログレッシブ和英中辞典』(小学館) :