東京と日光を舞台にアジアのトップシェフたちが共演!

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アジア各国のトップシェフたちが集結する「インターナショナル・シェフズ・サミット・アジア(略称「ICSA」)」が、2024年9月7日(土)から11日(水)の期間、フォーシーズンズ ホテル東京大手町とザ・リッツ・カールトン日光にて開催されました。

「ICSA」は、アジアのシェフたちが互いに学び合い、刺激し合える場の提供を目的として2017年にスタート。トップシェフと美食家、ラグジュアリーホテルとの橋渡しの役割も担っています。

2024年の「ICSA」は、5月に台湾にて、9月に日本にて開催。初開催となる日本でのサミットは「料理維新」をテーマに、日本を含むアジアから10名にトップシェフを招き、コラボレーションランチやディナーのほか、トークセッションが実施されました。

 

「ICSA」主催のChathy Chao氏はオープニングスピーチで、「ICSAは今後も毎年日本で開催することを目指し、日本の優れたシェフをさらに発掘し、世界の優秀なシェフを日本に招いて交流を図りたいと考えています。また、今後日本国外でICSAを開催する際にも日本からシェフを招聘し、国際的な知名度を高めていきたいと思っています」と語りました。

女性シェフふたりが参加した白熱のトークセッションをレポート

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トークセッションに参加したシェフたち

今回のトークセッションには女性シェフたちの活躍が目覚ましい現在を反映して、「アジアのベストレストラン50」で「アジアのベスト・ペイストリー・シェフ賞」を受賞した「FARO(ファロ)」のシェフパティシエ加藤峰子氏、創造的な料理で注目を集める「JULIA(ジュリア)」のエグゼクティブシェフnao氏が参加しました。一部要約してお届けします。

Q:本イベントのテーマである「料理維新」、料理の改革についてご自身のご意見をお聞かせください。

川手寛康氏(東京/Florilège):
維新というと大きな改革をしないといけないように感じるが、どの時代も料理は進化していくもの。現代はただ、その歩幅が広い時期だと考えている。特に料理人は、複雑な自然環境に大きな影響を受ける職業。そのなかで自分達の料理を変えていくのは当たり前のこと。

長谷川在佑氏(東京/傳):
日々少しずつ変わっていくことが大きな変化(維新)につながる。川手シェフと話していると、自身が昔学んだ日本料理を「新しい」と言う。古いもののよさを再認識するためにも、新しいものを見つけていく必要があると考えている。

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川手寛康氏(東京/Florilège)@hiroyasu_kawate
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長谷川在佑氏(東京/傳)@zaiyuhasegawa

Nao氏(東京/JULIA):
独学で料理を学び、料理人になって12年になる。概念に絞られず、食材を見て、その素材のよさをどうしたら引き出せるかと考え向き合う時間を多くつくっている。固定概念にとらわれない自由な発想が新しいもの(維新)を生み出すきっかけになると思う。

加藤峰子氏(東京/FARO):
現代は、料理自体が変化するというより、世界の自然や社会環境、幼少期における食体験などが多様化していると感じている。そうした多様性を感じ取りながら、料理をクリエイティブに発展させていく過程が興味深い。

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nao氏(東京/JULIA)@chef.nao
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加藤峰子氏(東京/FARO)@minekokato_

Q:世界でのゲストシェフとしてさまざまな経験を通じ、あなたが考える食のトレンドとは何でしょうか?

川手寛康氏:
現在の日本の食のトレンドは都市型よりも地方型。自分はそのなかで東京で料理をする意味について一生懸命考え、意味を見出している。また、トレンドは似たような方向性に向かい飽和していくものなので、「トレンドにならないように自分でトレンドをつくっていく」という考えが大切。

長谷川在佑氏:
皆がその時代に「いいな」と思えることがトレンドとなる。よいものをつくり続け、毎日常に新しいことにチャレンジしていくことが大切。そう考えると料理維新というキーワードにも近いのではないか。

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Q:世界中で女性シェフの影響力が高まっていますが、日本の現状についてどのようにお考えかお聞かせください。

Nao氏:
体力的な部分もあり、女性シェフとして日本で飲食店を営み続けるのは難しくもあるが、女性だからこそできることも絶対にあると思っている。女性だからこその、料理の美しさや繊細さ、きめ細やかさがあるということを伝えたい。次世代の女性料理人たちの道を切り拓くきっかけとなる存在でありたい。

加藤峰子氏:
「女性シェフ」という区切りで語るのもどうかと思うが、それでも今なぜフェミニズムが重要かというと、1960年代から1980年代にかけて日本で女性が築いてきたことに比べ、その後から現在までの変化は少ない。昔の女性が現代にもたらしてくれた投票権や仕事する権利など、今当たり前のことも、40〜50年前までは当たり前ではなかった。そのようなことを私たちは次につなげられていないと感じる。料理という世界に限らず、シェフという枠を超えて、女性がさらなる進化を遂げるために行動を起こしている。

Q:自身の料理・レストラン・哲学についてお聞かせください。

ヴィッキー・チェン氏(香港/WING):
フランス料理の技法を学んできたが、14年前に故郷香港に戻り、伝統的な中国料理の食材と調理法の重要性を知った。その後、フランス料理の技法に中国料理の要素を融合した自身初のレストラン「VEA」を開業。中国料理を学ぶなかで私は、食材の伝統的な扱い方をまず習得し、それを自身のアイデンティティに沿って昇華させることを信念としている。そのなかで、家族や友人のために中国料理をつくることに興味を持ち、2021年の「WING」開業につながった。

サンティアゴ・フェルナンデス氏(東京/MAZ):
南米文化のイメージというと、パーティー、酒場、ダンス…が思い浮かぶ方が多いと思うが、それだけではなく、より深い文化と多様な環境が存在する。「標高差が生み出す自然の生態系という文化」、それを体現しているのがMAZである。

ウム・テジュン氏(韓国/Solbam):
韓国の南の田舎町、松の木が茂る森の中に位置する私のレストランSolbamは、韓国の文化と自然を、伝統的な技法とインターナショナルな技法を組み合わせて表現している。また、サステナビリティにもフォーカスしている。

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ヴィッキー・チェン氏(香港/WING)@chefvickycheng
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サンティアゴ・フェルナンデス氏(東京/MAZ)@santiago.maztokyo
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ウム・テジュン氏(韓国/Solbam)@solbam_tj

Q:現在注目している食文化や食材を教えてください。

ウム・テジュン氏:
韓国の伝統料理と郷土料理。モダンなレストランも、伝統的なレストランも、過去や歴史からインスピレーションを得ていると考えている。

 ソン・ジョンウォン氏(韓国/Etanic Garden):
韓国のかつての王朝「開城(ケソン)王朝」の料理。沿岸都市「開城」では、ほかの韓国料理とは異なり、素材そのもののフレーバーを引き出すことが大切にされている。

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ソン・ジョンウォン氏(韓国/Eatanic Garden)@jw.sso

東京と日光で特別なコラボレーションディナーを披露

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フォーシーズンズホテル東京大手町で提供されたコラボレーションディナーより

期間中には、東京と日光にてコラボレーションディナーが開催されました。フォーシーズンズホテル東京大手町のレストラン「est」では、9月7日(土)に「est」のシェフ・デ・キュイジーヌ ギヨーム・ブラカヴァル氏とペストリーシェフ ミシェル・アッバテマルコ氏、そしてヴィッキー・チェン氏(香港/WING)、ウム・テジュン氏(韓国/Solbam)の4名のシェフによる8ハンズランチとディナーが提供されました。

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ザ・リッツ・カールトン日光で提供されたコラボレーションディナーより

ザ・リッツ・カールトン日光では、9月10日(火)と9月11日(水)の2日間に渡り、それぞれ初共演となる3名のトップシェフたちによる6ハンズディナーを開催。初日は、川手寛康氏(東京/Florilège)、ヴィッキー・チェン氏(香港/WING)、そしてソン・ジョンウォン氏(韓国/Eatanic Garden)によるコラボレーション、2日目は長谷川在佑氏(東京/傳)、サンティアゴ・フェルナンデス氏(東京/MAZ)、ウム・テジュン氏(韓国/Solbam)による料理が振る舞われました。

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ザ・リッツ・カールトン日光で提供されたコラボレーションディナーより

各会場にて、それぞれのシェフたちのルーツやアイデンティティに支えられた知識や調理技術に、日本固有の食材が融合した独創的な料理が登場しました。


以上、日本で開催された2024年のインターナショナル・シェフズ・サミット・アジアについてご紹介しました。日本、韓国、台湾などのアジア各国のトップシェフたちの料理やトークの言葉から、アジアの料理界の盛り上がりを感じることができました。ぜひ、シェフたちやICSAのインスタグラムなどをチェックしてみてください。

問い合わせ先

インターナショナル・シェフズ・サミット・アジア(ICSA)

 

この記事の執筆者
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