圧倒される! ひとりのコレクターが集めた世界最大級の日本現代美術コレクション
草間彌生、横尾忠則、森山大道、会田誠、山口晃、奈良美智、村上隆 ──。
精神科医、高橋龍太郎による個人の日本現代美術コレクションで構成する展覧会。「若いアーティストたちの叫び、生きた証」が、観る者の心に直接届きます。
東京都現代美術館で2024年11月10日まで開催中の「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」について、エディター・ライターとして活動中の中村志保さんにご案内いただきました。
今月のオススメ「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」
高橋龍太郎は1946年山形県生まれ。精神科医。1990年にタカハシクリニックを開業。1997年からは本格的に日本の現代美術作家の作品蒐集を始め、現在3500点超の作品を所有。これまでに20回以上にわたりコレクション展を開催。2020年、現代アートの振興・普及への功績が称えられ、文化庁長官表彰を受彰。
最近、「アートコレクター」という言葉をよく耳にするようになったと思いませんか? 世界を見渡すと、「なるほど」と頷ける人から意外な人物まで数々のコレクターが存在しています。
例えば「ファッション界の帝王」、LVMHを率いるベルナール・アルノー。ピカソやウォーホルを筆頭にイヴ・クラインなどフランスの芸術家のコレクションも秀逸。そしてやはりラグジュアリー界の勇であるケリングのCEOフランソワ・ピノー、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス、ラッパーのJay’Zとその妻である歌姫ビヨンセ、家電ブランドのダイソン創業者ジェームズ・ダイソン……と、ここで語り尽くすことはできないのですが、作品蒐集の目的も千差万別で、純粋なアート愛はもちろんのこと、作家支援や、投資目的であったり、社交のツールの一つであったりもするのですね。
さて、日本の現代美術コレクターの第一人者といえば、精神科医の高橋龍太郎さん。日本の現代美術を中心に1990年代から本格的に蒐集を始め、草間彌生、村上隆、奈良美智、名和晃平など国際的な作家の初期作品や代表作を有していることも特徴で、その数なんと3500点超。また、これまで多くの美術館などで展覧会を開催し、コレクターが所有する作品を展覧するという概念を浸透させた立役者でもあります。
現在、「高橋コレクション」から115組の作家に焦点を当てた展覧会が東京都現代美術館で開催中。高橋さんの思想に触れながら作品を眺めてみると、またひと味異なる発見がありそうです。(文・中村志保)
◇Information「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」
高橋龍太郎の初期から現在にいたるコレクションの変化を、一人のコレクターの「私観」をテーマに、「胎内記憶」「戦後の終わりと始まり」「新しい人類たち」といった6セクションで構成。総勢115組の作家による作品で東京都現代美術館の展示室を2フロアにわたり埋め尽くし、日本の現代美術史を現在までたどることができる貴重な展覧会だ。
開催期間:〜2024年11月10日まで開催中
会場:東京都現代美術館
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- EDIT&WRITING :
- 剣持亜弥(Precious)