京都に暮らし始め、老舗蕎麦店「本家尾張屋」を継いだ稲岡亜里子さん。第3回では、現在の仕事やお気に入りの物、場所についてうかがいました。
伝統を支えている、という気持ちをみんなと共有したい
稲岡さんの毎日の仕事は、京都市内に3店舗ある本家尾張屋を回ったり、次にやる仕事の企画を考えたり、外部や内部との打ち合わせを行ったりなど、多岐にわたります。
「私が家業を継いでから、会議をよくするようになりましたね。みんなにも意見を出してもらい、みんなで伝統を守っているという意識を高めれば、モチベーションも上がります」。
本店を訪れたときは、2階のお座敷にあるお地蔵さんに手を合わせるのを習慣にしているそう。
「普通、お地蔵さんって屋外にいらっしゃるのに、店内にいらっしゃるのが珍しいでしょう? 白檀でできているので、屋外に弱いんですって。地域の守り神なので、近所のみなさまのご依頼もあり、うちで預からせていただいています」。
パワーをもらえる物と場所
やはり実家「本家尾張屋」のお蕎麦が大好き!という稲岡さん。16代目当主オススメのメニューは「たぬき」(864円・税込)とのこと。「小さいころから食べていたからでしょうか、これを食べると本当に元気が出ます」。
また、「宝来そば(2,160円・税込)」も一度は食べていただきたい尾張屋名物だそう。「五段の漆器に盛りつけたお蕎麦をいろんな薬味で食べていただけるのでオススメです」。
さらに稲岡さんは、自身の写真集『SOL ARIKO』を撮影したアイスランドから持ち帰った石も大切にしているのだとか。
「アイスランドから持ち帰った石(写真右)は、大地のエネルギーを感じることができ、元気になれる気がします。2002年、アイスランドに初めて行った際は、帰りのスーツケースの半分くらいが石でした! その他のパワーストーン(写真左)は20代から買い集めたもので、見た目の美しさや繊細さの中に、凛とした強さもあって、気に入っています」。
そんな稲岡さんが愛する京都のお気に入りスポットは、鞍馬山。
「鞍馬山に行くと空気が違うんです。高校時代から好きで、結婚式も鞍馬寺で挙げました。時間があるときは半日ぐらい、鞍馬山で過ごしています。京都の街中から車で30分と、意外に近いでしょう? 京都はちょっと移動するだけで自然を感じられるのもいいですね」。
>>【第4回】16代目当主として、写真家として、老舗を守り革新する
本家尾張屋 /Ariko Inaoka
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- クレジット :
- 撮影/香西ジュン 文/天野準子