飲める人も飲まない人もバーがもっと楽しくなる!ミクソロジスト・南雲主于三さんに 聞きました!進化する「モクテル(ノンアルコールカクテル)」の今とこれから

酒_1
南雲 主于三さん
ミクソロジスト
(なぐも しゅうぞう)カクテルの概念を飛び越え、常に新しい価値をつくり出すミクソロジストのひとり。東京都内に6つのバーを手掛けるほか、各種大会の審査員やコンサルティングなど活動は多岐にわたる。

モクテルは味もスタイルも自由に進化。“飲まない” 選択肢がさらに定着傾向に

「ミクソロジー」の概念がまだ日本に浸透していなかった頃から、“あらゆる食材をカクテルに昇華させる” というテーマのもと、遠心分離機や真空調理法など、従来のバーでは使われなかった技術を駆使し、カクテルの境界を広げてきた南雲主于三さん。ここ数年ですっかり定着した「モクテル」の世界も、南雲流の解釈で広げつつあります。

「『モクテル(Mocktail)』は、『モック/Mock=模す、真似た』と『カクテル/Cocktail』を組み合わせた造語で、カクテルに似たノンアルコールドリンクという意味で使われるようになりました。モクテルの浸透は、コロナ禍でアルコールがNGだった期間に開発が進んだことや、世界的に広がる健康志向、特に日本ではレストランでのノンアルコール需要の高まりが理由だと思います。

今のモクテルは、カクテルと同じくらい手間もコストもかかっています。そのため、食材のロスを防ぐためにもカクテルとモクテル、どちらでも対応できるようなレシピを常に考えています。一方で、苦味や発酵の技法などを使い、通常の飲料ではない複雑味を加えることで、ジュースっぽくならないこと、アルコールによる味のボリュームがないぶん、ペラペラの味わいにならないことを意識しています。また、アルコールによる飲み疲れがなく、誰でも気軽に楽しめるのがモクテルのおもしろさでもあります。今後はさらに、ハーブやスパイスなどナチュラルな素材を使い、健康にもいいモクテルが増えるでしょう。僕自身、乳酸発酵はよく使用しますが、“発酵”利用はしばらく続く流れだと思います。

すでに瓶詰や缶のドリンクとしてモクテルが発売されていますが、今後は各店の自家製のものが既製品となり、より自由に、手軽にモクテルが飲める時代になっていくはず。

“お酒を飲めない” ことがネガティブではない価値観も広がり、“お酒を飲まない” 選択肢も、さらに定着するでしょう。とはいえ、モクテル専用のバーが広がるには、あと5年くらいは必要かなと思っています」


◇東京・麻布台ヒルズに昨年オープンしたホテル「ジャヌ東京」5Fの「ジャヌ バー」

東京・麻布台ヒルズのジャヌ バー
 

東京・麻布台ヒルズに昨年オープンしたホテル「ジャヌ東京」。探究心やインスピレーションがコンセプトとあって、バーのカクテルも唯一無二のラインナップ。オープン当初よりシグネチャーカクテルは南雲さんが監修を手掛ける。

ジャヌ バーの『明治神宮/Beyond 常夜』

ジャヌ バーのカクテル
『明治神宮/Beyond 常夜』¥2,800

「明治神宮」から着想を得た幻想的な一杯。発酵パイナップルジュースを、檜やベルガモット、グレープフルーツでブレンドした、爽やかな味わい。森を感じる、檜の香りもアクセント。しめ縄をコースターに見立てて。

ジャヌ バーの『麻布台/Well-Scentウェルセント』

ジャヌ バーのカクテル
『麻布台/Well-Scentウェルセント』¥2,800
ジャヌ バーのカクテル
バルーンを割ると、シトラスの香りが!

「ジャヌ バー」が位置する麻布台ヒルズのコンセプト、グリーン&ウェルネスからインスパイア。ココナッツウォーターにクコの実やシナモンをクラリファイドしたものに、アッサムティー、シャルドネをブレンドした香り豊かな一杯。

【詳細情報】「ジャヌ バー」

  • 住所/東京都港区麻布台1-2-2 ジャヌ東京5F
    TEL/050-1809-5550(レストラン予約)
    営業時間/17:00〜24:00
  • 無休、チャージ料なし、価格は税・サービス料込み

※掲載の価格は、すべて税込みです。別途、チャージ料金やサービス税などがかかる場合があります。
※メニューは季節によって替わる場合があります。5月15日現在の情報ですので、詳細は公式サイト等でご確認ください。

関連記事

PHOTO :
篠原宏明
EDIT&WRITING :
田中美保、 佐藤友貴絵(Precious)
TAGS: