連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変えるPrecious People

明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介している連載【Tomorrow Will Be Precious!】では今回、1893年創醸、奈良で日本酒とリキュールを製造する老舗酒蔵「梅乃宿酒造」の代表取締役 CEOの吉田佳代さんに注目!

新しい酒文化の創造を目指し、「ワクワク」というキーワードを掲げて挑戦し続ける吉田さんにお話しをうかがいました。

吉田佳代さん
梅乃宿酒造株式会社 代表取締役 CEO
(よしだ かよ)帝塚山大経営情報学部卒業後、総合商社を経て’04年に梅乃宿酒造に入社。入社10年目となる’13年に5代目社長に就任。新しい酒文化の創造を目指し、梅酒や日本酒を使ったリキュール、フルーツの食感がある「あらごしシリーズ」、ポーションタイプのジンなど多彩な商品を製造。海外での人気も高い。小学生の子供がふたりいる。

【Nara】杜氏制度からも卒業。老舗酒蔵が「ワクワク」を掲げて大躍進中!

梅乃宿酒造株式会社の代表取締役、CEOの吉田佳代さん。
梅乃宿酒造株式会社の代表取締役 CEOの吉田佳代さん。

1893年創業の老舗酒蔵「梅乃宿酒造」。吉田さんは四代目社長の第一子として生まれ、「梅乃宿が大好きで、いつかここで働きたい」と大学で経営を学びながらも、卒業後は「娘が帰ってきた、と思われるのが嫌で、修業のつもりで」総合商社に就職。3年働いて念願の家業に入るが、「娘なんだからもっと自分はできなくては」と責任感が強いがゆえのプレッシャーで鬱状態に陥ってしまった。

「考え方を変えて、『自分ができることをやろう』というスタンスで働くようになったら、もっと梅乃宿に関わりたいという気持ちになって。会社にいちばん近くで関われるのは、社長ですよね。だから、五代目になりました」

吉田さんは「家業から企業へ」をテーマに、「あの人しかわからない」をやめ、みんながわかりやすいルールをつくっていった。6年前には杜氏制度からも卒業し、3人の蔵人を中心として話し合いながら酒づくりをしている。

「そのことで、ほかの蔵人全員が強くなったと感じています。すごく“考える組織”になった。日本酒以外にも、日本酒仕込みでリキュールを開発したり、輸出に力を入れたり、BtoC(対一般消費者取引)事業を拡大したりと、さまざまな変革を行ってきました」

「新しい酒文化を創造する」という目的を掲げるなかで、吉田さん自身が大事にしているのが、「ワクワク」というキーワードだ。

「つねに人をワクワクさせたい。これまで誰も思いつかなかったような商品をつくったり、新しい取り組みをしたり。そのためには、会社自体もよくしていくことが大切です。みんなが気持ちよく働ける環境をつくることが社長の仕事だと、日々思っています」

2年前には蔵の移転という大きな変革も実現。4か所に点在していた事務所もひとつにした。山間の清々しい場所で、挑戦は続く。

「新しいことへのチャレンジや、驚き、喜びがワクワクのもと。『#ワクワクの蔵』をコンセプトに、発信を続けたいと思っています」

◇吉田佳代さんに質問

Q.朝起きていちばんにやることは?
その日のスケジュールをチェック。「今日、これ着なあかんな」とか「これ持っていかなあかんな」っていうのを朝するタイプ。
Q.人から言われてうれしいほめ言葉は?
梅乃宿のスタッフやメンバーをほめられるとうれしい。
Q.急にお休みがとれたらどう過ごす?
旅行。知らない街のいいお宿を訪ねるとか。
Q.仕事以外で新しく始めたいことは?
社会問題解決というか、子供たちに夢を与えられる活動をしたい。
Q.10年後の自分は何をやっている?
今と変わらず働いている。いろいろやりたいことがあって、チョコチョコしているんだろうな…。
Q.自分を動物にたとえると?
チーター。動物占いでそうでした。これと思ったら走りだす。終わればコロッと忘れる。肉食、ガツガツしています。

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PHOTO :
香西ジュン
EDIT :
剣持亜弥、喜多容子 ・木村 晶(Precious)
取材 :
木佐貫久代