身長156cmのインテリアエディターが、実際に見て・触れて・使ってレポートする連載企画。今回ご紹介するのは、部屋の中央に配置することを意図してデザインされた、イタリアの最高級ブランド「Molteni&C(モルテーニ)」の両面式アイランドユニット『バルティモラ』です。

今年5月にオープンした旗艦店「パラッツォ・モルテーニ東京」で筆者が体験した、“建築と家具が融合した豊かな時間”を、毎日の暮らしに取り入れられるアイテムとしてピックアップしました。その魅力を詳しくご紹介します。

■ピックアップアイテム:「モルテーニ」の置き式収納家具『バルティモラ』

「モルテーニ」の『バルティモラ』は、置くだけでショーケースとベンチになる美しい多機能収納です。一流アパレルブランドのショールームで試着するような高揚感を、毎日の暮らしのなかで叶えてくれます。

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【ブランド】モルテーニ 【商品名】バルティモラ 【写真仕様の価格】¥3,033,800 【サイズ】幅1482×奥行き1027×高さ830(mm) 【材質】ユーカリ、アントラチーテベース、ガラストップ

お気に入りの時計やアクセサリーなどがきちんと並んだ様子を眺めるひととき、そして選んだアイテムを出してゆったりと身につける贅沢な時間を演出してくれる『バルティモラ』には、主張は控えめながらも「モルテーニ」ならではの上質なこだわりがギュッと詰まっています。

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「モルテーニ」のシステム収納や家具と合わせれば、一体感のあるインテリアが完成。

■魅力その1:欲しい機能が一つで叶う彫刻のようなデザイン

『バルティモラ』は、空間の真ん中に置かれることも想定してデザインされました。ディスプレイしながら収納できる取手付き引き出しが2つ、プッシュ式の引き出しが全部で6つ、片側にはベンチシートを備えています。

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引き出しを開けた様子。アイランドキッチンと似たサイズ感です。

側面の板は立体的になっているため表情があり、造り付けの造作家具とは異なる雰囲気を空間に生み出します。また、立ったときには視界を遮ることなく空間を柔らかく仕切ってくれて、座ったときには適度なおこもり感のある絶妙な高さも魅力。ベッドルームとクローゼットの間や、コレクションを飾って見せる収納としてリビング横に設置しても素敵です。

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立体的な側面の板材が魅力的。足元には引き出しが2つあります。

■魅力その2:機能的で品格のある開閉の心地が、美しい所作を育む

「モルテーニ」のシステム収納の特筆すべき点は、金具からオリジナル開発していること。扉や引き出しを開閉する度に、まるでこちらが上品な振る舞いを促されるような滑らかな手応えで開き、音もなく静かに閉まります。

「良い道具は人を育てる」と言いますが、意識することなく毎日の身支度を美しい所作で行えたら、その価値は計り知れないものになりますよね。

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かがまずに細かなものを選べる高さも、美しい所作につながって。

ふっくらとカーブを描いて45度にきちんと留められた額縁フレームの中に、お気に入りのアクセサリーが美しく収まるのも、まるで宝物箱のようで気分が高まるポイント。一見どうやって開けるのか迷いますが、手をかけてみると額縁の下におさまっていた取手の存在が感じられ、静かに引き出すことができます。

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大切にしまい込んで忘れていたお気に入りのアクセサリーが、インテリアの一部に!

面材の模様がきっちり揃っているのでわかりにくいのですが、引き出しは本体の半分の幅で分かれていてちょうどいい幅で開閉できます。

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2段目からはプッシュ式で静かに開き、実にエレガント。

■魅力その3:サステイナブルという魅力も備えた工事不要の組み立て式

家具としても収納としても高額ではある『バルティモラ』ですが、空間にぴったり誂えられる造作収納家具の内装工事と比較してみましょう。

インテリアの印象を大きく左右する面材は、高級面材を選べる施工業者を探せたとして工事は2、3日かかります。また定番品ではないのでアフターフォローの面や、引っ越す予定のある場合には解体費用も考える必要が出てきます。

その点『バルティモラ』は、上質で美しいだけでなく、定番モデルなので引き出しの強度やアフターフォローも安心。また、現場組み立て式だから搬入口の狭いマンションやロフト空間などでも対応可能です。引越しの際も板状に分解でき、大きな負担なく転居先に持っていけて使い続けられるサステイナブルなアイテムといえます。

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ベンチシートのかけ心地のよさも「モルテーニ」クオリティ!
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丈夫で美しいシーティングのステッチ。

■ここにも注目!:世界的人気建築家による「パラッツォ・モルテーニ東京」が南青山にオープン!

東京・南青山にある「モルテーニ」の旗艦店「パラッツォ・モルテーニ東京」は、今年5月にオープンしたばかり。同じく今年4月にミラノにオープンした「パラッツォ・モルテーニ」に続いて世界で二番目となる“パラッツォ”の名を冠する旗艦店で、同ブランドの世界観が丸ごと体感できる特別なショールームです。

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階層が見てとれる金属パーツや、経年したような白い壁と窓がリズミカルな外観。

今、最も世界で注目を集める建築家の一人で、「モルテーニ」のクリエイティブ・ディレクターを務めるヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンにとって日本初の建築物でもあり、オープン前からインテリア業界内で大きな話題になっていました。

地下1 階、地上3 階の4フロアで構成された1000平米のショールームのなかでも注目なのは、最上階にある180平米の広々としたヴァン・ドゥイセンの家を表現した空間。インターフォンを押して専用エレベーターでアプローチするため、まるで個人邸を訪れるような感覚です。

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中央に設けられた暖炉で緩やかに区切られた、おおらかで静謐な最上階の空間。

広いリビングにゆったりと置かれたソファやラウンジチェア、端正なダイニングや、キッチン横備え付けのスナックテーブルと奥行き650mmのソファなど、居心地のいいコーナーが随所に見られます。

家具と建築をシームレスに繋ぐ「モルテーニ」だからつくれる、ここでしか味わえない豊かな時間の流れをぜひ体感して、今後の住まいづくりに役立てていただきたいです。

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私が一番好きなのは、写真奥に見えるキッチン横のソファコーナー!

例えば、システム収納の金具からオリジナルで製作している「モルテーニ」は、ドアシステムにもなる壁面も得意分野。壁一面が引き戸や開戸や折れ戸になっていて、開閉することでドラマチックに空間が変化する様子は力強く建築的です。


禅的なミニマリズムを感じさせる建築空間に、歴代の名作家具が彫刻のように配置された「パラッツォ・モルテーニ東京」。『バルティモラ』はこちらの2階にてご覧いただけます。ぜひこの機会に、未体験の豊かさを体感してみてはいかがでしょうか?

※掲載商品の価格は、税込みです。

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この記事の執筆者
イデーに5年間(1997年~2002年)所属し、定番家具の開発や「東京デザイナーズブロック2001」の実行委員長、ロンドン・ミラノ・NYで発表されたブランド「SPUTNIK」の立ち上げに関わる。 2012年より「Design life with kids interior workshop」主宰。モンテッソーリ教育の視点を取り入れた、自身デザインの、“時計の読めない子が読みたくなる”アナログ時計『fun pun clock(ふんぷんクロック)』が、グッドデザイン賞2017を受賞。現在は、フリーランスのデザイナー・インテリアエディターとして「豊かな暮らし」について、プロダクトやコーディネート、ライティングを通して情報発信をしている。
公式サイト:YOKODOBASHI.COM