日本各地で育まれてきた高度なものづくりの技術と、若き匠たちの美意識や情熱が結びついた「新時代のジャパンラグジュアリー」を体現する逸品を、ギフトという形で提案しているスタイリストの河井真奈さん。
今回ご紹介いただくのは、京都の甘納豆専門店「斗六屋(とうろくや)」が手がけた新感覚スイーツ「SHUKA(種菓)」です。
「今年もバレンタインの季節が到来。味だけでなくコンセプトからパッケージまで、多彩な商品がひしめくなか、『まわりと被らないようにするには?』、『甘いものが得意じゃない人へのギフトはどうすれば?』などと頭を悩ませる人も多いのではないでしょうか。
『SHUKA』は、伝統的な甘納豆の製法技術を生かしつつカカオやピスタチオなどの素材を取り入れた、古くて新しい新感覚のお菓子です。豆やナッツ類を生命の源である“種”と捉え、“種を愉しむ”ことをコンセプトとしたユニークなスイーツは、どこか懐かしさを感じさせながら意外性もあるのが魅力。特にカカオは、チョコレートとは一味違うバレンタインギフトにぴったりだと思います」(河井さん)
「シュカ」をプロデュースした「斗六屋」4代目の近藤健史さんは、家業を継ぐ以前は京都⼤学⼤学院で微生物の研究をしていたという異色の経歴の持ち主。研究者らしいこだわりの詰まった『SHUKA』の魅力とその開発秘話について、河井さんから教えていただきました。
“カカオ×甘納豆”の斬新なスイーツが誕生した経緯とは?
「老舗甘納豆専門店が開発した珍しいお菓子があると知人にすすめられたのが、『SHUKA』と出合ったきっかけ。京都のクラフトチョコレート『dari K』のインドネシア産のカカオ豆を使っていると聞き、興味が湧きました。
『dari K』は生産者自らの努力によって勝ち取るフェアトレードやカカオ革命を理念とする、私の大のお気に入りのブランド。その『dari K』と甘納豆専門店が一体どういう経緯でコラボすることになったのか? 気になって仕方がなく、『SHUKA』の開発者で『斗六屋』代表の近藤健史さんにお会いしてみたところ、その情熱やストーリーにすっかり魅了されました」(河井さん)
「『斗六屋』は、1926年に近藤さんの曾祖母であるスエノさんが創業。近藤さんはその4代目にあたります。ただ、ご自身は思春期以降、甘納豆屋は古臭い、恥ずかしいなどとネガティブな思いを抱き続け、実家を継ぐつもりは毛頭なかったそうです。
最先端技術への憧れから京都大学大学院で微生物の研究に邁進していた近藤さんに転機が訪れたのは、実家の節分イベントの手伝い。甘納豆の売り子をやってみたところ、わずか3日間のうちに数千人が訪れる盛況ぶりに驚くと共に、自分が甘納豆に生かされていることを実感し、その魅力を広めることを決意したのだと教えてくれました」(河井さん)
「近藤さん自身も感じていた“甘納豆=古臭い”というイメージを払拭するにはどうすればいいのか? その突破口を探るべく持ち前の行動力を発揮し、2018年にイタリアで開催されたスローフードの世界大会に甘納豆を出品。そして、“世界中の人に愛されているお菓子のひとつはチョコレートだ”と気付きを得ました。
そこからカカオ豆を甘納豆にするという発想が生まれ、『dari K』の協力のもと、2年間試行錯誤して新商品を発表。さらにコンセプトを突き詰めて、2022年に“種を砂糖漬けにしたスイーツ”の新ブランド『SHUKA』が誕生したのです」(河井さん)
妥協なき“研究者魂”から生まれた唯一無二の味わい
“砂糖漬け”と呼ばれる甘納豆の製法技術は、食材を砂糖で覆い、じっくり時間をかけて糖分を浸透させるという手法。カカオは通常の豆類とは成分が全く異なることもあり、商品化までの道は決して平坦ではなかったようです。
「例えば、甘納豆では口当たりのよさや柔らかさもおいしさの決め手ですが、カカオは従来用いられている豆類より固め。いくら煮込んでもこれまでの基準ほど柔らかくはならず、職人がこの硬さで本当にいいのかと難色を示す状態が続いたといいます。
ところが、あるとき、若いお客様の『このカカオは程よい硬さで美味しいですね』との一言が、解決の糸口に。柔らかさにこだわるのではなく、パスタでいうところのアルデンテのようにあえて種の食感を残すという方向性に定まったそうです」(河井さん)
「また、素材選びや配合にも近藤さんならではのこだわりが。砂糖を種に応じて和三盆、てんさい糖、キビ糖、有機ココナッツシュガーなどを使い分け、どの配合にすれば最もおいしくなるのかがとことん突き詰めらています。大学院の研究室で培われた飽くなき探求心があってこそ、『シュカ』の唯一無二の味わいが引き出されているのでしょう」(河井さん)
「人工的に作られた甘さではなく、すっきりとキレのある味わいで、日本茶や紅茶、コーヒーはもちろんのこと、お酒とペアリングして楽しむことも可能です。甘いものをあまり召し上がらない方にも喜ばれることでしょう。肩肘張らないギフトとして一箱を贈るもよし。何箱かを組み合わせるのもよし。お相手の顔を思い浮かべながらご自由にコーディネートをお楽しみください」(河井さん)
和洋の上質な素材の味わいを愉しめる5つの「SHUKA」
「futo」ではお披露目会での人気投票の結果を踏まえて、「カカオ」「カシューナッツ」「斗六豆」「丹波黒豆」と、カシューナッツ・瑞穂大納言小豆・スーパーグリーンピスタチオを合わせた「ミックス」がラインナップされています。
■1:カカオ
「dari K」のインドネシア産カカオ豆に有機ココナッツシュガーを合わせ、味噌のような発酵感とドライフルーツのような果実感を残した新感覚のカカオ菓子。お酒とのペアリングもおすすめです。
■2:カシューナッツ
インドネシア産の大粒カシューナッツを使用。ほろっとした食感やクリーミーな味わいと共に、心地よいナッティ感が広がります。サトウキビの原材糖を合わせた、やわらかい甘さも魅力。
■3:斗六豆
”美人”とも呼ばれ、豆類の中でも特に、第六の栄養素とも言われる食物繊維が豊かな北海道産白花豆の大粒のみを使用。栗のようにホクホクとした食感に和三盆の風味を添えた、「斗六屋」伝統の上品で繊細な味わいです。
■4:丹波黒豆
丹波名産の有機大豆を使用。上質なタンパク質を含み、ポリフェノールの一種であるアントシアニンも豊富です。程よく弾力のある食感とうまみが特徴。サトウキビの原材糖を合わせた、野趣溢れる一品。
■5:ミックス
京都丹波旧瑞穂地区でのみ栽培される品種”瑞穂大納言”を使用した「瑞穂大納言小豆」は、煮汁を切りすぎない炊き方で、小豆の力強いアロマを活かし、噛むほどに小豆の風味が広がります。
「スーパーグリーンピスタチオ」は、“ナッツの女王”と称されるピスタチオのなかでも、特に色が鮮やかで希少なスーパーグリーンと呼ばれるものをセレクトし、さわやかな後味に和三盆の優しい甘さを添えました。
今回は、京都発の新感覚スイーツ「SHUKA」をご紹介しました。日頃お世話になっている方々への感謝の気持ちをオリジナリティある贈り物で表現したい人は、今年のバレンタインギフトの候補に加えてみてはいかがでしょうか。
※掲載商品の価格はすべて税込みで、記事公開時のものです。
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- WRITING :
- 中田綾美
- EDIT :
- 谷 花生(Precious.jp)