SNSでの“映え”もあってか、まさにかき氷が熱い! ですよね。専門店も続々登場し、冷たくて映えるかき氷を求め、炎天下でも長蛇の列が絶えない店舗も数知れず…。ということで、今回は、7月25日の「かき氷の日」にちなんで、「かき氷」の由来や歴史について、ビジネス雑談に役立つネタをご紹介します。
【目次】
【なぜ7月25日が「かき氷の日」?】
■由来
7月25日は「かき氷」の日です。日にちは語呂合わせ…なのですが、ピンときませんよね。実は、かき氷は別名「夏氷(なつごおり)」とも言われます。そして、この「夏氷」を「な=7」「つ=2」「ご=5」「おり」と読んで7月25日が「かき氷の日」となったのです。また、1933(昭和8)年の7月25日に、山形県山形市で2007年に塗り替えられるまで74年間も日本の最高気温だった40.8度を記録したことにも由来します。
■誰が決めた?
かき氷ブームとはいえ、7月25日が「かき氷の日」だと知っている人は少ないかもしれませんね。一体誰が決めた記念日なのでしょう。「かき氷の日」は、一般社団法人日本かき氷協会が「7月25日はかき氷の日」と推奨していることから日本全国に広まったもの。日本かき氷協会は、日本の伝統食であるかき氷のすばらしさを守り、氷業界や飲食店などかき氷に関わる業種と繋がりながら、全国、そして海外へと伝え広げ、業界の発展を目指しているのだそう。「え? かき氷って日本の伝統食なの?」と思った人、その疑問は正解です! 次にかき氷の歴史をご紹介しましょう。
【平安貴族も好んだ「かき氷」の歴史】
■千年以上前から!
かき氷はいつから食べられていたのでしょう? 史実として記録があるのは、なんと平安時代です。
大河ドラマ『光る君へ』(NHK)は、世界初の長編恋愛小説である『源氏物語』の作者である紫式部を主人公にした物語。その紫式部(ドラマで演じるのは吉高百合子さん)のよき友でありライバルとして描かれている清少納言(ドラマで演じるのはファーストサマーウイカさん)が綴った随筆集『枕草子』にかき氷が出てくるのです。
上品なもの、良いものをまとめた「あてなるもの」という段に、「削り氷(けつりひ)にあまづら入れて、新しき金鋺(かなまり)に入れたる」と記述されています。これは、小刀で削った氷を金属製の器に入れて、甘葛(あまづら=アマズラという植物から取った汁を煮詰めた、日本古来からの甘味料)をかけたもの。つまり、かき氷です。当時のかき氷は特権階級しか口にできない高級品でした。金属製の器に入れるなんて、よく冷えておいしそうですね。
■氷は貴重品
平安時代より前、およそ1300年前には奈良県天理市に氷を貯蔵する蔵である「氷室」があったという記録があります。この氷室で保管された氷は、夏になると平城宮に献上されたとか。エアコンのない時代の氷は、今よりはるかに貴重な存在だったのです。ちなみに、奈良国立博物館や興福寺、東大寺、春日神社などのある奈良市街の春日野には氷室の守り神を祀った氷室神社があり、夏季にはかき氷をお供えして参拝することができます。
■かき氷の普及
明治時代に入ると電気や製氷技術が発達し、一般の人々にもかき氷が親しまれるようになりました。1869(明治2)年には横浜の馬車道に日本初のかき氷店(当時は氷水店と言っていた)がオープン。昭和初期ごろにはかき氷機が全国に普及し、祭礼の出店や縁日などで、綿菓子や焼きそば、たこ焼きなどとともに提供されるようになります。こうしてかき氷は夏の風物詩となったのです。
【かき氷のブームはいつから?特徴は?】
■まずは「天然氷」がブームに
かき氷の最初のブームは1990年代といわれています。つまり、今から30年ほど前のこと。当時7軒しかなかった「天然氷」の蔵元のうちの数軒が、その希少性をアピールしたかき氷を提供したところ、連日、日光や八ヶ岳の店舗に「天然氷のかき氷」を求める大行列ができました。 天然氷とは、天然の水を凍らせた氷のこと…ではありません。山間などの自然環境のもとつくった池に、湧水などの良質な水を引き込んで、時間と手間をかけて自然の寒さでゆっくり凍らせた氷のこと。製氷機などで短時間につくられた氷は-15℃くらいで溶け始めますが、天然氷は-5℃くらいまでは溶けないのだとか。
■トレンドはずっと「ふわふわ」
不純物をていねいに取り除きながら時間をかけて凍らせる天然氷はとても硬いので、薄くふわふわとした食感に削れます。天然氷によるかき氷ブームは、このふわふわ食感がポイント。日光や八ヶ岳まで行かずとも、仕入れた天然氷によるかき氷メニューで人気になる街中のカフェなども出現。いずれもキーワードは「ふわふわ」だったのです。
■東日本大震災もかき氷ブームのきっかけに
2011年3月11日に起きた東日本大震災とその後の原発事故により、2011年の夏は全国的な電力不足になりました。当時、日常生活でさまざまな節電の工夫がされましたが、楽しく涼をとることができるかき氷も注目に。
■台湾、韓国のかき氷も!
さらに、マンゴーの果肉やタピオカなどをトッピングした台湾の「雪花氷(シェーホワピン)」や、ひとつを数人で食べる韓国のボリューミーな「ピンス(かき氷)」も上陸し、かき氷のバリエーションはさらに増えました。
【酷暑に涼しい話題!「かき氷」の雑学】
■かき氷の発祥は…日本!
削った氷にシロップなどをかけて食べるスイーツは、日本、台湾、韓国のほかに、フィリピンの「ハロハロ」や中国の「刨冰(バオビン)」などがあります。また、ハワイの「シェイブアイス」も知られていますね。前述したように、平安時代には貴族など上流階級の間で、小刀で削った氷に甘い蜜などをかけて食していたので、かき氷の起源は日本だといっていいでしょう。
■2024年のトレンドは「高級かき氷」
現在、商品としてのかき氷は、ますます高級化が進んでいます。湧水などの天然水をゆっくり時間をかけて凍らせる天然氷の蔵元は現在では全国で5軒しかなく、天然氷は氷界のサラブレッド。その天然氷を使用したかき氷は当然高価になります。天然氷でなくても3000円を超えるものも珍しくなく、アマン京都「ザ・リビング パビリオン by アマン」には、国産マスクメロンを1個まるごと使用した超贅沢なかき氷(¥9,500/1日数量限定。2024年9月30日まで)なんていうものも!
■懐かしのカップ氷
コンビニやスーパーの冷菓コーナーにあるカップ入りのかき氷。みぞれにあずき、いちごフロートにコーヒーフロート、抹茶など、懐かしい顔ぶれはいまだ健在です。九州名物しろくまも、練乳がけのかき氷にフルーツや小豆などをトッピングしたもの。ふたを開けるとまずレモンスライスが登場する、サクレレモンも登場時は衝撃的でした。
■次なるブームは液状かき氷? 「アイススラリー」とは
製氷皿などで凍らせたスポーツドリンクと、冷やしたスポーツドリンクをミキサーにかけ、フラペチーノのように氷の粒感が残った状態で飲む「アイススラリー」はご存じ? 氷状のほうが冷たいことと、冷たいまま胃まで届きやすいので、通常の冷たいドリンクより体を冷やす効果があるのだそう。口の中で溶かさずに飲み込むのがコツです。スポーツドリンクだけでなく、いろいろなもので試してみるのもよさそうですね。
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もはや夏の風物詩から、通年スイーツに昇格したかき氷。7月25日の「かき氷の日」だけでなく、おいしく涼しくいただいて、暑い時期を乗り切りましょう!
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『12か月のきまりごと歳時記(現代用語の基礎知識2008年版付録)』(自由国民社)/『日本人名大辞典』(講談社)/一般社団法人日本かき氷協会 http://kakigoori.or.jp/ :