紅葉の名所として知られる「いろは坂」を越えた先、中禅寺湖畔に佇む「ザ・リッツ・カールトン日光」。
ホテル内の洋食レストラン「レークハウス」では、ミシュラン2つ星とグリーンスターをダブル受賞するなど、国内外で活躍する「villa aida」のオーナーシェフ・小林寛司氏が監修する新メニューの提供を、2024年10月1日(火)より開始しています。
開業以来、この地で育まれた豊かな食材に注目し、洗練された料理を提供してきた「ザ・リッツ・カールトン日光」。その一方で、自身のレストランに隣接する畑で約300種の野菜やハーブを育て、旬の味わいを引き出す自由な発想の料理を提供している小林氏。
そんな二者がタッグを組み、栃木県が誇る旬の食材を最大限に味わえるメニューの開発に取り組んできたといいます。
小林氏が自身のレストランで掲げる理念「Farm to Table」を、「Farm to Dining」という形に進化させ、日光の風土を感じるダイニングとして生まれ変わった「レークハウス」。
今回は、その新たな「レークハウス」のディナーを堪能すべく、「ザ・リッツ・カールトン日光」にPrecious.jpライターが滞在。小林氏が監修したメニューを中心に、ホテルの魅力も合わせてレポートします。
小林寛司シェフ監修!新生「レークハウス」メニューの特徴とは
■1:希少な品種も!主役は自然栽培の栃木県産旬野菜
「旬の野菜はおいしいだけでなく、季節に合わせた栄養素が含まれているため、身体を整える役割も果たしてくれます。これは先人たちが自然と摂取してきた知恵であり、その知恵にならい、旬を感じる料理を提供させていただきたい」。そう話すのは、小林寛司シェフとともにメニュー監修に携わる妻の有巳さん。
今秋のメニューに使われているのは「日光あおぞら農園」で栽培された旬野菜。より自然に近い状態の土で、微生物やバクテリアの力を借り、無肥料・無農薬・除草剤不使用で育てられています。
農園では年間約200種類の野菜が育てられており、その中には生産者の減少により消滅が危惧される伝統野菜「舟石芋(ふないしいも)」など、今では希少な野菜も含まれています。
ディナーコース最初のひと品は、白いんげん豆の出汁だけで作られたスープ仕立ての料理。そこに、皮ごと揚げて軽く潰した「舟石芋」が入っていました。ホタテの貝柱との相性も抜群で、白ごまペーストが加わることでコクが生まれ、白いんげん豆だけの出汁とは思えないほどしっかりとした味わいでした。
■2:「味のレイヤー」を大切にしたすべての料理
「味のレイヤー」を大切にしていると話す小林シェフのメニューは、食べ進めるごとにさまざまな味の変化を楽しめるのが特徴で、どのお料理にもその工夫が随所に感じられます。
2品目は、焼いたかぼちゃにはちみつを少し加え、クリーム状にしたものに、バターで火を通したさつまいも、しめじ・なめたけ・エリンギなどのきのこ類、ゆりねをスパイシーなソースと合わせたひと皿。
添えられたパイを崩しながらいただくことで、味だけでなく食感の変化も楽しめるひと品でした。
続いて登場したのは、さつまいもを柔らかくピューレにしたものと、食感を残して砕いたものを組み合わせた熱々のさつまいもグラタン。
グラタンの上には旬のセロリが添えられ、中には栃木県宇都宮市産の「宮レモン」の塩漬けを小さく刻んだものが入っています。さらに、表面にかかったパン粉のパリパリ感が絶妙に調和し、新感覚の味わいが楽しめました。
4品目のタリアテッレには、日光市産の舞茸を一晩干して、食感と味を凝縮させたものが使われており、舞茸の香りが高く、濃厚な味わいが広がります。
■3: 環境への配慮が込められた、ストーリーのあるメニュー
小林シェフは、コースメニューを考える際、常に食材に「意味」や「ストーリー」を持たせることを大切にしています。今回は、海のない栃木県で魚料理を提供するにあたり、「サステナブルフィッシュ」というテーマを選んだそうです。
「サステナブルフィッシュ」とは特定の魚にこだわらず、その時期に獲れたおいしい魚を使うことで、乱獲防止に繋げたいという思いが込められた言葉。また、この名称をメニューに掲げることで、お客様にも環境問題への関心を持っていただき、スタッフ自身も説明を通じて現状を学ぶきっかけとなることを期待しているそうです。
今回のコースでは、「イトヨリ」を使った料理が登場。魚の下に敷かれたかんぴょうや、薄くスライスされた冬瓜に、白ワインとエシャロットをベースにバターで仕上げたリッチなソースを合わせると、そのおいしさが口いっぱいに広がりました。
■4: まだ広く知られていない魅力的な食材との出会い
栃木県産の隠れた極上食材を堪能できるのも、大きな魅力です。肉料理に使われているのは、豊かな緑と新鮮な水、こだわりの飼料で丁寧に育てられた銘柄牛「とちぎ霧降高原牛」。
その中でも希少な部位である「みすじ」を使用した肉料理は絶品。肉の下に敷かれた山芋と、「おおまさり」という落花生や牛蒡を加えたロッシーニソースでいただくと、その柔らかさと味わいの深さに感動しました。これほどのおいしさは、なかなか他では味わえないのではないでしょうか。
栃木県は、いちごの産地として有名ですが、実は梨の名産地でもあり、さまざまな種類の梨が12月ごろまでに食べごろを迎えます。
今回デザートに使われたのは、甘味が豊富な「秋月」という梨です。白ワインでシンプルにコンポートされた梨に、柔らかなチョコレートケーキと、日光の牛乳を使ったアイスクリームが添えられたひと皿。
和梨の自然な甘さを引き立てるコンポートに、ほろ苦いチョコレートケーキのアクセント。さらに、温かいケーキと冷たいアイスの組み合わせが絶妙でした。
■5:料理に寄り添う豊富な自然派ワイン
新メニューに合わせてワインリストも自然派ワインを中心にお料理に合うものを、より幅広く取りそろえたそう。日本やイタリアを中心に、産地やヴィンテージの個性が際立つ自然派ワインが豊富に揃っており、料理にぴったりと寄り添う、異なる趣のワインが厳選されています。
魚料理に合わせられたのは、トーマス・ニーデルマイヤーが手掛ける「ソラリス2019」。
厚みがありながらも、しなやかで柔らかな風味が特徴のワインで、料理との調和が素晴らしかったです。豊富な知識を持つ有巳さんのお話を伺ってからいただくと、ワインと料理のペアリングがさらに深く楽しめました。
四季に合わせて何月何日から決まったメニューというわけではなく、その時期に収穫される食材によって、ゆるやかに変わっていくという小林シェフ監修のメニュー。次はどんな食材が使われ、どんな料理が楽しめるのか……。何度でも足を運びたくなる、唯一無二の絶品コースでした。
贅沢な滞在を約束する「ザ・リッツ・カールトン日光」の魅力
■1:バルコニー完備のスタイリッシュでゆったりした客室
日光国立公園内に位置するホテルのゲストルームのコンセプトは「奥日光の自然と調和する邸宅」。すべての客室にはプライベートバルコニーが完備されており、スタンダードな部屋でもその広さに驚かされます。
筆者が宿泊した部屋は「中禅寺湖ビュー」でしたが、他にも「男体山ビュー」と「リバーサイドガーデンビュー」の部屋タイプがあり、どのバルコニーからも絶景を楽しむことができます。ゆったりとした時間が流れ、夜にはランプの灯りが幻想的な雰囲気を演出してくれます。
この日、ウェルカムフルーツとして部屋に用意されていたのは、木箱に美しく並んだ巨峰とシャインマスカット。湖を眺めながら旬のフルーツをいただける、まさに至福のひとときでした。
■2:美肌効果を期待できる温泉と部屋風呂
「ザ・リッツ・カールトン」ブランドとして初めて温泉を有したこのホテル。日光湯元温泉の源泉から引かれた豊富なミネラルを含む乳白色の柔らかな硫黄泉は、美肌効果も期待できるとされています。
朝は爽やかな風や木々の香りに包まれ、夜は静けさと自然の清々しい空気に癒やされる露天風呂やサウナも完備されており、じっくりと体を整えることができますよ。
温泉に行くときには、客室に用意された浴衣と下駄、そして風呂敷にハンドルを組み合わせた可愛い「風呂敷バッグ」を持っていくと、気分も上がります。
客室のお風呂は窓に面しているため、景色を眺めながらリラックスしながら入ることができ、こちらも非常におすすめ。バスソルトも用意されているので、部屋風呂でのくつろぎタイムを楽しむことができます。
■3:伝統工芸を愛でながらいただく豪華朝食
朝食は「日本料理 by ザ・リッツ・カールトン日光」で、オリジナルの木箱に盛り付けられた美しい料理がいただけます。和か洋を選べる中で、筆者は和朝食をチョイス。厳選された卵や栄養価の高い野菜を使ったヘルシーな朝食は、女性にとってうれしいポイントです。
また、フレッシュジュースや「日光御養卵プリン」などのデザートは、自由に選べるバイキング方式で楽しめます。
朝食場所の「日本料理 by ザ・リッツ・カールトン日光」は、日光市で江戸時代から続く伝統工芸「日光彫」が施されており、美しく繊細な栃木の工芸を眺めながら優雅な時間を過ごせました。
■4: 座禅や中禅寺へのお散歩など、充実したアクティビティ
「ザ・リッツ・カールトン日光」は、アクティビティが充実しているのも魅力です。筆者が参加したアクティビティのひとつは「朝の座禅」。奈良時代末期に創建された世界遺産「日光山輪王寺」の別院、中禅寺立木観音から僧侶が訪れ、座禅を指導してくれます。
初めての体験でしたが、実際に座禅を組む時間は15分ほどと無理のない長さで、心地よいリフレッシュの時間になりました。
また、中禅寺湖や男体山を望みながら、「日光山中禅寺」までの往復約3kmを散策するお散歩アクティビティもおすすめです。中禅寺内を案内してくれるので、根を張った立木に千手観音の姿が彫られた「立木観音」を含む重要文化財をゆっくり拝観できます。立木観音の存在感は圧巻でした。
無料のものだけではなく、有料アクティビティも多数あり、特に事前の計画がなくても、存分に楽しめること間違いなしです。
帰路の安全を願っていただけるお守りや、出発時に鳴らしてもらえる鐘の音も心に残り、終始素晴らしい時間を過ごすことができた「ザ・リッツ・カールトン日光」。
これからの季節は、紅葉が美しく、温泉が恋しくなる絶好の時期です。小林寛司シェフが手がける絶品のコース料理を楽しみながら、「ザ・リッツ・カールトン日光」での極上の滞在を体験してみてはいかがでしょうか?
問い合わせ先
- ザ・リッツ・カールトン日光「レークハウス」
- 「小林寛司氏監修メニュー」
価格/ランチコース ¥9,500(4品)、¥14,000(6品) セットメニュー ¥5,000(3品)、ディナーコース ¥24,000(7品)
時間/ランチ 11:00~15:00(14:00 L.O.)、ディナー 17:00~22:00(20:30 L.O.) - TEL:0288-25-5776(レストラン予約直通)
- 住所/栃木県日光市中宮祠2482
関連記事
- 【ユニークな体験ができる温泉宿 vol.1】秋の夜長に読書三昧!書店と温泉が融合した新感覚ホテル「松本十帖」
- 「ザ・プリンス パークタワー東京」で秋の夜長の絶景体験!生絞りモンブランやお月見をイメージしたカクテルなど
- 大阪のオフィシャル・シャンパン・ホテル【キュベ】滞在中いつでもシャンパーニュを楽しめるフリーフロープランが登場
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 篠原亜由美
- EDIT :
- 小林麻美