あるスキャンダルが発覚し、大ピンチに陥る女性県知事・小川すみれ。舞台『逃奔政走』では、さまざまなしがらみや理不尽なトラブルに巻き込まれながらも、自らの正義感を取り戻していく姿を、鈴木保奈美さんが演じます。スピード感あふれるシチュエーションコメディで定評のある、アガリスクエンターテイメントとの共演も話題です。

鈴木保奈美さん
俳優
1986年にデビュー後、多くのCMやTVドラマに出演。1991年に出演したドラマ『東京ラブストーリー』(CX)は社会現象となるまでの大ヒットを巻き起こし、一躍脚光を浴びる。以降、数々のトレンディドラマに出演。主な出演作に『江 ~姫たちの戦国~』(NHK)、『SUITS/スーツ』(CX)、『浅草キッド』(Netflix)、『セールスマンの死』(舞台)、『レイディ・マクベス』(舞台)など。本作の前日譚『生ドラ!東京は24時-Starting Over-』でも同役、小川すみれとして主演。現在、読書エンターテイメント「あの本、読みました?」(BSテレ東)にレギュラー出演中。』Preciousでのモデル活動も話題となっている。

1本目から読む――【俳優・鈴木保奈美さんインタビューVol.01】舞台が好きになって、出たいと自分から声を上げるように

「私きっと、若いころのほうがカッコつけていたと思うんです」

――舞台『逃奔政走』は、保奈美さんが7年越しに実現させた、念願の作品とお聞きしたのですが。

「6年前くらいに、脚本・演出の冨坂 友さんが主催する劇団・アガリスクエンターテイメントのお芝居を初めて観たのですが『なんて面白いんだ!私も参加したい!』と衝撃を受けて。でもそれからは、本当に大したことはしていないんです。私自身がやりたいと思っても、私はプロデューサーではないですし、予算を組めるわけではないので、『面白いから観に行きませんか?』と、マネージャーを連れて行ったりとか、ドラマの撮影現場で会ったディレクターやプロデューサーさんに『観ました?面白いですよね。私たちもいつかできたらいいですね』みたいな話をしたりだとか」

――では意外と草の根運動のような。

「そう、草の根運動ね! それ、いただきました(笑)」

インタビュー_1
「劇団・アガリスクエンターテイメントのお芝居を初めて観たとき『なんて面白いんだ!私も参加したい!』と衝撃を受けました」(保奈美さん)/ニット¥66,000(マックスマーラ ジャパン〈スポーツマックス〉) 
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――そういった経緯で、実現した舞台なわけですね。ちなみに今回演じる小川すみれは、県知事という役柄ですが、どういう人間像だととらえていますか? Preciousキャリアにも通ずるところがあると、勝手に想像しています。

「確かにそうですね。Precious本誌に登場されている女性リーダーたちに近いかもしれません。でも小川すみれは、もともと主婦で、身の回りの地域やPTAのことなどで、やりづらいことを、もっとこうしたらいいんじゃないって提案しているうちにリーダーに担ぎ上げられ、じゃあNPO法人立ち上げちゃいます?なんてことになってさらに担ぎ上げられ、ちょっと知事やってくださいよって頼まれてまたまた担ぎ上げられ……というようなキャラクターです」

――何か役づくりのために工夫されたり、参考にしたものはありますか?

「これはもう、あちこちでお話しているんですけど、都議会は一度見学に行きました。 小池百合子都知事が演説されているのを見たり、議会全体の雰囲気などを観察したり。引き続き、ほかの女性政治家の方々もウォッチングしようと思っています」

俳優の鈴木保奈美さん
「役作りのため、引き続き女性政治家の方々をウォッチングしようと思っています」(保奈美さん)

――期せずして都知事選も近いですね。それから、本作が生まれるきっかけにもなったという、保奈美さんが行なっている“部活”についても、少しお話を聞かせてください。俳優仲間とともに、ワークショップなどを通じて演劇を学ぶ場をつくっているとか。子育てがひと段落されたころからのスタートでしょうか。

「始めたのは40代後半くらいですね」

――その“部活”を始める前と後では、お仕事に対する向き合い方やとらえ方は、何か変わりましたか?

「“部活”がというよりは、年齢を重ねてきて徐々に、という感じですね。ドラマの撮影現場でも、いろいろと失敗を重ね、こんな自分じゃダメだなっていうことが、いっぱいあるんです」

――意外です、保奈美さんのキャリアでもですか?

「本当にありますよ! 毎回毎回が学びなので。この作品はダメだったなとか」

――そうなんですね。

「たぶん若いころは、それをどこか周りのせいにしていたんだと思うんです。今ではやっぱり自分がよくなかったとか、どこを直せばいいのかを、考えるようになりましたね」

――保奈美さんほどキャリアがあると、今から新しく何かを学ぼうとすると、できません、わかりませんというのは恥ずかしい、今さら聞けない…と躊躇してしまうことはありませんか?

「私、若いころのほうがカッコつけていて、『わかりません、知りません』がいえないタイプだったんです。でも50歳を過ぎたら、そんなことは別に恥ずかしくないって思い始めました。あとは仕事仲間やプライベートの友人にも、楽しい人がいっぱいいるんですけど、私が好きな人って、みんなどこかへんてこだったり、おっちょこちょいだったりするんですよ。でもそういう人こそ魅力的だし、一緒に会うと楽しくて、元気をもらって、また会いたいなって思うんです。『あれ、完璧な人なんていない。なんで私はちゃんとしてないといけないって、今まで思っていたんだろう』って、 ある時点から感じるようになったんですね。

俳優の鈴木保奈美さん
「若いころのほうがカッコつけていて、『わかりません、知りません』がいえないタイプだったんです」(保奈美さん)

それが50歳前後くらいのことで、そこからなんとなく自分の“変”を隠さずに小出しにしてみたら、面白いっていってくれる人が出てきたりして、これでいいんだと、考え方が好転しました。わからないことは教えてっていえばいいし、間違ったら『ごめんなさい、今のはナシ』っていうことが、できるようになったんです」

――そういう女性のほうが、 下の世代も接しやすいかもしれません。話しかけやすいから、何か一緒にしましょうよっていえる関係になれるのでは。

「そうかもしれませんね。そのためだけに、そうしてるわけでもないですけれども」


続きは、鈴木保奈美さんインタビューVol.03で!常に新しいことにチャレンジし続ける秘訣について、伺っています。

舞台『逃奔政走-嘘つきは政治家のはじまり?-』7月5日開幕!

舞台『逃奔政走-嘘つきは政治家のはじまり?-』
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公演日程/
【東京公演】2024年7月5日(金)~16日(火) 会場/三越劇場
【京都公演】2024年7月20日(土)・21日(日) 会場/京都劇場
脚本・演出/冨坂友
出演/鈴木保奈美、寺西拓人、相島一之、佐藤B作ほか
公式サイト公式 X
制作/アガリスクエンターテイメント
主催/フジテレビジョン

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