「残暑」とは「立秋を過ぎても残る暑さ」を意味します。2024年の立秋は8月7日ですから、感覚的には「暑さ真っ盛り」のようですが、正しい言葉遣いとしては「残暑」なのですね! まさに「大人の語彙力」が試されそうな言葉です。今回は「残暑」の意味やその期間、残暑見舞いに使える挨拶文などを解説します。

【目次】

実は残暑は「いつから」は決まってますが「いつまで」は決まっていません。
実は残暑は「いつから」は決まってますが「いつまで」は決まっていません。

【「残暑」とは?】

■「読み方」

「残暑」とは「ざんしょ」と読みます。

■「意味」

「残暑」とは「立秋を過ぎても、なお残る暑さ」を指します。「立秋」は二十四節気のひとつで「秋の始まる日」。毎年8月8日頃で、期間で言えば8月22、23日頃まで。二十四節気では「立春」「立夏」「立秋」「立冬」を指して「四立」と呼び、それぞれ「季節の始まり」を表しているのです。つまり「残暑」とは、「暦の上では秋(8月8日頃)を過ぎても、なお残る暑さ」のこと。ちなみに、「立秋」を含め、二十四節気の日付は固定されておらず、毎年、国立天文台暦計算室によって定められます。2024年の「立秋」は8月7日でした。

「立秋」(8月8日頃)を過ぎたら「残暑」というのは、体感的な季節とは少々異なりますね。多くの人にとって、この時期は「夏真っ盛り」という感覚ではないでしょうか。実は二十四節気は、古代中国の寒い気候に合わせてつくられたとされています。そのために季節感が少々ズレて感じるのですね。 


【「いつまで」が残暑?時期は決まっている?】

「残暑」という言葉は「立秋を過ぎてもなお残る暑さ」という意味ですから、「この日までが残暑」という終わりの期限は設けられていません。ただし、「残暑見舞い」に関しては、「立秋」から「白露(9月7日頃)」の前日までに届くようにするのがマナーです。


【2024年の残暑の傾向は?】

気象庁は8月15日に、8月17日から9月16日までの「1か月予報」を発表しています。これによれば、8月中は全国的に「気温がかなり高くなる」見込み。太平洋高気圧の勢力は平年よりも強く、全国的に残暑が長引く傾向にあるようです。平均気温は、北日本で平年よりも高い確率が70%、東・西日本と沖縄・奄美で高い確率が80%。特に、沖縄から西日本、東日本は8月21日頃から、北日本は23日頃からの5日間で、平均気温が平年よりもかなり高くなる可能性があるとして「高温に関する早期天候情報」も発表されました。「高温に関する早期天候情報」は、その時期としては10年に1度程度しか起きないような著しい高温となる可能性がいつもより高まっているときに、6日前までに注意を呼びかける情報のこと。継続的な熱中症対策をしていきましょう。


【「残暑」の使い方がわかる「例文」5選】

ビジネストークで役立つ「残暑」を使った例文をご紹介しましょう。

■1:「今年も残暑が厳しいようですね」

■2:「残暑の終わりが見えませんね。うんざりします」

■3:「残暑が体にこたえますね」

■4:「今年もまた、残暑の厳しさが更新されそうな勢いですね」

■5:「残暑もそろそろ終わりでしょうか」


【「残暑厳しい」ときの「挨拶文」は?​】

「残暑見舞い」は一般的に慣用句の「残暑お見舞い申し上げます」から始めますが、「拝啓」などの頭語は必要ありません。書き出しの例文をいくつかご紹介しましょう。

■1:「残暑お見舞い申し上げます。厳しい暑さが続いておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか」

■2:「残暑お伺い申し上げます。皆さまお健やかにお過ごしのことと存じます」

■3:「立秋とは名ばかりの猛暑が続きますが、いかがお過ごしでしょうか」

■4:「今年は残暑が厳しいようです。お変わりございませんか」

■5:「連日、炎熱地を焼くとはまさにこのことと思う程の暑さですね」

手紙の「結び」となる言葉もいくつかご紹介しましょう。

■6:「夏の疲れが出る時節と存じます。お体にご留意くださいませ」

■7:「この暑さももう少しの辛抱だとよいのですが。くれぐれもご自愛くださいませ」

■8:「厳しい暑さのあとには、秋の足音が聞こえてきそうです。お健やかに新たな季節をお迎えください」


【「英語」で言うと?】

「残暑」を英語で表現すると[lingering summer heat]や[late summer heat]となります。[late summer heat]は言葉通り「夏の終わりの暑さ」という意味ですが、[lingering summer heat]となると「だらだら続く夏の暑さ」となり、うんざりしているニュアンスが伝わります。

・The lingering heat (of summer) was terrible this year.(今年は残暑が厳しかった)

・I can’t stand this lingering summer heat!(この残暑、我慢できない!)

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毎年毎年、「酷暑」や「残暑」の程度や期間が更新されている気がします。しかも2024年の残暑はことのほか、厳しい予報が出ています。気持ちとしてはうんざりですが…皆さん、熱中症対策や夏バテ対策を怠らず、元気に残暑を乗り切りましょう!

この記事の執筆者
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参考資料: 『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /『プログレッシブ和英中辞典』(小学館) /『心が通じる 手紙の美しい言葉づかい ひとこと文例集』(池田書店) :