「乳母日傘」ってなんと読む?「うばひがさ」ではないのです!
明日・6月11日は『傘の日』です。今年の歴(こよみ)では「入梅」は本日・6月10日ですが、例年「入梅」にあたることが多い日…という事で、6月11日が固定で『傘の日』とされています。これからしばらくは、常に傘を形態しておく、傘のお世話になる季節が続きますね。お気に入りのデザインや、より機能性の高い商品など、新調を検討するのも楽しそうです。本日は「傘」という字の入った日本語クイズをお送りします。
【問題1】「じゃのめ傘」ってどんな傘?
「あめあめ、ふれふれ~」の冒頭でおなじみの、詩人 北原白秋が作詞した童謡『あめふり』の歌詞にも登場する「じゃのめ傘」とは、どんな傘でしょうか?以下の選択肢の中から正しいものを選んでください。
1:折りたたみでない長傘
2:昔ながらの和傘の雨傘の総称
3:特定の大きな丸模様のついた傘
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 3:特定の大きな丸模様のついた傘 です。
「蛇の目傘」は、和傘の歴史の中、17世紀終わりごろからつくられ始めた「基本となる色に白く太い円が広がり、その模様が蛇の目のように見える傘」を指した言葉です。骨が細身で、模様が際立つつくりの、登場当時としては軽量の雨傘で、歌舞伎の人気演目『助六由縁の江戸桜』の小道具として使われたことをきっかけに大流行したデザインです。「蛇の目(じゃのめ)」は、昔の傘のもようの定番となり、童謡『あめふり』の歌詞に登場するように「じゃのめ=蛇の目傘」という認識が慣例となったのです。
さて、2問目にまいりましょう。
【問題2】「乳母日傘」ってなんと読む?
「乳母日傘」という四字熟語の正しい読み方を、かな6文字でお答えください。
ヒント:「幼児に、乳母をつけたり、日傘を指しかけたりすること。子どもが大事に育てれられること」を指す言葉で、類語は「温室育ち」「過保護」などです。
<使用例>
「乳母日傘(〇〇〇〇〇〇)で育った、箱入り娘の彼女に、この仕事が務まるかしら?」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 乳母日傘(おんばひがさ) です。
「おんば」とは「御乳母(おうば)」の音変化…という説が有力で、丁重なイメージを増幅した言い方だと思われます。「乳母日傘(おんばひがさ)」という読み方は慣例化しており、「うばひがさ」とは読みません。ご年配の方などは現在でも「過保護」という意味でこの言葉を使われることがございますので、大人の教養として知っておきたい言葉です。
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本日は、6月11日『傘の日』にちなんで、
・じゃのめ傘=蛇の目傘(蛇の目のような模様のついた傘)
という知識と、
・乳母日傘(おんばひがさ)
という四字熟語の読み方、言葉の背景などをおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(小学館)/日本洋傘振興協議会ホームページ/日本最古の京都和傘屋辻倉ホームページ/『歌ネット』ホームページ/『漢字ペディア』(日本漢字能力検定協会)/photoAC
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱