新連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変える
雑誌『Precious』4月号からスタートの新連載【Tomorrow Will Be Precious!】では、明日への希望をアクションに変える人たちの活動に注目し、紹介していきます。
今回は、ARCH ファウンダー/代表取締役 CEOの中井友紀子さんにフォーカス。「出生率低下」という大きな社会課題を前に、ITの力で不妊治療で苦しむ女性に伴走すると共に、初潮から妊娠・出産、閉経まで、女性が自分の体と人生を自身で管理できる未来を目指し、活動している中井さんに注目しました。
不妊治療で苦しむ女性にITの力で光を! 使命は「人生の選択肢を増やすこと」
中井さんが’21年に創業した「ARCH」が挑むのは、「出生率低下」という大きな社会課題だ。不妊治療専門クリニック「torch clinic(トーチ クリニック)恵比寿」をプロデュースし、独自の電子カルテや患者向けの診療アプリを開発・提供。デジタル化やオペレーションの工夫により、院内滞在時間の大幅な短縮を実現している。「仕事と通院を両立できるように」。中井さん自身の経験から生まれた願いである。
28歳で女性向けメディアを運営するヤフー子会社の社長に就任。「しゃかりきに働くのが大好きなタイプ」だった中井さんは、結婚し、長男をもうけた後、ふたり目がなかなか授からなかったため、まずは近所のクリニックを訪れた。そこで初めて、自身の疾患を知る。
「多嚢胞性卵巣症候群との診断を受けました。『体外受精でないと妊娠は難しい』と。ひとり目を自然に授かったのは、本当に奇跡的だったんです。もともと月経不順だったのに、仕事に没頭していたから『来なくてラッキー』くらいに思っていたんですよね。でもそれは体のサインだった。なぜわからなかったの?どうして誰も教えてくれなかったの?と」
2年半で3つのクリニックを訪ね、不妊治療の現実を患者として体験するなかで、中井さんはさらに痛感する。この情報こそ、女性たちに届けるべきものだったのでは、と。
「日本の女性の4割は月経困難症で、それは不妊症の予備軍であるということ。卵子は有限だということ。体外受精や顕微受精などの生殖補助医療における妊娠率は35歳で約43%、その後はぐっと下がっていくこと。逆に流産率は加齢と共に上がっていくこと――。正しい情報をきちんと知っておくことは、人生の選択肢を増やすことにつながります」
ITの力で不妊治療に伴走すると共に、初潮から妊娠・出産、閉経まで、女性が自分の体と人生を自身で管理できる未来を目指す。
「後悔や我慢をしなくてすむように。生殖に関わるカルチャーを変えていきたい」
◇中井友紀子さんに質問
Q.朝起きていちばんにやることは?
何よりもまず6歳と2歳の子供の送り出し!
Q.人から言われて嬉しいほめ言葉は?
「ママありがとう」
Q.急にお休みがとれたらどう過ごす?
子供と公園へ行って自転車の練習に付き合ったり、一緒に走ったり。いつも仕事ばかりで子供たちをほっぽりだしているので。
Q.仕事以外で新しく始めたいことは?
もうこれで精一杯です私、精一杯!(笑) 今この仕事に挑んでいられるだけで感謝なので、これ以上新しいことは始められません。
Q.10年後の自分は何をやっている?
女性医療に関わる行動変容を促して、困っていたら気軽にお医者さんにかかれる、女性に優しい社会を実現していたい。
Q.自分を動物にたとえると?
よく言われるのは「小動物みたい」。
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- PHOTO :
- 望月みちか
- EDIT :
- 木村 晶・喜多容子(Precious)
- 取材 :
- 剣持亜弥