【目次】

【「デリカシー」の「意味」と「語源」】

■意味

「デリカシー」は、人の心や感情などの繊細さ、細やかさを言う名詞で、簡単に言えば「思いやり」や「気遣い」のこと。また、さまざまな事柄の取り扱いに細心の注意を要することも表します。

■使用例

・デリカシーがない ・デリカシーに欠ける ・デリカシーに配慮する ・デリカシーをもつ

■語源

語源は英単語の[delicacy]を語源とします。日本人は他者に対する敬意や思いやりを重視するため、デリカシーが「ある」か「ない」か、とても気にします。そんなこともあって、カタカナ語(外来語)である「デリカシー」はよく使われるようになったのでしょう。


【正しい使い方」がわかる「例文」10選】

■1:「仕事でミスをして気落ちしている後輩を元気づけようとしたが、うっかりデリカシーのない言葉をかけてしまい逆効果だった」

■2:「異動の話を本人に伝えるときは、もっとデリカシーを大事にしたほうがいいと思うよ」

■3:「プライベートなこと聞きすぎると、デリカシーがないって思われるから注意だよ」

■4:「あのメール、デリカシーをもう少し考えてから送ったほうがよかったかも」

■5:「もう少しデリカシーをもたないと、チームのなかで浮いた存在になると忠告された」

■6:「自分ではデリカシーのあるほうだと思っていたが、どうやらそうではないらしい…」

  • ■7:「新規提案の場では、相手企業の文化や価値観に対してデリカシーをもった発言を心がけるべきだ」

  • ■8:「部下へのフィードバックでは、本人のプライドを傷つけないようデリカシーに配慮する必要がある」

  • ■9:「チームメンバーの私生活に関する話題には、十分なデリカシーをもって接してほしい」

  • ■10:「海外クライアントとの交渉では、宗教や慣習に関してデリカシーを欠いた発言は厳禁です」


【「デリカシーがない」の言い換え表現】

「デリカシーがない」の類語や日本語での言い換え表現を見てみましょう。デリカシーのない人は「デリカシー」の言葉の意味自体がわからないというケースも多々あるので、「あなたはデリカシーがない!」と言うより、言い換え表現の方が効果的かもしれません。

・無神経な: 恥や外聞、他人の気持ちなどを気にしないこと。

・配慮のない:心遣い、気遣いがないこと。

・無頓着な:少しも気にかけないこと。

そのほか、「ずうずうしい」「下品」「失礼」「人を不愉快な気持ちにさせるのがうまい」といった形容も、デリカシーに欠ける人が、よく言われやすい表現です。

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また、柔らかいニュアンスの言い換え表現としては、

  • ・ちょっと気遣いが足りない

  • ・少し配慮が甘い

  • ・無邪気すぎる

  • ・率直すぎる

  • ・ストレートな表現をする

  • ・もう少し相手目線を意識できるといい

  • ・オープンすぎる

  • 少し遠慮がほしい場面だった

  • ・人の気持ちの機微に鈍感なところがある

  • ・空気を読むのがちょっと苦手なときがある

  • などがあります。

  • 改善を促したい場合には

  • 「それ、ちょっと思いやり足りないかもよ」

  • 「今の言い方、ちょっとキツく聞こえるかも」

  • 「その言い方、少し雑かもしれないよ」

  • など、ストレートでも柔らかいニュアンスを含んだ言い方がよいでしょう。


【「デリカシーがない」と言われる人の特徴】

自分では気を付けているつもりでも、うっかりデリカシーに欠ける言動をしてしまうこともありそうです。「デリカシーがない」と言われるのはどんな人か、その特徴を知って己を戒めましょう。

■他人のプライバシーに踏み込む

社会人になると、家庭環境や就学の程度、生活習慣などが異なる人と関わりが増えていきます。学歴や年収、親の職業や地位などはごくプライベートなことですが、デリカシーがない人はそこに興味をもったらズケズケと踏み込んで聞いてきます。デリカシーのない人は、「他者に言いたくないこと」は人それぞれであることが理解できないのです。

■TPOやマナーに無頓着

自分本位な人は、場にふさわしい振る舞いに無頓着。周囲の人を不快にさせるだけでなく、同行者に恥ずかしい思いをさせたり、申し訳ない気持ちにさせたりしてしまいます。

■言葉選びが雑、ストレートすぎぎる

政治家や知事などの行政の専門家の失態で多いのが、まさに「デリカシーのない発言」です。その場のノリで言わなくてもいいことを言ってしまったり、うっかり本音が出てしまいそれが失言となってしまったり…というのは、言葉選びに慎重さが足りないから。

■容姿をネタにする

子どもじみていますが、いまだに容姿をネタにからかう人っていますよね。人が嫌がることを言っておもしろがる…これも非常にたちが悪く、ハラスメント的にも完全アウト! 自分が言われたりされたりした嫌なことは絶対にしない、これは道徳の鉄則ですが、デリカシーのない人は、自分が言われても平気だったりするのでさらにめんどうなのです。

■空気が読めない

その場でしていいこととしてはいけないことの区別ができない、空気が読めない人はデリカシーのない人です。周囲を凍りつかせていることも、嫌われていることにも気付きません。

■謝罪や感謝が足りない

絶対謝らない、言うと親に不幸がが起こるのか?と思うほど「ありがとう」を言わない人っていますよね…。


【「デリカシーがない人」の対処法】

プライベートな付き合いならデリカシーのない人とは関係を断てばいいのですが、仕事ではそう簡単ではないでしょう。そんな人への対処法をご紹介します。できるだけストレスになりませんように…。

■割り切る、気にしない

「デリカシーがない人」を変えようとするのは徒労に終わるでしょう。「そういう人」と割り切り、できるだけ気持ちをフラットに、気にしないと割り切ること。そっと、そしてしっかりと心の耳を閉じましょう。一緒にいて恥ずかしいこともあるでしょうが、ほかの人も理解しているはずです。

■プライベートなことは極力公開しない

「デリカシーがない人」には自分の情報を知られないようにすべき。ネタを与えないことが肝心です。しかし、「大学はどこ?」などと聞かれて、頑なに言わないのも大人気ないですよね。プロフィール的なことは聞かれたら表面的なことだけ最小限、さらっと答える、でも日常のプライバシーは話さない、が得策です。真面目な人ほど「聞かれたことには答えなければいけない」と思ってしまいがちですが、そんなことはありません。「言いたくないです」「内緒です」「忘れました」と言ってもまったく問題なし、ということを覚えておいてください。

■深く関わらない

相手を理解しようとするのはムダです。可能な限り距離を取り、関わらないのがいちばんです。それができないのなら、あなたの心労を友人や上司など、信頼できる人に相談するのも手です。

落ち着いて指摘する、第三者を交えて伝えるというのも適切です。また、そういう相手にも、常に礼儀正しく、冷静な態度で、自分のスタンスを崩さないということも大切です。

【「英語」で言うと?】

私たちが「思いやり」や「気遣い」という意味で使っている「デリカシー」とぴたり一致する単語はないので、

「デリカシー」にピタリと一致する単語は英語にはないので、sensitivity(繊細さ、配慮)やtact(機転、機微を読む力)、consideration(思いやり)といった言葉で表現します。​

・He (She) lacks sensitivity.(彼[彼女]は感受性・配慮に欠けている。)

・He (She) is not very considerate.(彼[彼女]はあまり思いやりがない。)

・He (She) can be a bit tactless.(彼[彼女]は少し無神経なところがある。)

・He (She) sometimes misses the subtle cues.(彼[彼女]は時々微妙な空気を読み違える。)

・He (She) could be more mindful of others.(彼[彼女]はもっと他人に配慮できるといいんだけど…。)

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今回は、否定的に使われることが多い「デリカシー」という言葉について学びました。臨機応変に、自分がもっとも不愉快な状況からいち早く離れられるように、常に必要なパーソナルスペースを確保していきましょう。

また、国内外の行き来が通常化、急増しています。万博も開催されましたね。海外の方々との交流のなかでも「デリカシー」に対する価値観の相違を感じるケースもあるでしょう。柔軟さをもって受け止めていきたいものです。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『情報・知識imidas』(集英社) :