【目次】

【「海開き」とは? 意味・由来・いつなのか解説】

■「意味」

海水浴場がその年の営業を開始する日、あるいは営業期間を「海開き」と言います。また、海開き初日に行われるイベントを指すこともあります。

■「由来」

一般の人が一定期間だけ山に入ることを許された「山開き」の呼称や行事にならって、海水浴文化の広まりとともに海にも取り入れられ、「海開き」という言葉が定着したと考えられています。

■「いつ」?

海開きの時期は地域によって異なります。温暖な沖縄では3月~4月頃、本州では6月下旬~7月頃に行われることが一般的です。ただし、気候や海水温、自治体の方針によって毎年日程が変わるため、一律に決まっているわけではありません。


【なぜ「海開き」をする? 神事と安全祈願の意味】

■なぜ「海開き」をする?

海には門も塀もなく、海水浴場に指定されているビーチでも、季節で立ち入りを制限されるわけではありませんよね。それなのに「なぜ海開き?」と疑問に思う人がいるかもしれません。

「海開き」は自治体や観光協会、海水浴場の運営者などが期間を定めて実施するものです。事前に水質検査を行い、漂着物やごみを撤去し、人体への悪影響がないことを確認。そして、「海開き」を境に監視員やライフセーバーの配置、遊泳区域の設定、各種設備の運用が始まります。つまり海水浴や砂遊びなどを楽しむ人たちが、自治体等の管理によって、安全にマリンレジャーを楽しめる期間が「海開き」だというわけです。海岸に設けられる海の家の営業も、基本的には海開き期間中に限られます。

■神事と安全祈願

海開きの日には、神職を招いて神事や安全祈願祭を行う海水浴場も少なくありません。シーズン中、海難事故が起きないよう願うとともに、海水浴客や関係者の無事、海の恵みへの感謝を捧げる意味も込められています。


【「海開き」はいつから始まった? 日本の歴史を解説】

■「海開き」の始まりは…

現在では全国各地で行われている海開きですが、「海開き」という行事がいつ、どこで始まったかを示す明確な史料は確認できていません。

■日本初の海水浴場は大磯

日本の海水浴文化は、1885(明治18)年に神奈川県の大磯海水浴場から始まったとされています。開設者は、初代陸軍軍医総監の松本順。西洋医学の影響を受けた松本は、海水に浸かることで健康増進を図る「海水浴」を日本に広めようと考え、温暖な気候と遠浅の海を備えた大磯に海水浴場を開きました。当時の海水浴は現在のようなレジャーではなく、病気の治療や保養を目的としたものでした。また、東海道線の開通によってアクセスが向上したこともあり、大磯は「海水浴場発祥の地」として知られるようになります。

■今では夏の風物詩として定着

現在では、海開きは海水浴場の営業開始を知らせる行事として全国各地で行われています。海の家の営業やライフセーバーの配置なども始まり、多くの人にとって「夏の始まり」を感じさせる風物詩となっています。


【「海開き」と「山開き」の違いとは?】

■「山開き」は信仰行事

日本は古くから山岳信仰が盛んでした。富士山を筆頭に信仰の対象となっている霊山は、修行する山伏や僧以外は立ち入ることのできない聖なる場所とされていました。しかし江戸中期以降、各地で一般人による山岳信仰の講(集団)が結成されて講中登山が行われるようになります。そこで登山できる日にち(期間)を決めて一般の人々に山を開放したのが「山開き」です。

■「海開き」は「山開き」にならって生まれた

海開きは、もともと山開きの風習にならって生まれたといわれています。山開きが信仰行事として長い歴史を持つのに対し、海開きは近代になって海水浴文化の普及とともに定着した比較的新しい行事です。

■共通するのは「安全祈願」

山開きでは登山者の安全を願う神事や祭礼が行われます。海開きでも、海難事故の防止を願う安全祈願祭が行われることがあり、自然への感謝と無事を祈る点は共通しています。


【「海開き」の日は泳げる? 注意点とルールも確認】

■海開きの日から泳げるのが一般的

海開きは海水浴場の営業開始日を意味しますから、多くの海水浴場では海開き当日から遊泳が可能になります。監視員やライフセーバーが配置され、遊泳区域も設定されるため、安心して海水浴を楽しめる期間の始まりです。ただし、天候や海の状況によっては、海開き当日でも遊泳禁止や一部区域の立ち入り制限が行われることもあります。

■海開き前の海水浴は自己責任

実際には、たとえ海開き前であっても、海に入ること自体は禁止されていない場所がほとんどです。しかし、監視員や救護所、海の家などはまだ設置されておらず、水難事故が起きた際の救助の遅れが懸念されます。また、事故だけでなく、クラゲに刺された場合や熱中症等に対しても、応急手当を受けることができません。海水浴を楽しむなら、ライフセーバーや監視員が常駐し、遊泳区域が明示された「管理された海水浴場」を利用するのが安心です。

■遊泳ルールを守るのが原則

遊泳区域外で泳ぐと、水上オートバイやプレジャーボート等と衝突し、重大な事故につながる場合もあります。遊泳区域を守ることはもちろん、飲酒後は海に入らないことも重要です。アルコールは判断力や運動能力を低下させ、溺水事故の危険を高めます。また、体調が悪いときや睡眠不足のときは無理をしない、波が高い日や遊泳禁止のときは海に入らないなど、基本的なルールを守ることが大切です。熱中症対策として、帽子の着用やこまめな水分補給も心掛けましょう。


【2026年 全国の海開き予定一覧|沖縄・関東・関西を比較】

地元自治体などがさまざまなことを考慮して独自に決める「海開き」。日本列島は南北に長く、潮の影響も受けやすいので、地域によって「海開き」の日にちはまちまちです。2026年の「海開き」を、南からいくつか紹介します。

■沖縄県

・万座ビーチ(恩納村):3月22日(日)〜

・かりゆしビーチ(名護市)3月5日(木)~

・琉球ホテル名城ビーチ(糸満市): 3月13日(金)〜

・マサエトビーチ(石垣島):3月14日(土)~

日本でいちばん早く海開きが行われるのが沖縄。地域によって若干異なりますが、だいたい3月下旬から4月上旬にかけて海開きが行われ、10月頃まで海水浴OK。海開きしている期間は約6か月と、1年のうち半分くらい海水浴を楽しめることになりますね。

■九州エリア

・青島海水浴場(宮崎) :7月4日(土)〜

・シーサイドももち(福岡):  7月1日(水)〜 

・白浜海水浴場(長崎) 7月11日(土)〜

■中国・四国エリア

・鳥取砂丘海水浴場(鳥取) :7月11日(土)〜

・大照海水浴場(高知) :7月1日(水)〜

■近畿エリア

・白良浜海水浴場:5月3日(日)~

・須磨海水浴場(兵庫): 7月9日(木)〜

・竹野浜海水浴場(兵庫):  7月1日(水)〜

・天橋立府中海水浴場(宮津市)7月11日(土)~

■東海・北陸エリア

・白浜大浜(静岡・伊豆) :7月11日(土)    

・ヒリゾ浜(静岡・南伊豆):  7月1日(水) 

・内海海水浴場(愛知) :7月1日(水)   

・水晶浜(福井) :7月1日(水)    

■関東エリア

・片瀬江ノ島(神奈川): 7月1日(水)〜   

・逗子海岸(神奈川) :7月3日(金)〜

・由比が浜海水浴場(神奈川):7月1日(水)~

・一松海水浴場(千葉・九十九里): 7月10日(金)〜 

・沖ノ島海水浴場(千葉・館山): 7月18日(土)〜

・大洗サンビーチ(茨城) :7月18日(土)〜

■東北・北海道エリア

・浄土ヶ浜(岩手): 7月18日(土)〜   

 ・桂島海水浴場(宮城): 7月18日(土)〜

・象潟海水浴場(秋田): 7月11日(土)〜

・小樽ドリームビーチ(北海道): 7月4日(土)〜

・蘭島海水浴場(北海道): 7月11日(土)〜

※2026年6月30日現在。海開きの日程は天候や海岸整備の状況などにより変更される場合があります。最新情報は各自治体・海水浴場の公式サイトをご確認ください。

■旅行前は最新情報の確認を

海開きの日程は毎年同じとは限りません。天候や海岸整備の状況などによって変更される場合もあります。また、海開きの時期に合わせて宿泊需要も高まります。旅行を計画する際は、自治体や観光協会、海水浴場の公式サイトで最新情報を確認しておきましょう。


【海水浴文化はなぜ広まった? 明治時代との関係】

現在では夏のレジャーの定番となっている海水浴ですが、かつて、海は人々にとって漁業などの生活の場であり、みそぎや潮垢離(しおごり)を行う神聖な場所でもありました。夏になると海で遊ぶという習慣は、一般的ではなかったのです。では海水浴は、いつから始まったのでしょうか。

■外国人や西洋医学が海水浴文化を後押し

海水浴の習慣を日本に広めたのは、幕末に西洋医学を学んだ長与専斎や松本順ら医師たちだったとされています。 当時の海水浴は、現在のように遊泳を楽しむものではなく、支柱につかまりながら海水に身体を浸し、病気の治療や健康増進を目的とした医療行為でした。

一方、1858(安政5)年の日米修好通商条約の締結以降、来日した欧米人は、蒸し暑い日本の夏を避けて海辺で過ごし、海水浴を楽しむ習慣を持ち込みました。横浜や築地の外国人居留地を中心に広まったこの文化は、やがて日本の政財界人や華族にも受け入れられ、大磯や葉山などの海辺は避暑地・別荘地として発展していきます。

■鉄道の発達が海を身近にした

1887(明治20)年に大磯まで東海道線が開通すると、大磯などの海辺の町へのアクセスが向上。海水浴場を訪れる人が増え、海水浴は徐々に庶民にも広まっていきます。その後、各地に海水浴場が整備されると、保養や避暑を兼ねた夏の楽しみとして定着していきました。

■昭和には夏のレジャーの定番に

戦後の高度経済成長期になると、鉄道や自家用車の普及によって家族旅行が一般化。1964(昭和39)年の東京オリンピック前後に起こったレジャーブームも追い風となり、海水浴は「夏の風物詩」として全国に広まりました。

■近年は「海を楽しむスタイル」も多様化

近年では少子化やライフスタイルの変化などを背景に、海水浴客数は減少傾向にあるようです。一方で、シュノーケリングやSUP(スタンドアップパドルボード)、ビーチリゾートなど、海の楽しみ方は多様化しています。

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現在では夏の風物詩として定着している「海開き」ですが、その背景には、西洋医学の伝来や鉄道網の発達、暮らしや余暇の変化など、さまざまな歴史の変遷がありました。かつて生活の場であり、神聖な場所でもあった海は、時代とともに人々の憩いの場へと姿を変えてきたのですね。今年の夏も、優雅に、そして安全に、海辺の時間を楽しんでくださいね。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /日本財団海と日本PROJECT「海のコラム」(https://uminohi.jp/special/2022_ocean_opening/) /海上保安庁(https://www.kaiho.mlit.go.jp) /日本ライフセービング協会(https://jla-lifesaving.or.jp) /大磯町観光サイトISOTABI「大磯海水浴場」(https://www.town.oiso.kanagawa.jp/isotabi/meguru/pagedate/14407.html) /アジア歴史資料センター「海水浴の誕生 ~余暇は湘南の海で~」(https://www.jacar.go.jp/exhibition/seikatsu-bunka/p02.html) /神奈川県「開設140周年! 大磯海水浴場」(https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ph7/cnt/f7631/2025shokuin-memo-oisobeach.html) /笹川平和財団 海洋政策研究所「海水浴の始まり」(https://www.spf.org/opri/newsletter/578_3.html) /小学館HugKum「パパママの教養」(https://hugkum.sho.jp/papamama) /富士山本宮浅間大社(http://www.fuji-hongu.or.jp/sengen/index.html) /Hotelbank「全国海開きカレンダー2026 ─ ビーチエリアのADR・売切率は『海開き日』で何が変わるのか」(https://hotelbank.jp/seasonal-events/umibiraki-2026-beach-calendar-adr-effect/)/ワンビーチマガジン「2026年全国の海開き日程予測!例年の傾向から夏休み計画を徹底ガイド」(https://onebeach.jp/629293/) :