高級フルーツの代表格「メロン」は、高級だからおいしいというイメージはあるものの、その本当の味わいを実はよくわかっていない、という人も多いのではないでしょうか?
また、一口に高級と言っても、メロンは1玉3,000円程度のものから進物用で1万円以上するものまで、価格に幅があり、種類もさまざま。そのなかで「最高においしいメロン」とは、どのようなものなのでしょうか?
また、メロン本来のおいしさを堪能するのに、何かコツはあるのでしょうか? フルーツ専門店として名高い、新宿高野のフルーツコーディネーター・久保直子さんにお話をうかがいました。
ここでは、メロンを購入する際の見極め方・食べるタイミング・カットの仕方、の3つの観点から、合計7つの条件をご紹介します。
■「最高においしいメロン」を見極めるための2つの条件
メロンは価格に幅があり、種類もさまざま。自分で食べるにせよ、大切な人に贈るにせよ、どれを選べばいいのか判断に迷ってしまいますよね。そこで、まずは「最高においしいメロン」を見極める方法2つをご紹介します。
(1)最高級の「静岡県産」のマスクメロンを選ぶ
メロンは大きく分けると果皮に網目が生じる“ネット系”と、網目のない“ノーネット系”、そして果肉の色によって“青肉系”、“赤肉系”、“白肉系”に分かれます。なかでも最高級なのは、果皮に網目があり、果肉は黄緑色のマスクメロンです。特に、静岡県産はメロンの栽培に適した環境で丹精を込めて育てられており、麝香(じゃこう)のような芳香、みずみずしい果汁、とろけるような舌触りが楽しめるといいます。
(2)形のバランスがよく「網目の美しいもの」を選ぶ
人は見た目で判断してはいけない……といいますが、メロンはこの限りにあらず。最高においしいメロンは、見た目もよい傾向があるようです。左右対称で形が整い、全体的にハリがあり、手で持つとずっしり重みがあるメロンを選びましょう。また、網目は粗めよりも細かいほうがよく、果皮全体にくっきりと均等にひろがっているものがおすすめです。
メロンの見た目の美しさは、手間隙かけて栽培された証。たとえば、最高級の静岡産マスクメロンでは“一木一果”という特別な栽培方法がとられています。1本の木で3つのメロンが実るように交配を行いますが、選び残すのはひとつだけ。他は間引きしてひとつを厳選し、すべての養分が1玉に集中するように育てているのです。
どの1玉を選ぶのかという基準は、栽培名人の目利きによるもので筆舌に尽くしがたいのですが、少なくとも形のバランスのよくないもの、表面にキズやアザがあるものは落選するといいます。
こうして選び抜かれた1玉を水、肥料、温度、湿度等を厳重に管理しながら大切に大切に育て上げる……。だからこそ、メロンでは“見た目がよい=味がよい”という公式が成り立つのです。
■最高に「おいしいタイミング」でメロンを食べるための2つの条件
メロンを買ってきてすぐに食べようとしたら、硬くてあまりおいしくなかった……という経験はないでしょうか? 実は、メロンをおいしくいただくには“食べごろ”の見極めが命。
どんなに高級なメロンでも、食べるタイミングが早すぎたり遅すぎたりすると、台無しになってしまうこともあるようです。そこで、最高に「おいしいタイミング」でメロンを食べるための2つの条件をご紹介します。
(3)お尻の部分がやわらかくなり、香が強くなるまで待つ
店頭のメロンはまだ完全には熟しきっていないことが多く、食べごろになるまでしばらく待つ(追熟する)必要があります。軸の反対側のお尻の部分に弾力のあるやわらかさが出て、指ではじくと中身がつまったような低く濁った音がしたら食べごろです。また、食べごろにはメロンの香も強くなるので、「おいしそうな香がただよってもう待ちきれない!」となったら、ベストなタイミングかもしれません。
(4)食べごろになるまでは「常温で保存」する
未熟なメロンは、食べごろになるまで冷蔵庫に入れず、常温で保存しましょう。生ものだから冷蔵庫に入れたほうが安心……という人も多いかと思いますが、冷蔵庫のなかでは追熟ができず、ただ水分が蒸発するばかり。
メロンならではのみずみずしさを、損なってしまうおそれがあります。食べごろになったメロンは、食べる直前の2~3時間だけ冷蔵庫で冷やすのが最適。冷やしすぎると甘みを感じにくくなるので、冷蔵庫に長時間、放置しないようにしましょう。
■最高においしくメロンを「味わい尽くす」ための3つの条件
メロンに限らず、一般的にフルーツは、1個のなかでも場所によって甘さが均一ではありません。このため、カットの仕方によっては、1切れごとに甘みにばらつきが出てしまう恐れがあります。そこで、不公平感なくおいしくメロンを「味わい尽くす」ための3つの条件をご紹介します。
(5)まずは「縦半分」に切る
メロンの場合、お尻の部分の甘みがもっとも強く、次いで種のある中心部が甘いとのこと。そして、中心部から皮に近づくにつれて糖度は下がり、つるに近い部分がもっとも甘さ控えめになります。均等においしくいただくには、つるの部分を切り落としたあと、縦半分に切りましょう。
横半分に切ると、下半分が甘く、上半分は淡白という不均衡が生じてしまいます。縦半分に切ったあと、中心の種をスプーンで取り除いたうえで、5等分にくし切りにするのがおすすめです。
(6)スプーンは「上から下」に動かす
メロンの中心部の種を取り除く際は、スプーンを上から下へ(つるのほうからお尻に向けて)動かすようにしましょう。果物の繊維は上から下に向かっているので、下から上に動かすと繊維に逆らうことになって、種をきれいに取り除くことができません。
(7)種の部分は捨てずに「茶こし」で果汁をとる
種をスプーンで取り除いたら即ゴミ箱へ……というのはもったいない食べ方です。種の部分を茶漉しに入れて、果汁をとりましょう。種のまわりは糖度が高いので、種を取り除く際に出る果汁は、いわば極上の天然メロンジュース。アイスクリームや生クリーム、ヨーグルトなどにシロップのようにかけると相性抜群とのことです。
単に値段のイメージということではなく、手間暇かけてつくられたメロンは、格別の味わいがあるようです。最高においしい食べごろに適切な方法でカットして、その芳香と果汁、果肉をじっくり堪能しましょう!
果物専門店 新宿高野
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美