ショーファーカー(お抱え運転手付きのクルマ)としても名高いロールス・ロイスの名は、ご存じのはず。高貴なたたずまいは、時代が求める空気を予言するかのように代を重ねながら洗練さを増し、滑らかで静粛性極まる乗り心地は先進の技術を取り入れて、乗る者の心を捉えて離しません。昨今は自分でハンドルを握るオーナーが増えているそうで、それは無二の体験を自分の意志でコントロールしたいという気持ちの表れではないでしょうか。
そんな“モダン・ロールス”の人気モデルが、「カリナン」。南アフリカで採掘された史上最大のダイヤモンドにちなんだ車名に永遠のロマンを感じずにはいられませんが、実際にハンドルを握ってみると、まだ見ぬ夢の世界を確かな形で見せてくれること確実。このたび大胆に昇華した「カリナン・シリーズII」のメディア向け試乗イベントがスペインのリゾート、イビサ島を舞台に行われました。そこでの体験を通じて“モダン・ロールス”の魅力を解き明かします。
自動車文化を創り出した英国の名門、ロールス・ロイス
ロンドンに生まれた貴族階級にして希代の冒険者精神を抱くチャールズ・ロールズと、天才技術者のフレデリック・ヘンリー・ロイスが1904年に出会い、創業したロールス・ロイスは、最高の品質と性能を追求することを命題としていました。自動車が20世紀以降の社会を構成する重要な存在へと飛躍し、新しい文化を生み出す原動力となりえたのは、ロールス・ロイスの先駆的な取り組みがあってこそ。
ギリシャのパルテノン宮殿をモチーフにしたとされる車体前端の美しいパンテオン・グリル、ボンネット先端に付く夢とエネルギー、優雅さ、美の象徴たるオーナメント「スピリット・オブ・エクスタシー」に代表されるデザインに、人々は魅了されました。そして“マジック・カーペット・ライド”と称される、まるで絨毯の上を走っているかのような振動のない滑らかな乗り心地に心を奪われた世界の王族や政治家、アーティストは、無限の可能性を秘めたビスポークプログラムを駆使して、自分だけのロールス・ロイスをオーダーしたのです。
地中海の西方に浮かぶ、モダン・クラブカルチャーの中心地として有名なイビサ島を舞台に、多様化するライフスタイルに寄り添うスーパー・ラグジュアリーSUV「カリナン・シリーズII」をフィーチャーしたメディア向け試乗イベントが開催されたのは、大胆に思えるほどの先駆的精神をもって富裕層の心に語りかける名門ブランドの哲学を表しているといえるでしょう。
若い世代のオーナードライバーに寄り添うモデル
ロールス・ロイスといえば、馬車の時代から続く、「御者(運転手)が操縦して乗員は後方のキャビンに座る」乗り物というイメージをお持ちの方が多いはず。ところが、近年は若年世代の富裕層が増えたこともあり、オーナーの平均年齢は56歳(2010年時点)から43歳にまで若返っているそう。併せてロールス・ロイスのクルマ作りも運転の楽しみをより感じられる方向へとシフトした結果、オーナードライバーがとても増えているのです。
週末に自分でハンドルを握り、家族や大切な相手と出かけられる、エフォートレスな価値観に対応して2018年に誕生したのが「カリナン」であり、今回イビサ島でメディアを待っていたのは、変化するラグジュアリーのコードとライフスタイルに合わせてアップデートした、最新の「カリナン・シリーズII」です。
人間の顔にあたるフロント部分は、現代的なスポーツ・ヨットの船首をほうふつさせる鋭いラインを描き、伝統のパンテオン・グリルも洗練されたデザインとなったうえ、スリット内から光るイルミネーション機構が付いています。ほかにも細かなデザイン変更を施した「カリナン・シリーズII」は、前衛的な精神を宿す英国の品格を色濃く感じさせるスタイリングで登場しました。そこに周囲を威圧するような印象はありません。ラグジュアリーの本質を踏まえた気高い存在感は、卓越したクラフツマンシップによって具現化された、ロールス・ロイスならではの個性です。
ラグジュアリー・ヨットにも通じる極上の走行体験
地中海一美しいといわれるイビサ島には波がおだやかな湾も多く、静かな海をいくつものラグジュアリー・ヨットやクルーザーが行き交っています。「カリナン・シリーズII」は、まさに陸を走るラグジュアリー・ヨット。インテリアのテキスタイルは先駆的な取り組みの下、竹から作られた新しいレーヨン生地「デュアリティ・ツイル」を採用。パネル部分やレザーにも手の込んだ技術が取り入れられています。自然豊かな場所も走れる「カリナン・シリーズII」らしいキャビン内部の演出が、行動的なオーナーの休日を彩ります。
赤茶けた土と濃い青空の対比が美しいイビサ島の情熱的な景色は、「カリナン・シリーズII」を運転することでより鮮やかさを増していきます。そんな心地いい時間をもたらす要因は前述のインテリアに加え、世界随一の“マジック・カーペット・ライド”にもあります。日本よりも舗装が荒い路面を走っても衝撃を優しくいなし、接地するタイヤのノイズ、周囲の音、そしてエンジンの存在感をも忘れさせる静けさは、まさしくきめの細かい最高品質のシルクカーペットの上を歩くのにも似た上質さ。それでいてアクセル&ブレーキペダルのわずかな動きに機敏に反応して加減速し、ハンドル操作に忠実な車体の動きがドライバーの感覚とリンクして、とても気持ちよく走れるのです。
乗り心地のよさを謳いながら、実際は車体がふわふわと揺れて不安になるクルマは少なくありませんが、「カリナン・シリーズII」のそれはまったく別次元のもの。乗員が不安を感じることなくリラックスできる心地よさに、ロールス・ロイスは膨大な時間をかけて研究していることがうかがえる、極上のクルージングでした。
好奇心の赴くままに、休日は自分でハンドルを握りたいもの。とはいえ平日での移動時間は多忙な合間に訪れる、貴重な安らぎのひとときです。そんなときにも「カリナン・シリーズII」はしっかりと応えてくれます。後部座席用のスクリーンには最大2台のストリーミングデバイスを接続することができ、マッサージ、ヒーター、クーラーなどのシート機能を操作可能。さらにWi-Fiスポット接続を利用して、各スクリーンを個別に視聴することができるほか、音響面においても自動車全体が実質的なサブウーファーと化すなど、ダイナミックな映像&音楽体験を提供してくれます。
ロールス・ロイスは人生を楽しみ尽くすためにある
イビサ島にはクラブ好きの若い世代だけではなく、自然を愛する富裕層も多数訪れます。紀元前後から開拓された歴史を持つこの島には古くから残る美しい町並みがあります。そこで静かな時間を過ごし、豊かな海から獲れたオーガニック食材を楽しめるビーチリゾートやレストランに足を運び、バカンスを楽しむ人々を目にするにつけ、オンとオフのみごとな使い分けに心を奪われました。
類まれな走行性能とラグジュアリーな空間設計、そして極上のエンターテインメント性を備えた「カリナン・シリーズII」は、人生を楽しみ尽くすための仕掛けが満載。自分らしい生き方を貫く女性なら、服やバッグと同じように細部にまでこだわってオーダーしましょう。“ロールス・ロイスというファッション”を着こなして、仕事も旅も楽しんで!
【Rolls-Royce Cullinan SII】
ボディサイズ:全長×全幅×全高:5,355×2,000(ドアミラー含まず)×1,835mm
車両重量:2,725kg
車両本体価格:¥46,454,040~(税込み)
問い合わせ先
- TEXT :
- 櫻井 香さん ライフスタイルエディター
- PHOTO :
- ロールス・ロイス・モーター・カーズ