連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変えるPrecious People

明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介する『Precious』連載【Tomorrow Will Be Precious!】では今回、’12年に大阪でクラフトビールを専門に扱う会社を立ち上げ、その後、ビールと料理のペアリングを楽しめるお店を4店舗経営される「CRAFT BEER BASE」代表取締役社長の谷 和さんにインタビュー。

谷さんはさらに、「ビアジャッジ」というビールの品質管理の資格をもち、国内外の大会での審査にも携わるなど、多方面で活躍されています。「日本のどこに行っても、その土地土地でクラフトビールがちゃんと定着している未来を叶えたい」と話す谷さんに、今後の展望などを詳しくうかがいました。

谷 和さん
「CRAFT BEER BASE」代表取締役社長/ビアジャッジ
(たに あい)香川県生まれ。大学で経済学を学び、新規事業開発に興味をもつ。飲食業などを経て、’12年、クラフトビールを専門に扱う会社「CRAFT BEER BASE」を開業。’18年には醸造所も併設。’24年、うめきた・グラングリーンにビールと料理のペアリングを楽しめる「leaf」を開店。現在、大阪・うめだに4店舗展開している。

【大阪】日本の食文化にクラフトビールを “据えつける” 起業家の挑戦

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「CRAFT BEER BASE」代表取締役社長/ビアジャッジの谷 和さん

’12年に大阪でクラフトビールを専門に扱う会社を立ち上げ、その後、醸造所とレストランを併設した店舗に拡大。現在はビールと料理のペアリングを楽しめる店を4店舗経営。「ビアジャッジ」というビールの品質管理の資格をもち、国内外の大会での審査にも携わる。「ビールを正しく広める」ことを存在意義として、谷さんは着実に活動を続けてきた。

「ビールにのめり込むきっかけになったのは、大学卒業後に働いていたビール専門店で、ベルギーに研修に行ったときの出来事です。メーカーさんの前で、緊張のあまりビールを注ぐことができなくて怒られたんです。『そんなことで、いったい誰が海の向こうで私たちのビールを飲んでくれるんだ。もっと真剣にやってくれ』と。私はビールが好きでしたが、おいしければいいとか、たくさん売れればいいとかそんな考えしかなかったから、誰かがつくったものを引き継いで、それを人に渡す、ということの重さにハッとしたんです」

谷さんは、ビールの品質を守るために「要冷蔵」を徹底させることで、まず流通を変えた。次はつくり手にも働きかけるために、自身でも醸造を始めた。さらに、経営を成り立たせるため商品を消費する飲食の店舗も展開した。理由は「そうしないと、つくる側も売る側も同じ目線で話をしてくれないから」だ。

「私が実現してきたことは、夢ではなく、すべて計画なんです。大阪でやっているのも、この個性的な食文化のなかでしかできないことがあると思ったから。この街のシェフたちと一緒に、世界に誇れる新しいビールと食文化をつくっていくことにワクワクしています。そして、最終的には、日本のどこに行っても、その土地土地でクラフトビールがちゃんと定着している未来を叶えたい。クラフトビールは ”地のもの” なので、その場所ならではの食文化を紡げれば安定するんです。そのための土壌をつくることが、私の役割。実現へ向けて、もっと勉強し、チャレンジしたい」

◇谷さんに質問

Q. 朝起きていちばんにやることは?
平日は18歳の娘にお弁当をつくっています。生意気ですがかわいいです(笑)。
Q. 人から言われてうれしいほめ言葉は?
いい意味で「変態」。ビールに集中していて、ほかのことは何もやっていないので。
Q. 急にお休みがとれたらどう過ごす?
2匹飼っている猫を愛でてから、醸造所か発酵関係のところへ。どの県でも。行けると思いついたら、次の日の朝に帰ってくる範囲でも行く。
Q. 仕事以外で新しく始めたいことは?
仕事以外で、という区切りがほとんどないのですが、フードペアリングは極めたい。
Q. 10年後の自分は何をやっている?
もっとビールを広める活動をしています。世界中で。
Q. 自分を動物に例えると?
内輪に聞くと猫科、外部の人に聞くと犬科でした。

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PHOTO :
香西ジュン
取材 :
木佐貫久代