「処暑」は二十四節気のひとつで、毎年、8月22、23日頃にあたり、「暑さが落ち着く時期」という意味をもちます。気候変動の影響で、実際の体感気温とは隔たりもありますが、暑中見舞いや残暑見舞いは、この二十四節気を目安にお出しするのがマナー。今回は「処暑」について、その詳しい意味や風習について解説します。

【目次】

「暑さが峠を超える頃」のはずでした…。
「処暑」の時期は「暑さが峠を越える頃」のはずでしたが、ここ数年は激しい残暑ですよね…。

【「処暑」とは?「読み方」と「意味」、「由来」】

「読み方」

「処暑」は「しょしょ」と読みます。

「意味」

「処暑」は二十四節気のひとつ。「処」の文字には「止まる」という意味があり、「処暑」で「暑さが止まる」、つまり「暑さが峠を越える頃」という意味をもちます。

■二十四節気の「処暑」ってどんな日?

「処暑」は、8月22、23日頃にあたり、8月中旬の旧盆を過ぎると、暑さも和らいで朝晩は涼しくなり、秋の気配が感じられるようになる……はずでしたが、近年は残暑が厳しく、まだまだ「暑さが落ち着いた」ことは実感できない時期となってしまいましたね。日本は台風に襲われることも多く、暴風や大雨に見舞われることが少なくありません。


【2024年の「処暑」はいつ?】

■「二十四節気」をおさらい!

二十四節気とは、古代中国でつくられた季節の区分法です。1年を24等分して気候の推移を示すため、各節気の期間は約15日です。例えば「処暑」といった場合、「処暑」に入る日を指す場合と、「処暑」にあたる期間を指す場合があります。「春夏秋冬」4つの季節はそれぞれ6等分されているので、秋は「立秋」に始まり、「処暑」→「白露(はくろ)」→「秋分」→「寒露 (かんろ)→「霜降 (そうこう)」と続きます。「処暑」は「立秋」の約15日後で、「秋分」の約30日前ということになります。

■2024年の「処暑」はいつ?

「処暑」を含め、二十四節気の日付は固定されておらず、毎年、国立天文台暦計算室によって定められます。今後の「処暑」の日付は以下の通り。
・2024年の「処暑」 ...... 8月22日〜9月6日
・2025年の「処暑」 ...... 8月23日〜9月6日
・2026年の「処暑」 ...... 8月23日〜9月6日
・2027年の「処暑」 ...... 8月23日〜9月7日
・2028年の「処暑」 ...... 8月22日〜9月6日

「処暑」の次に来る「白露」は、「草木に朝露がつき始める頃」。秋の気配が次第に色濃くなり、昼夜の寒暖差が大きくなる季節であるとされていますよ。


【処暑の風習とは?「過ごし方」「食べ物」】

■「処暑」の風習

「処暑」には、日本各地でさまざまな行事が行われます。なかでも有名なのが、日本三奇祭のひとつに数えられる、「吉田の火祭り」(ほかのふたつは秋田県の「男鹿のナマハゲ(なまはげ柴灯まつり)と岩手県の「蘇民祭」)。山梨県富士吉田市上吉田地区で行われ、国の重要無形民俗文化財に指定されています。近畿地方でおこなわれるのは、お地蔵さんにまつわる「地蔵盆」と呼ばれる行事。京都発祥といわれ、関西地方で盛んな仏教由来の行事です。地蔵とは地蔵菩薩を指し、子どもを守護する仏さまです。町内のお地蔵さまをきれいにして提灯を飾ったり、縁日や盆踊りが開催されたりします。また、富山県の「越中八尾おわら風の盆」」なども「処暑」の時期に行われるお祭りです。立春から数えて210日目に行われ、農作物を荒らす暴風を鎮める祭礼でありながら、情緒豊かな踊りの芸能を堪能できる行事でもあります。

■「処暑」に旬を迎える食べ物

処暑に旬を迎える野菜や果物は、さつまいもや無花果(いちじく)、ぶどうなど。さつまいもには食物繊維が豊富に含まれ、便秘解消にも効果的。無花果は生で食べてもおいしいですが、ジャムやドライフルーツにしてもいいですね。傷みやすく日持ちがしないので、早めに食べきって。そして「処暑」を迎える頃に出回り始める魚と言えば、名前に「秋」の字をもち、文字通り秋の味覚の代表選手である「秋刀魚(さんま)」です。まだまだ暑さが残る時期とはいえ、秋の訪れを感じさせる食材をおいしく味わいながら、ゆっくりと夏の疲れを癒しましょう。


【「処暑の候」と「残暑の候」はいつ頃使う?】

二十四節気の「小暑」と「大暑」にあたる期間(7月7日〜8月6日頃)の、暑い盛りに出すのが、暑中見舞いです。「大暑」を過ぎ、「立秋」を迎えてから(2024年は8月7日)出すのは残暑見舞いです。丁重な手紙では「残暑の候」という時候の挨拶が添えられ、「白露(9月7日頃)」の前日までに届くようにするのがマナーです。「処暑の候」を使用する期間はそれよりも短く、「処暑」から「白露」の前日までとなります。


【「処暑」を「英語」で言うと?】

国立天文台の「暦用語解説」によれば、「処暑」は [Shosho]。[End of Heat; Times when we feel less heat]と説明されています。

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「処暑」の時期といえば、子どもの頃なら、夏休みも終わりに近づいて宿題の残りが気になり始める頃ですね。ここ数年、暑さが長引き、「いつまで夏なの?」といった感がありますが、「処暑」の頃は真夏の疲れが出やすいときです。バランスのよい食事と良質な睡眠を心掛け、体調を整えつつ、食欲の秋の訪れを待ちたいものです。

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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『心が通じる 手紙の美しい言葉づかい ひとこと文例集』(池田書店) 国立天文台「こよみ用語解説」https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/faq/24sekki.html.en /『12か月のきまりごと歳時記(現代用語の基礎知識2008年版付録)』(自由国民社) :
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