毎年、梅雨に向かう季節になると、「今日は雨は降る?」「傘は持ったほうがいい?」「夕方寒くなるかな? 上着はどうしよう?」などなど、毎日の天気がいっそう気になりますね。6月1日は「気象記念日」です。今回は「気象記念日」の由来と供に、日本の天気予報の歴史や気象にまつわる雑学をお届けします。

【目次】

気象記念日は、東京気象台設置を記念して制定されました。
気象記念日は、東京気象台設置を記念して制定されました。

【6月1日は「気象記念日」。なぜ?いつから?「由来」】

■「気象記念日」は「いつ」、「誰が」決めたの?

「気象記念日」は6月1日。1942(昭和17)年、気象庁が制定しました。毎年、気象記念日には、気象記念日式典が行われ、気象業務に功績のあった方への表彰が行われます。

■由来

気象記念日は、1875(明治8)年の6月1日、東京・赤坂葵町に現在の気象庁の前身となる東京気象台が設置され、毎日3回、気象と地震の観測が開始されたことを記念して制定されました。葵町とは、現在のホテルオークラの辺り(東京都港区虎ノ門2丁目)です。当時の気象庁は内務省測量司所属で、職員は測量技師であるイギリス人のジョイネルH. B. Joyner、たったひとりでした!2024年で、第149回を迎えます。


【「気象」にまつわる「雑学」8選】

■日本で最初の天気予報は?

日本で初めて天気予報が発表されたのは、1875(明治8)年の6月1日に観測が始まってから9年後、1884年6月1日午前6時のことでした。「全国一般風ノ向キハ定リナシ。天気ハ変リ易シ。但シ雨天勝チ」。対象はなんと「全国」。実際の天気は、西日本では快晴が多く、東日本では曇り、日本海側の新潟や秋田では雨が続いたそうです。確かに「天気は変わりやすい」ですが、精度の点で言えば、あまり頼りにはなりませんね。この予報は、東京の派出所などに掲示されたようです。

気象庁はどこの管轄?

1875(明治8)年に設置された「東京気象台」は、1887(明治20)年に「中央気象台」と名前を変え、1956(昭和31)年に「気象庁」として運輸省(現在の国土交通省)の外局となりました。現在、「気象庁」は国土交通省の外局です。ちなみに「外局」とは、国の行政機関で、府(内閣府)または省の所轄の下に置かれますが、その内部組織の外に設置される委員会(公正取引委員会など)および庁(国税庁など)を指します。

■「梅雨入り」の定義は?

「梅雨入り」とは「梅雨の季節に入ること」です。気象庁では、梅雨を「晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多く現れる期間」と定義していて、季節が移り変わるなかで現れる季節現象のひとつとして捉えています。そのため、「今日から梅雨」、「今日から梅雨明け」のように、ある一日を「梅雨入りの日」と特定することは難しく、平均5日間程度の移り変わりの期間があることから、梅雨入り日・梅雨明け日の末尾に「〇月×日ごろ」と「ごろ」を付けて発表しています。

■どうやって予測する?2024年の東京の梅雨入りは?

気象庁は「平年の梅雨入り時期」のデータをもとに、今年の梅雨入り時期の速報値を発表しています。平年の梅雨入り時期から、今年の梅雨入り時期の目安を立てることができるのです。2024年、関東甲信の梅雨入りは、平年で6月7日ごろとされています。ちなみに昨年は6月8日ごろでした。梅雨明けは、平年で7月19日ごろ、昨年が7月22日ごろでした。

■日本でいちばん晴れが多い県、少ない県は?

気象情報会社「ウェザーニューズ」の2022年12月の発表によると、47都道府県の中でもっとも昼間晴れた時間が長かったのは、山梨(甲府)。2022年1月1日から12月20日の期間で、2614時間でした。年間のおよそ61%の割合で晴れていたことになります。2位は高知、3位は兵庫(神戸)、4位は香川。東京は24位、大阪は5位という結果でした。

反対に、昼間晴れた時間が最も短かったのは、沖縄(那覇)で1684時間でした。これは山梨(甲府)の3分の2未満にあたり、年間のおよそ40%弱しか晴れていなったということ。日本の南国リゾート代表の沖縄の晴天率が低いのは、意外な結果でしたね。次点は秋田、そして青森、富山と続きます。

「天気予報電話サービス」って知ってる?

インターネットが普及した現在からはちょっと想像がつかないかもしれませんが、わずか20年程前までは、電話で天気予報を聞くことができる「177」の「天気予報電話サービス」が広く一般に使われていました。「天気予報電話サービス」は1955(昭和30)年に、日本電信電話公社(現在のNTT)によって始められた、固定電話から、局番なしの「177」で天気予報を音声で聞くことができるシステムです(※スマホの場合、また、他地域の天気を知りたい場合は、市外局番を入れてから177)。1997年までは、一般財団法人 日本気象協会の担当者が協会内のブースで音声を吹き込み、その録音を電話で流していたそうです。現在では利用者が減っているものの、パソコン、スマートフォンの操作が苦手な人、視覚障害がある人にとっては便利なツールです。また、災害時にも利用できるサービスなので、覚えておくといいかもしれませんね。

■そのほかの「お天気関連」の記念日

・世界気象デー
3月23日は「世界気象機関(WMO)」により制定された「世界気象デー」
です。1950年の3月23日、世界気象機関条約が発効し、国連の専門機関(WMO)が正式に発足したことを記念して、1960年に制定されました。気象業務への国際的な理解促進を目的としています。

・熱中症対策の日
5月5日は「熱中症対策の日」です。こちらは日本気象協会が手掛ける「熱中症ゼロへ」プロジェクトと、プロジェクトの公式飲料「アクエリアス」の日本コカ・コーラが共同で制定した記念日です。日付は暦のうえで夏が始まる「立夏」とし、いち早く熱中症への注意を促すのが目的です。

・ウェザーリポーターの日  
世界中の気象観測、分析、予測などを行う気象情報会社、ウェザーニューズが制定した記念日です。同社では一般の方(ウェザーリポーター)から現地の空の様子を写真やコメントで送ってもらい、それを天気予報に反映する参加型の天気予報サービスを行っています。このウェザーリポーターの輪をさらに広げることが目的です。日付は2005(平成17)年11月1日にウェザーリポーターの企画が始まったことに由来します。

■日本でいちばん「寒かった日」と「暑かった日」は?

・いちばん「寒かった日」は?
「日本でいちばん寒い日」を観測したのは、北海道です。1902年1月25日に旭川で「-41.0℃(!)」が観測され、次点は帯広の「-38.2℃」(1902年1月26日観測)、江丹別(えたんべつ)の「-38.1℃」(1978年2月17日観測)。一般的な冷蔵庫の冷凍室の適正温度は、-20℃から-18℃、そして南極の冬の平均気温は-20℃ですから、冷凍庫よりはるかに低く、一時的には南極をしのぐほどの寒さと言えます。

・いちばん「暑かった日」は?
日本でいちばん寒いのが最北の北海道なら、暑かった日が観測されたのは最南である沖縄では? と思いきや、実は、沖縄が35℃以上の猛暑日になることは珍しく、夏に本州から沖縄を訪れると「涼しい」と感じる人も多いのです。「日本でいちばん暑い日」が観測されたのは、静岡(浜松)で 2020年8月17日の「41.1℃」と、埼玉(熊谷)の「41.1℃」( 2018年7月23日観測)が同率1位。3位には岐阜・美濃の「41.0℃」(2018年8月8日観測)。すさまじい暑さですね!

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現在の私たちは、スマホを使えば都道府県はおろか、かなり狭い範囲での天気予報を簡単に見ることができます。日常の雨対策はもちろん、ゲリラ豪雨や旅行先の天候も知ることができるアプリは、本当に便利ですね。日本で初めて、東京気象台で気象と地震の観測が始まってから、2025年には150年の節目を迎えます。世界的に異常気象や自然災害が増えている今、防災情報として天気予報を上手に活用したいものです。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉プラス』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /気象庁ホームページ「気象庁の歴史」/ウェザーニューズホームページ :