1915年に東京駅丸の内駅舎の中に開業し、今年で開業110周年を迎える「東京ステーションホテル」。一年を通じて英国の老舗ファブリックブランド「リバティ(LIBERTY)」とコラボレーションしていますが、ついに4月より待望のコンセプトルーム「リバティルーム」が誕生しました。

リバティの英国デザインチームによって手掛けられた、2種類、各1室ずつの貴重なリバティルーム。部屋全体でリバティの世界を表現するのは、日本のホテルでは初めての試みだそう。
ヨーロピアン・クラシックでデザインされた東京ステーションホテルらしさを残しつつ、さまざまなファブリックにリバティが採用され、新しい息吹が吹き込まれたコンセプトルーム。今回、Precious.jpライターの体験レポートにて詳しくご紹介します。
東京ステーションホテルに「リバティ」ルームが誕生!


チェックインを済ませ、ホテルスタッフの案内のもと長い客室廊下を歩いていくと、壁に東京ステーションホテルや東京駅、鉄道にまつわる写真や図面、絵画などの資料が飾られているのを見ることができます。
今回、宿泊した客室はフロントから最も遠い位置にありましたが、点在するアートワークを眺めながら歩いていると、あっという間に到着しました。滞在中に時間があればぜひ、こういったアートワークや、駅舎内のホテルならではのユニークな建築を見てホテル内を散策してみるのもおすすめです。

4階建ての建物に150室ある客室。そのうち、今回誕生したリバティルームは2室のみです。
今回はそのうちの一室、「ヘラ(HERA)」ルームに宿泊させていただきました。
「ヘラ」ルームに宿泊!

孔雀をアイコンとする「ヘラ」というファブリックにちなんだ客室。34平方メートルのパレスサイドコンフォートキングの客室を、ヘラを中心としたリバティのファブリックでしつらえています。
カラースキームは「ピューター/オイントメント」。ピューターとは、グレイッシュで、アイスグレーのような光沢感のこと、そしてオイントメントとは黄味がかっているクリーム色を指します。全体として優しくやわらかな色味で、甘すぎない落ちついた雰囲気にほっとするようなお部屋です。
ヘラのファブリックが採用されたベッドスローは、孔雀の羽毛が舞う豊かな質感を間近に見ることができます。


華やかに広がる羽が中央に配置されるよう、座面の中央に柄合わせが施された総張りのソファ。アームチェアとボタンには同じヘラシリーズのそれぞれ色違いが使われています。
ソファの上に置いてあるクッションは、リバティファブリックを代表する人気の柄のひとつ「オットマンスポット」。和を彷彿とさせるような貝殻モチーフですが、現代的でどんなテキスタイルにもなじみます。ベルベットの贅沢な手触りも魅力的です。
また和と言えば、ポピーとカーネーションが描かれたボタニカルデザイン「ハナ」を採用した壁紙。花と共に描かれた流水線や曲線は、まさに枯山水のような日本文化を感じさせます。これは、創業者であるリバティがパリ万博で出会った浮世絵からインスピレーションを受けたものなんだそう。
そんな壁紙と調和するカーテンは、「リージェンシー チューリップ」。その名の通りチューリップが描かれ、大胆な色調の組み合わせで印象的なデザインになっています。
客室内のカーテンやクッション、ソファやベッドスローなどは、すべてこの部屋のためにオリジナルで製作されたもの。絨毯はリバティではないものの、室内の色味に合わせた別注品です。
滞在中は、世界でここにしか存在しない貴重なファブリックの感触をぜひたっぷりと楽しんで。

レインシャワーや調光もあり、足をのばして入れる広々としたバスルームも。
大浴場をご希望の方は、B1Fにあるフィットネス・スパエリアにある温浴施設をご利用ください(別途有料)。人工炭酸泉や、人工温泉、ドライサウナ、スチームサウナなどを備えており、最高にリラックスできるバスタイムを叶えてくれます。


バスアメニティは、フランスの「イストワール ドゥ パルファン(Histoires de Parfums)」とコラボレーションして製作されたオリジナル。
洗面台に置かれた黒い高級感あるボックスには、歯ブラシやコットンといったアメニティが一通り入っていました。

自由に飲めるお水やティーバッグのお茶などに加え、お酒やジュース、お菓子なども(別途有料)。滞在時間が快適なものになるようにと、さまざまな配慮が行き届いたお部屋です。
「ジェイド(JADE)」ルームも拝見!

もう一室の「ジェイド」ルームも拝見しました。カラースキームの「リケン/ジェイド」から名付けられた客室は、52平方メートルのパレスビューデラックスツインです。
ジェイドとは「翡翠」の意。青みがかった緑のファブリックが大胆に使用されたお部屋は、どこかエキゾチックな雰囲気をまとっています。特に目をひくカーテンと壁紙は、リバティのアーカイブである「生命の樹」のアンティークデザインから描かれた「パランポア トレイル」。ベストセラーとなったスカーフの歴史的なデザインです。
リケンとは「青苔(せいたい)」を意味する、くすんだ黄味の緑。ベッド上のクッションや、ベッドスローの柄に、差し色としてさりげなく使われています。

存在感のあるソファは、ヘラルームのソファ上クッションと同様の「オットマンスポット」を採用。
帯やアンティーク着物からインスパイアされたパターンのクッションが総張りのソファに置かれ、ここにもさりげなく日本を意識したアイテムがスタイリッシュに配されています。
ソファ上のクッションは「アーカイブ ジオ」。幾何学模様が現代的で、オットマンスポット柄のソファとよくなじみます。マットな質感と光沢のある質感が融合したベルベット生地で触り心地も抜群ですよ。


また、こちらのお部屋にはベッドルームとは別に秘密基地のようなスペースがあり、鏡台とデスクが置かれています。特にデスクは広々としていて、壁に囲まれた個室感もあって集中力が高まりそう。ワーケーション利用にぴったりだと感じました。
インルームアフタヌーンティー付きのプランも

リバティルームには、朝食のみ付いた宿泊プランと、朝食に加えてインルームアフタヌーンティーが付いた宿泊プランがあります。
インルームアフタヌーンティー付きのプランでは、4Fのアトリウムで大好評のうちに終了した「リバティアフタヌーンティー」を客室でゆったりと楽しむことができます。


スイーツは計5種。
上段の背の高いカップに入っているのは、カスタードと生クリーム、いちごが重ねられた「トライフル」。その隣の背の低いカップは、パリパリのチョコレートの上にサクサクのクランブル、そして中にはりんごのコンポートが入った「アップルクランブル」です。
リバティのロゴが飾られているのは、「ローズムース」。一口いただくとローズの香りが鼻を抜ける、上品なムースです。
中段には、「キャロットケーキ」と「スコーン」。しっとりとしたキャロットケーキは食べ応えがあります。ポピーシード入りのスコーンは香ばしさもあり、美味。お好みでいちごジャムやクロテッドクリームをつけていただきます。


セイボリは、「ローストビーフのサンドウィッチ」、「チェダーチーズと生ハムのオープンサンド」、「スモークサーモンときゅうりのマリネ サワークリーム風味」、「フグのフリット&ポテト」の4種。
アフタヌーンティーにはロンネフェルトの紅茶、「イングリッシュブレックファスト」、「アールグレイ」、「カモミール」、「ジャスミンゴールド」の茶葉が付いています。コーヒーもポットに入って提供されるため、お好みで飲み替えながら楽しんで。

ヘラとジェイドではそれぞれに異なるデザインのプレイスマット&メニューがいただけるほか、完売続出のリバティファブリック オリジナルポーチが付いています。
リバティの6万点を超えるテキスタイルデザインの中から厳選したファブリックを用いて作られた東京ステーションホテルのオリジナルポーチは、ファン必携のアイテム。表と裏で異なるファブリックを用いたこだわりもうれしいですね。ポーチの種類は選ぶことができません。
リバティファブリックを使用した家具を特別展示中

2F客室エリアの北側にある宿泊者様専用エリア「リビングスペース」に、2025年5月6日(火・祝)までの期間限定にてリバティファブリックを使用した家具を特別展示中。こちらは実際に触れたり、椅子に腰かけたりしてもOKとなっています。ぜひ見るだけではなく、触れて質感やデザインなどを体感してみてくださいね。
アトリウムでの朝食を堪能
駅舎の屋根裏という唯一無二の空間を活かしたゲストラウンジ「アトリウム」。天井が高く開放的な空間は、赤レンガが象徴的。季節ごとの「ペントハウス アフタヌーンティー」や、館内見学ツアー付きの「ペントハウスランチ」が開催期間、開催日限定で行われています。


そんなアトリウムでいただける朝食は、和食派も洋食派も大満足の種類豊富なお料理がいただけるブッフェスタイル。オムレツやエッグベネディクトなど、注文してからその場で作られる卵料理は、ぜひいただきたい一品です。
スイーツも充実しているので、朝からつい食べ過ぎてしまいます。

訪れた際は、アトリウムの一角にもリバティのファブリックが展示されていました。残念ながら現在は終了していますが、アトリウム内のクッションはすべてリバティファブリックを使用したものとなっているので、朝食の際には、ぜひチェックしてみてください。
今年で開業110周年を迎える東京ステーションホテルと、創業150周年を迎えるリバティ。老舗同士の貴重なコラボレーションとなる特別なお部屋を、ぜひこの機会に体験してみてくださいね。2部屋しかない客室のため、予約はお早めに。
問い合わせ先
- 東京ステーションホテル
- TEL:03-522-1112(宿泊予約直通 10:00~19:00)
- 住所/東京都千代田区丸の内1-9-1
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 小林麻美