「七福神の日」をご存じですか? これは、群馬県前橋市に本社を、東京都中央区銀座に本店を構える老舗のせんべい店「幸煎餅」が制定した記念日です。なんだか福々しい響きの記念日ですね。今回は「七福神の日」の由来や目的のほか、「七福神」にまつわる雑学をご紹介します。

【目次】

七福神の日は、老舗せんべい屋により、制定されました。
七福神の日は、老舗せんべい屋により、制定されました。

【「七福神の日」とは?「由来」や「目的」】

■「七福神の日」は「誰」が決めたの?

7月29日は「七福神の日」です。上述の通り、あられやせんべいなどを製造・販売する、株式会社幸煎餅(さいわいせんべい)によって制定され、一般社団法人 日本記念日協会により認定、登録された記念日です。

■どうして7月29日?「由来」は?

日付の由来は、「しち(7)ふ(2)く(9)」と読む語呂合わせから。1896(明治29)年創業の老舗せんべい店「幸煎餅」の看板商品である「七福神あられ」「七福神せんべい」「銀座七福神」を、もっと多くの人に味わってもらうことを目的に制定されました。1977年発売以来ロングセラーの「七福神あられ」は、弁財天や福禄寿などのキャラクターに合わせた7つの味が楽しめますよ。
香ばしい「えび味」…恵比寿天
風味豊かな「青のり味」…大黒天
香り高い「しそ味」…福禄寿
コクのある「バター味」…弁財天
ピリリと辛い「唐がらし味」…寿老人
まろやかな「チーズ味」…布袋尊
スパイシーな「カレー味」…毘沙門天


【ビジネス雑談に役立つ「七福神の日」「七福神」にまつわる雑学10選】

■ざっくり「七福神」って何?

「七福神」とは、福徳の神さまとして信仰される7人の神さまのこと。大黒天(だいこくてん)・恵比須(えびす)・毘沙門天(びしゃもんてん)・弁財天(べんざいてん)・福禄寿(ふくろくじゅ)・寿老人(じゅろうじん)・布袋(ほてい)の七神です。

■いつから日本で信仰されているの?

七福神信仰は、一説では平安時代ごろにはその原型ができ上っていたといわれています。少なくとも、室町初期の1420(応永27)年に七福神の風流行列が京都で行われたり、1469~87年の文明 (ぶんめい) 年間には七福神を装った盗賊が出没し、これを福神の来訪としてむしろ歓待したという記録などが残っています。江戸初期、徳川家康の相談役・天海僧正が、江戸市中の治世政策のひとつとして、七福神詣(もうで)や初夢の宝船などの七福神信仰を広め、商人を中心に庶民に急速に広がっていきました。七福神はおめでたいことの象徴として、絵画・彫刻の好題材となり、浮世絵にも宝船に乗った七福神が描かれています。確かに7人の神さまが並ぶお姿はフォトジェニックですよね! 当初、入れ替わりが頻繁だった七福神の顔ぶれも、江戸時代後期、1801~04年の享和年間ごろには定着したそうです。

■七福神は何のご利益の神さま?

「七福神」は福徳の神さまです。福徳とは、幸福と利徳を指し、財産や幸せに恵まれること。つまり「七福神」はそれぞれ、いまこの世で受けられる神仏の恵み、具体的には「金運」や「勝負運」「芸能運」「子孫繁栄」など、「現世利益」の神さまなのです。商人を中心に庶民に広く受け入れられたのも納得ですね。

■七福神で唯一の「日本の神さま」は?

七福神の中で唯一の日本の神さまは「恵比寿」。平安貴族のような服(狩衣)を着て、頭には烏帽子(えぼし)が。古くは漁民の守護神でしたが、のちに商いの神に。右手に釣竿、左手に鯛を抱えている神さまが祀られていたら、それは恵比寿さまです。ビールのラベルでもおなじみですね! 関西では「えべっさん」として親しまれています。釣竿は「釣して網せず」を意味し、根こそぎ利益をむさぼるような商売を戒める意味があるといわています。大漁豊作、商売繁盛の神さまです。

■打ち出の小槌を持っているのは誰?

「大黒天」です。福の神として信仰され、恵比寿さまと一緒に商売繁盛の神として祀られていることも。大きな袋を背負い、片手に打ち出の小槌を持って、米俵に乗っています。もともとはマハーカーラと呼ばれるヒンドゥー教の神さまとされ、破壊と創造を司るシヴァ神の化身でした。日本に伝来したおち、現在のような優しい姿になったといわれています。五穀豊穣・家産増進・子孫繁栄の御利益があります。

■七福神の中で「太っている」のは誰?

「布袋尊」です。着崩れて大きくはだけた着物から福々しい太鼓腹が覗いた姿は少々ユーモラス。柔和な笑顔で大きな「布の袋」を肩からさげていますが、これは「堪忍袋」だともいわれています。「布袋」は中国唐代末期に実在した禅僧・契此(かいし)の別名で、弥勒菩薩(みろくぼさつ)の化身であるといわれます。いつも笑顔を絶やさず人々に接し、優れた予知能力があったとされています。ご利益は無病息災・良縁・子宝・夫婦円満・金運など。

■七福神の中で「女性」は誰?

「弁財天」です。「弁天さま」とも呼ばれていますね。天女のような羽衣をまとい、ヴィーナと呼ばれる琵琶を奏でる姿をしています。元はインドの河神(川の神さま)でしたが、やがて音楽の神、言語の神となり日本に伝わったとか。芸能、音楽、学問全般の成就成功と、金運財運のご利益があります。

■七福神の中で「頭が長い」のは誰?

「福禄寿」です。身長の約半分を占める長〜い頭と美しい白髭が特徴の老人の姿で、長寿の象徴である鶴や亀を従えています。中国の道教の神さまで、別名は「泰山府君」。ご利益は、子孫繁栄、富貴繁栄、健康長寿です。「福禄寿」というお名前は、幸福、財産、健康を表すといわれています。

■甲冑(かっちゅう)をまとっているのは誰?

「毘沙門天」です。宝塔(仏教の塔)を携え、甲冑をまとった勇ましい武将の姿です。戦の神さまとして信仰され、上杉謙信などの戦国武将も信心していたとか。財宝の象徴である北方の守護神で、ルーツはヒンドゥー教の神で、仏教と共にに伝来しました。商売繁盛・金運財運の御利益があります。 

■七福神の中で「同一人物」は?

「寿老人」と「福禄寿」です。寿老人は、道教の始祖・老子であるといわれ、経典を下げた杖と桃を持ち、鹿を連れています。鹿と桃はどちらも長寿の象徴なんですよ。にこやかな微笑みをたたえた、優しいお顔です。長寿延命・諸病平癒・富貴繁栄・子孫繁栄のご利益が。実は寿老人は、福禄寿同様、冬の星座である南極老人星(カノープス)の化身ともいわれています。そのため、寿老人を除き、吉祥天を加えて「七福神」とする説もあります。


【「七福神巡り」を知ってる?】

■「七福神巡り」とは

「七福神」のそれぞれが祭られて寺社をすべて巡ってお参りすると、「七つの福」を授かれるといわれています。これが「七福神巡り」です。

■七福神巡りはいつするのが正解?

「七福神巡り」は、正月の松の内に行うと、大きな福がもたらされるといわれていますよ。「松の内」とは、正月事始めから神さまがお帰りになるまでの期間。具体的には正月飾りを片付ける日までのことで、地域によって異なりますが、関東や東北、九州地方などは1月7日まで、関西地方は1月15日(小正月)までとするのが一般的です。

■「七福神巡り」人気のコースは?

「七福神巡り」のコースは東京の「日本橋七福神めぐり」や宮城県仙台市の「奥州仙臺七福神」、岐阜県の「ぎふ七福神めぐり」など全国各地にあります。例えば神奈川県の「「鎌倉・江の島 七福神」では、歴史を感じさせる鎌倉を楽しみながら七福神巡りができます。実はこちら、弁財天が2か所に祭られているため、8社巡りです。専用の御朱印帳に8社の朱印を頂くことができますよ。

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「七福神巡り」は、ウォーキングコースとして、また歴史散策としても人気です。「七福神あられ」で知られる幸煎餅銀座本店の場所は、歌舞伎座の正面。そして銀座にも、所要時間3時間の「銀座七福神」コースが! 次のお正月には「七福神巡り」で新年早々の七色の福を祈願してみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /一般社団法人日本記念日協会HP https://www.kinenbi.gr.jp /七福神巡りウォーキングHP https://7.longseller.org/c/56.html :