努力は、必ずしも報われるとは限らないもの。いくら「自分のレベルを上げたい」「ひとつ上のステージに行きたい」と思っても、なかなか結果につながらないこともありますよね。そんなときに参考にしたいのが、成功者の実感がこもったメソッドです。

お話を伺ったのは、シェル石油や日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどの名だたる企業の経営に携わってきた新 将命(あたらし まさみ)さん。自身の体験から導き出された、成功者が実践している4つの仕事習慣について教えていただきました。

これらの習慣を取り入れると、理想と現実のギャップが埋まるようになります。キャリアアップを目指す方は是非、参考にしてみてください。

■1:誕生日や元旦を「目標達成度チェックデー」に設定する

毎年自分の誕生日か元旦に目標達成度を確認しよう
毎年自分の誕生日か元旦に目標達成度を確認しよう

成功へのファーストステップとなるのが、目標を立てるという行為です。しかし、それで満足していてはダメ。目標を立てたあとは、こまめに達成度をチェックし、小さなズレを軌道修正していく必要があります。

とはいえ、いまの自分が目標にどれだけ近づいているのかをチェックするのは、なかなか骨が折れる作業です。それが個人的な目標であればあるほど、目先の仕事にばかりとらわれてしまい、結果的にチェックすることすら忘れてしまいがち。

そこで新さんが提案するのは、誕生日や元旦など、毎年必ず巡ってくる記念日を「目的達成度チェックデー」にする、というもの。そうすることで忘れることなく、定期的に自分の現状について認識することができます。

「目標は『ストレッチ納得目標』であることが大切。これは必ずしも容易ではないけれど、少しストレッチ(無理)をすれば達成可能であり、人からの押し付けではなく、自ら『やっつけるぞ』と納得をしている目標のことを指します」

目標設定だけで満足せず、ぜひ毎年誕生日に、あなたの目標達成度を確認してみましょう。

■2:明日やるべきことを「6つ」書き出す

やるべきこととやるべきでないことを分類しよう
やるべきこととやるべきでないことを分類しよう

仕事を円滑に進めるためのカギは、時間配分にあります。時間に追われるような働き方では、うっかりミスを誘発したり、大事なことを見落としてしまったりと、失敗ばかりが続いてしまうもの。そこで重要なのが、「やるべきこと」「やるべきでないこと」「時間をかけてはいけないこと」の見極め

そのためにまずすべきなのが、「明日やるべきことを6つ書き出す」ということです。それを視覚化したら、次に優先順位をつけ、その通りにこなしていくだけ。

たったこれだけのことで、タイムマネジメントのスキルは上がり、効率的に働けるようになります。仕事の段取りがつけられるようになると、忙しさは大幅に軽減され、もちろん周囲からの評価も上がるでしょう。時間は限られているもの。それをいかに有効活用できるかどうかが、成功と失敗の境目なのです。

「とくに大切なのは、やるべきでないことに加えて、やらないでもいいことをはっきりと決め、大胆に除去することです。これだけで時間は短縮できます。その結果、やるべきことに時間を使うことが可能になるのです」

やるべきことを絞ることから始めて、やるべきでないことはやらないように行動していきましょう。

■3:手帳にスケジュールだけでなく「行動管理計画」も書き込む

出発時間や資料作成日時も予定に入れるようにしよう
出発時間や資料作成日時も予定に入れるようにしよう

仕事で手帳を活用している人は少なくないはず。けれど、正しく使うことができている人はどのくらいいるでしょうか? たとえば、取引先とのアポが取れた場合、たいていの人は「A社に午後1時」などと書き込みます。実は、この曖昧な予定管理がアウトなのです。

予定通りの時間にA社に到着するためには、何時に会社を出れば間に合うのか。持参する資料はいつまでに準備をしておけばいいのか。それには上司のチェックが必要なのかどうか。

予定管理には、こういった付帯的な行動計画を盛り込むことが必須。そうすることで、「会社を出る時間を間違えた」「資料が準備できていない」といった凡ミスを未然に防ぐことができるのです。

「行動計画をつくるにあたっては、順調にこなした場合にかかる時間に10~20%ほど上乗せしておくことが望ましいと思います。電車の遅れや交通渋滞など、不測の事態が発生したときのゆとりやクッションを、事前に取り入れておくことが必要なのです」

カレンダーや手帳には必ず、出発時間とそのときに必要なものの作成予定日を入れておきましょう。

■4:会議やミーティングの時刻や場所だけでなく「得るべき結果」も書き込む

さらなる手帳活用術として挙げられるのが、会議や打ち合わせの場で、得るべき結果を書き込むということ。相手に何を確認すべきなのか、何を提案すべきなのか、どういった結果を導き出したいのか。事前にそれらを明確にしておくことで、会議の内容を有益なものにすることができるでしょう。

また、新さんは三色ボールペンなどを使い、手帳に書き込む内容の色分けも提案しています。重要案件とそうではない案件とを色分けすることにより、一目で仕事の優先順位が分かるようにしておくのです。これもまた、タイムマネジメントに通ずること。手帳ひとつとっても、成功者は緻密な計算のもとに使っているのです。

「定例会議を行う場合は、冒頭に前回の会議で出た結論を確認し、アクション(行動)を必要とする新たな案件がある場合は、実際にどのようなアクションが取られ、進捗状況はどうなっているのかをチェックするべきです。いわゆるPDCAサイクルのC(評価、学習、反省、改善)をきちんと行うことにより、会議で出た結論は生きた成果をもたらします」

その会議では何を得てから退出するのか、カレンダーや手帳はもちろん、議事録にも必ず入れるようにしましょう。

成功者が実践している習慣と聞くと、ちょっと身構えてしまう人もいるでしょう。しかし、今回紹介したメソッドのように、それらは非常に簡単でシンプルなものばかり。大事なのは、永続的に実践できるかどうか。まさにそこが、成功者とそうでない人との境目なのです。

新 将命さん
株式会社国際ビジネスブレイン代表取締役社長
(あたらし まさみ)シェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップスなどの企業6社で社長職を3社、副社長職を1社経験。その経験を活かし、現在は国内外で「リーダー人財育成」に取り組んでいる。主な著書に『王道経営――勝ち残る企業だけがやっていること』『経営の教科書――社長が押さえておくべき30の基礎科目』(いずれもダイヤモンド社)など。
『伝説の外資トップが説く 成功の教科書』新 将命・著 三笠書房刊
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
五十嵐 大
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