連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変えるPrecious People

明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介する『Precious』連載【Tomorrow Will Be Precious!】では今回、京都で江戸時代から230年以上続く西陣織の老舗「服部織物」に嫁ぎ、3人の男の子を育てながら、着物に関する相談ごとを受ける「服部商店」を設立。代表として、また着物コンシェルジュとしてもご活躍の服部雅美さんにインタビュー!

「着物の素晴らしさを未来へ伝えていきたい」と語る服部さんに、今後の展望などについても詳しくお話しをうかがいました。

服部雅美さん
着物コンシェルジュ、「服部商店」代表
(はっとり まさみ)京都府京都市生まれ。ノートルダム女子大学を卒業後、裏千家に就職。3年後、西陣織の老舗「服部織物」に嫁ぐ。結婚を機に退職するが、3人の育児のかたわら茶道の稽古を重ねる。’13年に「服部商店」を設立し、着物のコーディネートや着物に関する相談ごとに対応、着物でのお茶のお稽古などを行う。

【Kyoto】鏡を見てハッとする瞬間をもっと見たい。着物マジックを起こすコンシェルジュ

着物コンシェルジュで「服部商店」の代表の服部雅美さん
着物コンシェルジュで「服部商店」代表の服部雅美さん

「祖父母が裏千家とご縁があり、お茶がいつも身近にある環境で育ちましたが、お茶の深い魅力に目覚め、お稽古を一生懸命やるようになったのは、大学を卒業して裏千家で仕事をするようになってから。人生の転機でした」

その後、江戸時代から230年以上続く西陣織の老舗「服部織物」に嫁ぎ、年の近い3人の男の子を育てるなかでも、お茶の稽古の時間を大事にしていた服部さん。着物に関する相談ごとを受ける「服部商店」を設立したのは’13年のこと。もうひとつの転機だった。

「買うことがメインではなく、お手持ちの着物のお話から始めて、その方のライフスタイルや、どんな場面でどう着たいのか、どういう姿になるのがベストなのかを考えて、ご提案します。お召しいただいて、その後のクリーニングや保管のことまで、着物を着る前後すべてに関わる着物コンシェルジュです」

半分以上が何かしら呉服周りの仕事に関係があるとされる京都でも、着物を着る人は少なくなっているといわれる。けれど服部さんは、「そこまで悪くない」と分析する。

「だって、着たらきれいですから。それが着物の魅力、着物マジックです。着物って、その方の魅力が上手に引き出されるようになっているんです。鏡で見たときに、こんな自分もあったんだ、って気付く。その表情を見るのが私にとっての大きな楽しみなんです」

そして、「衣食住の文化すべてが入っている」というお茶の知識を伝えたい思いもある。
「手の動き、足さばきといった所作や、居心地のよさとは何かといった、日本文化のすごく大事なところについては、聞かれてないことまでお話をしています。それが、私だからできることなのかなとも思っています。今後は、サロンのような教室でお教えして、集まっていただいた皆さんで着物、そして日本文化に対して志をひとつにできるようなことにも力を注いでいこうと考えています。着物の素晴らしさを未来へ伝えていきたい」

◇服部さんに質問

Q. 朝起きていちばんにやることは?
 銅のやかんでお湯を沸かして飲む。アーユルヴェーダ健康法です。
Q. 人から言われてうれしいほめ言葉は?
生徒さんからの「お会いしたら元気になりました」。
Q. 急にお休みがとれたらどう過ごす?
フランスやイタリアなど、成熟した文化がある都市へ。観光ではなく、文化にフォーカスして旅をしたい。
Q. 仕事以外で新しく始めたいことは?
ありません。やりたいと思ったらすぐにやるタイプなので。今もいっぱいいっぱいです。
Q. 10年後の自分は何をやっている?
和の世界を楽しむ集いのサロン「サロン・ド・ときね」をつくりはしたものの、多忙でなかなか動かせてないので、活動をもっと充実させていたい。
Q. 自分を動物にたとえると?
干支でベタですが、猪。猪突猛進。

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PHOTO :
香西ジュン
取材 :
木佐貫久代