美食に散策、美肌温泉に名所巡りetc. 旅の目的はさまざまですが、この冬訪れたいのは、「絶景」を楽しむ湯宿! お部屋から温泉からロビーから、刻々と移り変わる絶景を眺めながら過ごす、ゆっくりとした贅沢な時間…。
雑誌『Precious』2月号では【一生に一度は訪れたい!絶景が広がる「おこもり湯宿」リスト】と題して、旅慣れた温泉好きも太鼓判を押す、珠玉の「絶景」×「湯宿」をご紹介しました!
今回はその中から、真田のお殿様にも愛された長命長寿の湯、長野県・湯田中の「松籟荘」をピックアップしてお届けします。
建物絶景|長野県・湯田中「松籟荘(しょうらいそう)」——圧巻の建築美!真田のお殿様にも愛された長命長寿の湯で歴史と文化に酔いしれる

全室スイートルーム!文化財の名湯も堪能して
長野駅から特急「スノーモンキー」に乗ること約45分。湯田中駅から7分ほど歩くと「松籟荘」の美しい門構えが見えてきます。
湯田中温泉の開湯は約1350年前といわれ、長命長寿の湯として病を癒やす霊験あらたかな温泉は、松代藩(まつしろはん)の真田(さなだ)氏をはじめ、俳人小林一茶(こばやしいっさ)など多くの人に愛されてきました。
その湯田中温泉で、江戸時代・寛政年間から約200年もの歴史を誇る宿「信州湯田中温泉よろづや」の離れとして、1939年に誕生したのが「松籟荘」。登録有形文化財にも指定されていた由緒ある建物でしたが、2021年火災により全焼。3年の歳月を経て2024年3月、スモールラグジュアリーな宿「松籟荘」として再始動しました。
客室はわずか5室。銘木をふんだんに使い、聚楽壁(じゅらくへき)を塗り込めた数寄屋造り。趣の異なる広々とした部屋には源泉かけ流しの露天風呂付き。松本民芸家具が随所に配され、洗練と温もりの空間にほっとします。




さて、滞在中ぜひとも訪れたいのが「信州湯田中温泉よろづや」内にある「桃山風呂(ももやまぶろ)」です。5代目館主が、伊豆修善寺にある新井旅館の天平風呂に感銘を受け手掛けたという「桃山風呂」は、安土桃山時代の伽藍建築の粋を集めた大浴場。1953年に完成し、匠の技が光る豪華絢爛の湯殿は2003年、国の登録有形文化財に認定され、3年前の火事の際にも焼失を免れました。脱衣所には、松代藩士・佐久間象山(さくましょうざん)による扁額が、壁や柱には千社札(せんじゃふだ)が貼られ、昭和の浴場の趣を今に伝えます。
圧巻なのは、総面積約200平方メートル、約40平方メートル、容積24トンを誇る湯船を有する浴室! 無色透明の湯はつるりとした感触で肌を柔らかく包み込んでくれる美肌の湯。肩まで浸かって見上げれば、威風堂々とした建築美の絶景で、窓からは四季折々の風景が望め、体の芯まで温まります。3本の自家源泉をもち、湧出量は毎分253リットル。かけ流しの湯を客室と桃山風呂で存分に楽しめるとあっては、外に出ることなく、宿にこもって湯三昧と洒落込むのがおすすめです。









【おすすめの過ごし方】
1階の3室は専用ダイニングルームがあり、部屋から出ることなく朝夕の食事が楽しめる。「桃山風呂」は平日朝、撮影時間が設けられているのでぜひ絶景をカメラに! 土曜日のみスタッフが「桃山風呂」の歴史と魅力を案内する見学ツアーも(無料)。
〈DATA〉
- 「松籟荘」
- 料金/2階¥55,150~、1階¥64,150円〜(1泊2食付き、2名利用時1名料金/税・サービス料込)
- TEL:0269-33-2114
- 住所/長野県下高井郡山ノ内町平穏3071-1
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- PHOTO :
- 篠原宏明
- EDIT&WRITING :
- 田中美保、木村 晶(Precious)