「ルピナス」という花をご存じですか? 直立した花茎に、フジに似た小さな花を鈴なりに咲かせる花です。今回は、「ルピナス」について、その特徴や花言葉、役立つ雑学をご紹介します。

【目次】

広義には「早い」が使われます。
春から初夏に花をつける人気の「ルピナス」。花言葉はビジネスパーソンにも必要な「あれ」です。

【「ルピナス」ってどんな花?「基礎知識」】

以前は庭の花としてお馴染みだったルピナスですが、現在は切り花としても人気上昇中です。

■どんな花?

マメ科ルピナス属の「ルピナス」は、品種によっては1m程の穂状に直立した花茎に、フジに似た小さな花が鈴なりに花をつけます。同じマメ科(フジ属)であるフジの花が上から下へ垂れ下がって咲いていくのに対し、こちらは下から上へと咲いていくので、和名では「ノボリフジ(登藤)」「タチフジ(立藤)」とも呼ばれています。また、白い毛で覆われた葉の形がうちわに似ていることから、「ハウチワマメ(葉団扇豆)」の別名ももっています。

■一年草?多年草?

「ルピナス」の原産地は北アメリカ、中南米、地中海沿岸、南アフリカなど。世界中に約300種が分布し、本来は多年草ですが、冷涼で乾燥した環境を好むため、夏、蒸し暑い日本では基本的に一年草として扱われます。

■いつ咲くの?

秋に種をまくと、翌年か翌々年の春から初夏に花を咲かせます。フジの花は藤色とも言われる青紫が定番ですが、「ルピナス」は赤やピンク、オレンジ、紫、黄などさまざま。花もちは5〜7日程です。


【ルピナスの「花言葉」は?】

■花言葉は「想像力」

現在は観賞用や飼料、肥料として利用されていますが、かつて「ルピナス」は食用に栽培されていました。古代ヨーロッパでは、この花を食べると心が明るくなり、想像力が高まると信じられていたそうです。花言葉の「想像力」はここに由来しています。

■もうひとつの花言葉は「貪欲」

荒れ地でも育つ生命力から「貪欲」の花言葉が付けられました。ほかには、黄色の「ルピナス」には「多くの仲間」、青色の「ルピナス」には「母性愛」といった花言葉があります。


【「ルピナス」にまつわる「雑学」】

■代表的な種類は?

・ラッセルルピナス(タヨウハウチワマメ)
近年よく栽培されるようになったこの種類は、イギリスの園芸家、ジョージ・ラッセルが改良した品種群。成長が早く種類も豊富な多年草で、黄色や赤、青色の花を咲かせます。「ルピナス」といえば、この種類をイメージする人が多いのですが、暑さに弱く、蒸し暑い日本では育てるのは難しいかもしれません。

・キバナルピナス(キバナハウチワマメ)
南ヨーロッパ原産で、草丈は40~50cm。種は秋まきで、3月~5月に黄色い花を咲かせます。切り花用としての栽培が多い品種です。

・カサザキルピナス
こちらも南ヨーロッパ原産で、草丈は50~60cm。秋まきで、4月ごろに青紫色や白色の花を咲かせます。

・ハートウェギー(ニシキハウチワマメ)
メキシコ原産で、草丈が60~90cmになる、存在感ある品種です。秋まきで、5月~6月に開花します。花色は青紫、白、桃、紅色などで、ルピナスの中で「もっとも美しい」という声も。

■ルピナスの育て方

多年草の種は春まきですが、日本に多い一年草、二年草の栽培は、秋に種子をまきます。種まきをするときは、種を一晩水につけておくと発芽率が上がりますよ。ポットなどに土を入れ、1〜3cmほどの深さに種をまいて土をかぶせ、日陰の涼しい場所で管理してくださいね。発芽したら日当たりのよい場所に移します。水はけのよい土壌を好みますので、鉢植えの場合は、草花専用培養土を使うと簡単です。地植えの場合、ルピナスは酸性の土壌を嫌うため、土壌の酸度調整が必要となります。植え付けの1週間ほど前に苦土石灰を混ぜ込んでおきましょう。

■切り花の楽しみ方は?

色とりどりの「ルピナス」をミックスしてミニブーケをつくったり、1種類だけを飾っても素敵です。花がポロポロと散りやすいので、終わった花はすぐに摘み取りましょう。一緒にアレンジして相性がいい花材として、スカビオサやブルースターが有名です。

■花が終わったらどうする?

花が咲き終わったら、花茎の付け根から切り取ります。こうすることで脇芽が伸びて、2回目、3回目の花を楽しむことができますよ。また、花の終わった「ルピナス」からは、種を採取することができます。花が咲き終わったあとそのままにしておくとさやをつくるので、茶色く乾燥してきたら種を取り出し、風通しのよい日陰で乾燥させましょう。種を乾燥剤と一緒に密閉容器へ入れて保管すれば、次のシーズン、再び種まきをして育てることができます。

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「ルピナス」は、マメ科特有の可憐な花を色とりどりに咲かせます。空に向かって伸びていく姿も魅力的。大きさや花色も豊富、花言葉もポジティブなので、仕事仲間へのプレゼントに活用してみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /『花屋さんで人気の469種 決定版花図鑑』(西東社) /『ちいさな花言葉・花図鑑』(ユーキャン自由国民社) /『世界大百科事典』(平凡社) :