パリのマルモッタン・モネ美術館から〈睡蓮〉が一挙来日!モネの真のすごさを大画面で体感して
世界最大級のモネ・コレクションを誇るパリのマルモッタン・モネ美術館からの約50点におよぶ来日作品に加えて、国内各地の名作も一堂に。日本では過去最大規模で〈睡蓮〉が集まる究極のモネ展、開催です!
この展覧会について、美術ライターの浦島茂世さんにご案内いただきました。
【今月のオススメ】クロード・モネ《睡蓮》
池に浮かぶ明るいピンク色の睡蓮の花と、水面に映る青い空と白い雲のコントラストが印象的。最終的にパリのオランジュリー美術館に設置されることになる装飾画の制作過程で生み出された、おびただしい数の作品群のひとつ。モネは、これらの大装飾画に関連する作品のほとんどを生前に手放すことなく手元に置き、1926年の死の間際まで試行錯誤を重ねながら、筆を動かし続けた。
1月からスタートし現在も全国を巡回中の「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展、東京と大阪で開催された「モネ 連作の情景」展と、モネの当たり年だった2024年。たっぷり観たはずなのに、まだまだ観たいし、観たことのない作品もたくさんあるし、観れば毎回魅了される。それがモネなんですよね。
今回の「モネ 睡蓮のとき」は、世界最大級のモネ・コレクションを誇るパリのマルモッタン・モネ美術館から、日本初公開作品を含む約50点が来日。見どころは、なんといっても晩年の作品群、特に〈睡蓮〉をテーマにした大画面の絵画です。
モネが〈睡蓮〉を描き始めたのは1890年代。70代を迎えた1914年以降は、「睡蓮の池を描いた巨大なパネルで楕円形の部屋を覆う」大装飾画の制作に情熱を注ぎます。上で紹介している《睡蓮》という巨大な1枚や、横が3mにおよぶ作品も展示されます。興味深いのは、かつては戸外でカンヴァスをイーゼルに立てて刻々と変わりゆく自然の様子を描いていたモネが、画面が巨大になっていくことによって必然的に、アトリエで、記憶の中に印象として刻まれている自然を描くようになっていったこと。そこに、白内障による視力の低下も加わって、どんどん筆使いは大ぶりに、色彩は鮮烈になり、最晩年の作品はまるで抽象画です。
老いていく、見えなくなっていくにつれ、画面は激しくなっていくことに、モネという画家の凄みを感じます。西洋絵画を鑑賞する際に求められがちな宗教や美術史の知識もいりません。ただただ美しい世界にひたれます。(談)
◇Information「モネ 睡蓮のとき」
- 国内外の〈睡蓮〉作品20点以上が集結する。2mを超える大画面の〈睡蓮〉に囲まれるドラマティックな展示も見どころ。京都市京セラ美術館(京都)、豊田市美術館(愛知)へ巡回。
- 開催期間:開催中〜2025年2月11日(火・祝)
- 会場:国立西洋美術館
- TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
- 住所:東京都台東区上野公園7-7
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- EDIT&WRITING :
- 剣持亜弥、喜多容子(Precious)