そのまま食べても、料理の食材としても、またまた“映えメニュー”にも欠かせないチーズ。現在空前のチーズブームと言っても過言ではありませんが、11月11日が「チーズの日」だって知っていましたか? 今回はこの「チーズの日」にちなみ、チーズ関連の雑学をお届けします!
【目次】
【「チーズの日」とは?「意味」や「由来」 】
■「チーズの日」とは?
1992(平成4)年にチーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会によって制定された「チーズの日」。もっとチーズに親しんでもらうため、元祖チーズがつくられた10月(現在使用している新暦では11月)の11日が覚えやすいとして、11月11日の「チーズの日」が誕生しました。
■「元祖チーズ」とは?
日本ではいつからチーズを食べていたのでしょうか。加工食品だし輸入食品だろうから「割と最近なのでは?」と思うかもしれませんね。ところが日本では1300年以上前の飛鳥時代から、一部の特権階級で食べられていたようなのです!
当時のことが書かれた『右官史記』なかに、「文武天皇四年10月 文武天皇が使いをつかわし、″蘇(そ)″をつくらしむ」という記述があります。文武天皇四年とは西暦700年のことですから、今から1300年以上前のこと。この″蘇″が現在のチーズの元祖とわれています。
この、中国からやってきた“蘇”は乳を煮詰めたもので、仏典の『涅槃経(ねはんぎょう)』に、「牛より乳を出し、乳より酪を出し、酪より生酥を出し、生酥より熟酥を出し、熟酥より醍醐を出すが如し。醍醐最上なり」とあります。乳を精製してつくる食品「酥」が、大変おいしいものであると記されているのです。「酥」と「蘇」とは同義で、「醍醐」はコクのあるおいしい味を意味します。ちなみに、ここから「醍醐味」という言葉が生まれたといわれています。
元祖チーズの「蘇」は、朝廷や一部の貴族や僧侶だけに許された貴重な食品だったのです。
【ビジネス雑談やランチのおしゃべりに役立つ「チーズ雑学」】
■チーズとは
牛などの乳に乳酸菌や酵素を加えて凝固させ、微生物の作用によって発酵・熟成させた食品。ナチュラルチーズとプロセスチーズに大別されます。
・ナチュラルチーズ:乳酸菌や酵素で凝固させ、ホエイ(乳清)の一部を除去したものをいいます。使用する微生物や加工方法などによって、世界中で1000種類以上のナチュラルチーズがつくられているのだとか! 熟成タイプと非熟成タイプがあり、フレッシュタイプ、白カビタイプ、青カビタイプ、ウォッシュタイプ、シェーブルタイプ、セミハードタイプ、ハードタイプに分類されます。熟成タイプは乳酸菌や凝乳酵素のはたらきによって、時間が経つごとに(熟成が進むごとに)味の変化が楽しめます。
・プロセスチーズ:ナチュラルチーズに乳化剤などを加え、加熱して溶かしてから再び成形したもの。加熱処理により乳酸菌は死滅するので保存中に熟成が進むことがなく、ナチュラルチーズに比べて保存期間が長く、多くは大量生産が可能なので価格も比較的安価で安定しています。
■名前の由来
ナチュラルチーズの名称は、生産地や地域に由来するものが多くあります。
・フランス:カマンベール(村名)、ロックフォール(村名)、ブリー(地名)
・スイス:グリュイエール(村名)、エメンタール(地名)
・イタリア:パルミジャーノ・レッジャーノ(地方)
・イギリス:チェダー(村名)
・オランダ:エダム(村名)、ゴーダ(村名)
「モッツァレラ」は引きちぎる(=モッツァレラ)という製造工程が名称に。また、「クロシェット(鈴)」「ボントン(樽の栓)」「プロボローネ(ボール形)」など形に由来するものや、「フロマージュブラン(真っ白なチーズ)」のように色に由来するものもあります。
■どの国がいちばんチーズを食べている?
「JIDF世界酪農情況2023」によると、世界各国のひとりあたりの年間消費量(2022年度)の1位はデンマーク、2位はフランス、3位は地中海東部にある島国のキプロス。チーズのイメージがあるドイツは6位、オランダは8位、スイスは10位でイタリアはベスト10圏外です。日本は意外に健闘していて25位。消費量はデンマークの10分の1以下で、年間約2.5kgなのだとか。
■チーズが「健康食品」と言われる理由
チーズは、人間の体に必要な栄養素の多くがバランスよく含まれている食品です。おいしく健康的にチーズを楽しみたいものですね。その特徴を挙げてみましょう。
1)たんぱく質、ミネラル、ビタミン類が豊富。チーズに欠けている栄養素はビタミンCと食物繊維なので、野菜や果物と一緒に食べることで栄養バランスが良くなります。
2)20gのチーズをつくるには、その10倍の牛乳約200gが必要です。チーズには牛乳の栄養が凝縮されているのです。
3)現代人に不足している栄養素の筆頭はカルシウムだといわれていますが、チーズはカルシウムも豊富! 育ち盛りの子供や、骨粗しょう症のリスクが高まる高齢女性は、積極的に摂りたい食品です。
4)チーズの主成分はたんぱく質で、全体の約22~28%を占めます。実はそれ以上に多いのが脂肪ですが、カロリーはさほど高くないのだとか。カロリーを気にするより、カルシウム源として考えたい食品なのです。
5)塩分が気になるという人もいるでしょう。チーズに含まれる食塩相当量は2%前後。塩辛いといわれるブルーチーズは4%程度とか。気になるなら、塩分の少ないクリームチーズやカッテージチーズなどのフレッシュタイプをチョイスして。低塩・減塩タイプのプロセスチーズもありますよ。
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11月11日は「チーズの日」以外にも、たくさんの記念日が。1が棒状に見えることや、1が並ぶので縁起がいいということもあるようです。例えば、形が数字の1を思わせることから平成11年11月11日に制定された「ポッキー&プリッツの日」、囲炉裏に立てて焼く様子が1111に見えることから「きりたんぽの日」、細く長い麺のイメージにぴったりなので「めんの日」など。また、1チーム11人で行うので「サッカーの日」にも制定されています。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『世界大百科事典』(平凡社)/『すぐに役立つ366日記念日事典』(創元社)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館) :