「富裕層」を漠然と「お金持ち」とイメージしている人は多いのでは? でも、「どの程度のお金持ちなのか」…気になりませんか? ということで今回のテーマは「富裕層」。その定義や割合、関連用語として「超富裕層」や「準富裕層」についても解説します。

【目次】

富裕層の定義は? 日本全体における「富裕層」の割合は、約2.6%。
日本全体における「富裕層」の割合は、約2.6%です。

【「富裕層」の定義を知ってる?「基礎知識」】

■意味・定義

実は「富裕層」の定義は明確には定まっていないようです。『現代用語の基礎知識』は2005年を象徴する言葉として「富裕層」を取り上げ、「金持ちのこと。『金持ち』という名称に阿漕(あこぎ)さがにおうため「高額所得者」と言い換えられ、さらに、色を薄めた「富裕層」になった」と解説しています。

一方、大手シンクタンクの野村総合研究所(以下、「NRI」)は、「純金融資産保有額が1億円以上5億円未満」の世帯を「富裕層」と位置づけています。純金融資産とは、預貯金や株式、債券や投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から、不動産購入に伴う借り入れなどの負債を差し引いたものです。例えば、総資産が1億円だったとしても、住宅ローンの支払いなどの負債があれば純金融資産は1億円を切ってしまうだめ、NRIの定義する富裕層にはカウントされません。

■割合

「NRI」は、2021年の日本における純金融資産保有額別の世帯数と資産規模を、各種統計などから推計しています。これによれば、2021年の富裕層は139.5万世帯で、この推計を開始した2005年の81.3万世帯から、58.2万世帯増加しました。「富裕層」の世帯数は、安倍政権の経済政策(「アベノミクス」)が始まった2013年以降、一貫して増加を続けています。また「富裕層」の純金融資産保有額は259兆円です。母数となる全国の世帯総数は 5413.4 万世帯ですから、日本全体における「富裕層」の割合は、約2.6%だと言うことができます。


【「超富裕層」「準富裕層」とは?】

「NRI」による「富裕層」の定義は、「純金融資産保有額が1億円以上5億円未満」。では、1億円以下、もしくは5億円以上の資産保有世帯は、なんと呼ばれているのでしょうか。実は「NRI」は「純金融資産保有額」を基に、総世帯を以下の5つの階層に分類しています。

超富裕層(5億円以上):9万世帯/105兆円
富裕層(1億円以上5億円未満):139万5000世帯/259兆円
準富裕層(5000万円以上1億円未満):325万4000世帯/258兆円
アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):726万3000世帯/332兆円
マス層(3000万円未満):4213万2000世帯/678兆円

■「超富裕層」の「定義」と「割合」

「純金融資産保有額5億円以上」の世帯は「超富裕層」と呼ばれており、現在、9万世帯がここに該当します。日本の世帯数全体に占める割合は、約0.17%。「超お金持ち」の定義としてしっくりくるのではないでしょうか。

日本では、この数年で純金融資産保有額1億円以上の「富裕層・超富裕層」は増加しています。また、2019年から2021年にかけて、「富裕層」および「超富裕層」の純金融資産保有額は、それぞれ9.7%(236兆円から259兆円)、8.2%(97兆円から105兆円)増加し、両者の合計額は9.3%(333兆円から364兆円)増えています。過去10年近くにわたって富裕層・超富裕層の世帯数、及び純金融資産保有額が増加している要因は、株式などの資産価格の上昇により、富裕層・超富裕層の保有資産額が増大したこと、金融資産を運用(投資)している「準富裕層」の一部が「富裕層」に、そして「富裕層」の一部が「超富裕層」に移行したためと考えられます。

■「準富裕層」の「定義」と「割合」

「純金融資産保有額が5,000万円以上1億円未満」の世帯が「準富裕層」にあたります。世帯数は325.4万世帯。日本全体の6%がこの層に該当します。


【「富裕層」の暮らしとは?】

「NRI」の調査によれば、金融資産1~5億円の「富裕層」の約3分の1が事業オーナーであることが明らかになっています。その暮らしにはどのような特徴があるのでしょうか。

■株式など資産管理を積極的に行っている

「富裕層」と「超富裕層」、つまり「1億円以上の資産家」が保有する資産総額は、前述の通り、2019年から2021年のわずか2年間で、[333兆円→364兆円]と、31兆円も増えています。これは、株式などの資産価値の上昇が大きな要因です。

■「お金を増やす」ことに目を向けている

低金利の時代、お金は「貯める」だけでは増えません。「富裕層」の人たちは「貯める」から「増やす」に意識を向けているようです。一般に、同じ金利や運用期間で運用する場合には、もともと保有している資産が大きければ大きいほど有利にはたらききます。また、投資には元本割れのリスクがありますから、日常の暮らしを守るためにも、余剰資金がある人ほど行いやすいと言えるでしょう。


【「類語」「言い換え」表現】

「富裕層」は、ほかにどんな言葉で表現できるでしょう。

■お金持ち

■富豪

■高所得者


【「英語」で言うと?​】

「富裕層」を英語で表現するならば、[the wealthy social stratum]あるいは[wealthy people]になります。[stratum]は「階層」を意味します。また[wealthy]は「裕福な、富裕な」と言った意味。[wealthy class]でも「富裕層」は表現できますよ。

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「富裕層」と「超富裕層」、つまり「資産が1億円を超える世帯」は、日本に148万5000世帯存在します。これは日本全体でみると約2.7%。単純に考えて、「超お金持ちな家」が100軒に2〜3軒はあるということですね。あなたはこれを「多い」と感じますか? それとも「少ない」と感じますか? 2024年からは新NISAがスタートし、将来に向け、長期的な視点でお金を増やす「資産運用」の必要性を感じる人も増えているようです。「お金の勉強」は「大人の語彙力」同様に大切な時代になりつつあるのかもしれません!

この記事の執筆者
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参考資料:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館) /『現代用語の基礎知識』(自由国民社) /野村総合研究所2023年3月1日NEWS RELEASE https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2023/230301_1.pdf /厚生労働省「I 世帯数と世帯人員の状況」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/02.pdf :